原発老朽化問題研究会 | ||
伴 英幸 さん | ||
70万円 |
2010年12月の助成申込書から
九州電力が運転する玄海1号炉で、同機の脆性遷移温度が98℃に達していることが、地元議員ならびに住民の追求で明らかになり、当老朽化問題研究会が相談を受けた。
原子炉容器は中性子の照射を受けてもろくなっていく。このもろさの程度を示すのが脆性遷移温度で、98℃は異常に高いと言える。98℃以下である圧力が加わるようなことがあれば、突然原子炉容器が破壊する可能性がある。
老朽化問題研究会ではこれまで敦賀1号炉の高経年化技術評価報告および美浜1号炉のそれを検討し、日本電気協会が定める脆性遷移温度の予測式の正確さに疑問を呈してきた。学会もそれを一部認めて修正版を作ったが、それでも988℃は予測式からはるかに外れる結果となっている。玄海1号炉は1975年10月に運転を開始している。
九州電力はこれまで同機の脆性遷移温度を4回測定しており、93年は56℃だったが、09年に98℃に達した。予測から大きく外れた異常な上昇といえる。
地元でも関心の高いこの問題に、協力して取り組むことにした。脆性遷移温度の算定の仕方、評価の仕方、予測式の問題点などに加えて、他原発の動向も併せて調べる。
老朽化原発研究会は、他の老朽化問題も扱っていくが、玄海1号炉のこの問題に重点を置いて取り組むこととする。