たまあじさいの会 |
研究成果発表会配布資料[pdf] 研究成果発表会配布資料[pdf] |
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濱田 光一 さん | ||
http://tamaajisai.net/ | ||
30万円 |
大沼淳一さんによる多摩川の土壌採取の実演
ホットスポットファインダーによるエコセメント化施設周辺の空間線量測定の結果
2012年12月の助成申込書から
私たちが、現在継続的に取り組んでいる調査研究には大きく3つに分けられます。
第一は、既に埋め立てられた谷戸沢処分場(約40ha、1984年から14年間で埋め立て)と現在埋め立てている二ツ塚処分場(約60ha、1998年より埋め立て開始、現在は三期区分の二期区分埋め立て中)からの有害な化学物質や重金属による地下水を主とする汚染の実態調査研究です。
第二は、新たな処分場の開設が困難な情勢から、処分場の延命策として2006年度から操業を開始したエコセメント(ゴミ焼却灰を主原料とするセメント=事業者である行政は資源循環とPR)工場を発生源とする有害な重金属や化学物質による大気などを主とする汚染の実態調査研究です。
第三は、2011年3月の福島の原発事故以来、東日本に降り注ぎ続けている放射能汚染の影響です。東京多摩地区に降り注がれた放射性物質は、様々な廃棄物にも付着し、ゴミ焼却炉で燃やされ濃縮されてゴミ焼却灰の中に含まれます。3月の事故直近の焼却灰に含まれる放射性物質のデータはありません(公表されていません)が、7月のデータでは3400Bq/kgという数値を示しているものもあります。エコセメント工場に運び込まれる焼却灰は300t/日で年間約300日です。この膨大な焼却灰が1600℃前後の高温で焼成されセメント化されていく工程で、バグフィルターなどで捕捉できない放射性物質が大気へ放出されています。
2013年10月の中間報告から
たまあじさいの会は2011年9月より二ツ塚処分場内にあるエコセメント化施設周辺の放射線量調査を定期的に継続して行ってきました。その結果、エコセメント化施設に近いポイントほど空間線量は高い数値を示しました。しかも周辺の青梅市及び日の出町の一般環境に於いて線量は減衰傾向を示しているにもかかわらず、ここでは減衰が見られませんでした。調査のデータを蓄積するにつれて、エコセメント化施設を原因とする放射能汚染の疑いが明確になってきました。エコセメント化施設を運営する「東京たま広域資源循環組合」は、放射性物質は一切外部に漏れないと明言していましたが、三多摩各市の焼却施設の焼却灰中のセシウムの量から考えて1日に300 トン運び込まれる焼却灰中の放射性物質の総量はとてつもない量であり、それが全て下水道放流水に入ってしまうことなど信じられず、またバグフィルターが完全に放射性物質を捕捉することも信じられませんでした。私たちの長期にわたる継続的な調査がこの疑いを確信に変えました。4月から5月にかけては集中的なエコセメント化施設周辺の空間線量調査(51地点)および土壌中の放射線量調査(21地点)、周辺にある杉の葉とバックグランドの杉の葉の放射線量の比較を行いました。調査の結果、エコセメント化施設の主風である南北方向に線量が高く、東西に低い傾向が明らかになり、表土の線量は施設北側のポイントに於いてはバックグランドの線量の17倍〜5倍を示し、エコセメント化施設からの放射性物質が周辺を汚染していることが明らかとなりました。
また、エコセメント化施設を管理する資源循環組合は、セメント製造過程で、受け入れた焼却灰中のセシウムが排水の中に入り、下水を通して八王子水再処理センターに行くといいます。最終的には多摩川へ放流されるわけです。2011年7月から9月の排水中放射セシウムの平均は1日に1億5450万Bqでした。大量のセシウムが多摩川に流出し、流域を汚染していると考えられます。この状況を明確に把握するため、新たな調査組織を計画し、上流から下流まで縦断的に関心を持つ人々に呼びかけを行っています。河川の放射性物質汚染の調査は、調査ポイントの設定から、何を標的に調査を行うかなど未知のことが多く、学習会から始める必要があると考え、現在進行中です。
完了報告・研究成果発表会資料より
2011年3月11日の福島原発事故以来、東京日の出町ごみ処分場の新たな問題として、放射能汚染が大きな問題として加わってきました。放射性物質に汚染された剪定枝などのごみが焼却されることで放射能濃度は高くなり、周辺地域の大気を汚染し、二次放射能汚染を引き起しています。高濃度に濃縮された焼却残渣は、日の出町にあるエコセメント工場に三多摩全域から持ち込まれ、エコセメントの製造工程の中で大気中に排出され、工場周辺地域に三次汚染を引き起こしています。私たちの放射線測定活動の結果から、エコセメント工場が放射性物質の発生源であるとして特定せざるを得ない状況が、恒常的に続いています。
一方でエコセメント工場の排水は公共下水道に放流されています。流された放射性物質は、下水処理場でもほとんど処理されずに多摩川へ放流され、ここでも 三次放射能汚染を起し続けています。
今回、これら多摩川の放射性物質の汚染の実態を調査・監視することで、汚染の進行を抑止し、安全な生活環境とよりよい自然の状態の多摩川を後世に残すべく、流域全体の放射線調査を始めることになりました。
2013年12月1日、「たまあじさいの会」、「ちょうふ市民放射能測定室」の呼びかけのもと、環境調査の専門家で高木基金の顧問でもある大沼淳一氏をお招きして、「市民による多摩川放射能汚染調査」のワークショップを開催しました。午前中のワークショップは集会所で、大沼さんから河川における放射能汚染調査の計画、考え方、ノウハウを資料をもとにレクチャーしていただきました。午後は多摩川の河川敷(多摩川水道橋下)に足を運びフィールドワークを行い、実演による土壌の採取の仕方、採取場所の見つけ方などを教わりました。
多摩川流域は広範囲です。自分の住む流域のことは流域に住む市民が一番知っています。今後も定期的に今回のようなワークショップ形式の「多摩川流域の放射線調査」を実施することで、サンプリング場所の選定、各地域の市民グループのネットワークづくり、環境汚染の継続的な監視活動などへ繋げていきたいと考えています。