高木仁三郎市民科学基金(高木基金)のめざすもの


高木仁三郎の言葉
「市民の不安を共有する」
「高木基金の構想と我が意向」



1.高木基金の設立趣意

高木基金は、2000年10月、62歳でこの世を去った市民科学者、高木仁三郎の遺志により設立されました。高木仁三郎は自分の遺産を元に基金を設立し、彼の生き方に共鳴する多くの人から広く寄付を募り会員になってもらい、次の時代の「市民科学者」をめざす個人やグループに対し資金面での奨励・育成を行ってほしいとの遺言を残しました。


2.高木基金の目的

高木基金の目的は、現代科学がもたらす問題や脅威に対して、科学的考察に裏付けられた批判を行える「市民科学者」を育成・支援することです。

未来を切り拓く科学は、政府や産業界の出資と管理のもとで進められる科学者の職業的営みからではなく、真の公共性、公益性を体現した市民の自発的活動の中からこそ生まれてくるはずだという期待を込めて、高木基金では、NPO・NGOや市民グループで活動しながら「市民科学者」をめざす人・グループを積極的に応援したいと考えます。


3.市民科学とは

「市民科学」の課題は、高木仁三郎によれば、「未来への希望に基づいて科学を方向づけ、持続可能な未来を築くための構想を提示し、人々の心に希望の種を播き、組織し、変革への流れを生むこと」です。市民科学は、市民社会が実際に直面する不安や問題から出発しその成果も市民の評価に委ねられます。

「市民科学者」という表現には、学術研究を職業とする者だけが科学者なのではなく、市民自ら科学知識と批判力を自分の手にする必要があるという考えが込められています。「市民科学」は、市民の立場に立ちつつ、市民の知を、専門性を持って市民の側から組織していくことをめざします。科学の暴走をくい止め得るのは、まさにそうした「カウンター・エキスパート」としての市民に他ならないでしょう。地球市民としての自覚のもと、科学的知識と考察に裏付けられた構想力と想像力を備え、独立した批判を行える人が「市民科学者」です。


「市民科学者」には、次のような役割が期待されます。

1) 現代の科学技術が、人々の生存と地球環境への脅威となっていることを認識し、市民と不安を共有する立場からこれを批判し、対抗的な評価を提起すること。
何が脅威であるかを明らかにし、それを取り除くための調査・研究を進めること。

2) 常に自ら市民として生活者の感覚や視線でものを見ることに基盤におき、科学技術の問題にアプローチすること。

3) 最終的な政策決定者は市民であるという立場から、市民との密接な相互作用を通して、市民の判断材料となる情報を提供し続けること。国家や産業側の科学技術情報を批判的に解読し、その情報がどのような意味や影響を持つのかを、市民に理解可能な形で伝えること。

4) 現代における科学技術の選択が、将来の世代にどのような負担をもたらすかを常に吟味し、世代間倫理に基づく問題提起を行うこと。




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