カネミ油症被害者支援センター |
研究成果発表会配布資料[pdf] 研究成果発表会配布資料[pdf] |
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石澤 春美 さん | ||
40万円 |
2013 年6 月30 日、カネミ油症被害者聞き取り調査。長崎県五島列島福江島、井持浦集会所にて。
健康食品として販売されたカネミライスオイル。サラダドレッシングにも使われていた。
カネミ油症発生から46年を経過し、骨の痛み、変型、歩行困難等を訴える被害者が多い。
2013年6月29日撮影。50代の男性。現在の被害者(一昨年まで未認定者)。クロルアクネ、色素沈着、歯の折れ、骨の病気が続いた。現在はがんを発症。
2013年6月29日撮影。70代の女性。発症時、巻き爪で苦しんだという。現在は、爪が二重、三重に生え、病院で切断している。
2012年12月の助成申込書から
1968年に西日本一帯に発生したカネミ油症事件は日本最大の食品公害事件である。カネミ倉庫(北九州)が製造販売した食用油(カネミライスオイル)の製造時にPCBが混入し、加熱により強毒性のPCDF(ダイオキシン類)等が生成していた事件である。
知らずに購入し食した人々にクロルアクネ(塩素ニキビ)や多量の目脂、嘔吐、しびれ等の症状が顕われ14000人以上の届出があったという。しかし、現在に至り被害者としての認定者は1966人のみである。未認定のままの死亡者も多く、生存者は重篤な病態となっている。また、聞き取り調査では次世代被害も各地で見られた。
支援センターではダイオキシン被害としての国の救済を求めて被害者と共に活動を続け、今年8月「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」が制定された。
しかし未認定家族も次世代被害も強く要求してきたにも拘わらず救済の道すじが含まれていない。未認定者は認定者よりも重病な例も多い。制定した法律には附則があり3年後の見直しが定められている。その時期に問題点を提起出来るように、未認定者、死亡者、次世代被害の聞き取り調査を実施したい。
また、故・原田正純医師が残してくれた医師団に呼びかけ自主検診を再開し、診断基準の根本的な見直しにつなげたい。
2013年10月の中間報告から
1968年、西日本一帯に発生したカネミ油症事件は、1万4000人以上が届け出た日本最大級の食品公害で、カネミ倉庫が製造し、健康食品として販売した食用油に強毒性のダイオキシン類が混入していた事件です。事件発生当時はPCBが原因とされましたが、1970年代にはPCDF(ダイオキシン類)が主原因として解明されています。しかし、国がカネミ油症をダイオキシン被害として正式に認めたのは事件から36年後の2004年です。被害者は全身に及ぶ重篤な健康被害に苦しみ治療法も示されないまま現在に至っています。
2012年8月「カネミ油症患者に関する施策の総合的推進に関する法律」が、事件から43年後に制定されました。しかし、被害者が最も強く求めた「公的な医療救済」や「未認定者、次世代被害者」や「死亡者家族」の救済には至っていません。制定された法律の附則に3年後の見直しが定められています。実態を調査し3年後の見直しの資料としたいと考えています。
今年度の高木基金の助成により、第1回目の調査として被害が集団発生した長崎県五島列島(福江島[福江、玉之浦地区]、奈留島)を9日間に渡って調査しました。検診や集会等にも参加出来ない重症な被害者や未認定者家族を訪問し聞き取ることが出来ました。死亡者も多く被害は深刻に埋もれていることを実感した調査でした。岡山大、広島大とも合同で調査し、今後も連携して調査を進めることも確認し、有意義な調査でした。
10月には福岡地区、11月には広島地区の調査を予定しています。
完了報告・研究成果発表会資料より
2012年、「カネミ油症患者に関する施策の総合的推進に関する法律」が成立しました。法律では未認定者の救済対象は認定者と同一家族のみで、未認定者だけの家族は対象となっていません。また、全国の認定者は現在2246名(2013年12月31日現在、厚労省)となっていますが、重症な未認定者は依然として多く、認定基準に問題があることが窺えます。また、死亡者に対してカネミ倉庫より支払われる見舞金は見直しされず、次世代被害者も救済が閉ざされています。
今回の調査は、長崎県五島列島(福江島、奈留島)と九州地区(福岡、北九州)の被害者家族への聞き取りを行いました。
死亡者の調査は、認定者、未認定者ではどのような違いがあるのか、どのような病歴をたどったのかの調査が目的でした。認定、未認定の家族から77名(認定者46名、未認定者31名)の死亡者について聞き取ることが出来ました。
死亡病名はがんが圧倒的に多く、認定者22名、未認定者14名であり、約半数が何らかのがんで亡くなっています。その他は、肝臓病、腎臓病、脳梗塞、心臓病、脳腫瘍ですが、認定、未認定とも同様であり、併発していた症状も同様でした。また、全身に及ぶ多様な症状が重なり重篤な病態が長期に渡って続いたことも窺えました。
未認定者の調査は聞き取りが出来た32名のうち五島地区が21名、九州地区が11名でした。中でも8人全員が未認定の家族を訪問しましたが、認定者と同じようにクロルアクネ(*)が残存し、歩行困難者や死亡者も居て、深刻でした。この家族には、今年6月初め再度訪問することを予定しています。未認定者は被差別感が増し、健康障害を更に増していることが見受けられます。
次世代被害は、五島地区12名、九州地区11名の調査が出来ました。症状は油を食した両親と同様の症状です。当初は子どもの症状を隠すことが多く見られましたが、カネミ油症が原因と見られる症状が表れて来たことから最近では堂々と公表することが多くなっています。救済の遅れを繰り返さない為にも早期の取り組みが必須です。
今後、広島、山口、関西、関東地区を調査し、報告書をまとめ、成立した法律の3年毎の見直しの資料に添えたいと思っています。
(*)塩素挫瘡。ダイオキシンによって引き起こされる皮膚障害。膿を含み、悪臭を放つ。