香川ボランティア・NPOネットワーク |
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石井 亨 さん | ||
25万円 |
内海ダム予定地の様子
内海ダム建設予想図
堆積層との境、断層の上に作られるダム
小豆島水源水量の変化。吉田ダム完成で既存の2.5倍に
小豆島一日平均給水量
2007年12月の助成申込書から
小豆島には、寒霞渓の麓に流れ出る別当川がある。この川に巨大ダムが建設されようとしている。川の全長はわずかに3966メートルしかないにもかかわらず、計画されている堤体の長さは447メートルと川の全長の1割を優に超える。当該地区では、地域を二分してダム建設推進派と反対派に別れ、97%の用地がすでに買収され、残る反対地主をよそに、土地収用法に基づく現地説明会までもが開かれるに至っている。さらに、ダム湖に水没する予定のため池底地が、所有者らの知らぬまに自治体によって保存登記され所有権移転されてしまった。戦後地方自治法施行の遥か以前から存在する入会の所有するため池である。不可解としか言いようがない。それどころか、そもそも川の全長の1割を超えるダムを建設するという発想自体が、私たちはもとより大多数の国民にとっても不可解に思えるに違いない。概略の検証を行ったが、端緒となっている昭和51年災害の分析、計画の規模、基本高水の設定、高潮との整合性、隣接する他の河川計画との整合性などに疑問点・矛盾点が多々見受けられる。にもかかわらず公共事業には、事業修正のための装置が用意されていないばかりか、こうした問題提起する場所すら与えられていない。そこで、当該地域における水利用、及び治水の歴史を明らかにし、公共事業の名の下に収奪された土地の所有権及び自治管理の仕組みを明らかにするとともに、利水計画、治水計画の虚構を科学的に批判検証するものである。また、これら成果をパンフレットとして作成し、さらに行政が拒否している「公開での討論の場」を住民により組み立てて実現し、同時に公共事業を検証する装置を政策提言する。
2009年5月の完了報告から
小豆島寒霞渓の麓、別当川に447mという巨大なダムが築かれようとしている。事業名は内海ダム再開発事業である。
事の発端は、現存する多目的ダム(147m)に修理が必要だということであった。ところが、事業を具体化する過程において、極めて大型のダム再開発計画に変容してしまった。治水利水両面において合理的説明がなされたとは言えないまま、用地が買収は進み、遂に昨年3月、反対地主に対する土地収用法の適用申請にいたった。そして、本年2月をもって内海ダム再開発に対して収用法適用が認定された。
一般的な収用法適用事業認定が3ヶ月程度であるのに対し、本事業については11ヶ月という時間を要したことからもこのダムには問題が多いことが伺える。本調査は、このダムの問題点を明確にし、共有しようとするものである。
本調査は、収用法適用申請に至る前に完結しようとした研究であるが、調査研究事業としての採択と時をほぼ同じくして申請が行われ、期間中に認定が下されてしまった。
その手続下において、公聴会が開催され新たな事実が明かされることに繋がった。それは、事業計画の元になっている過去の災害の被害分析そのものから実態とずれていることにはじまり、計画のずさんさが浮き彫りになるものだった。
急速な人口減少下では利水計画水需要見込みは破綻しており、治水計画も問題が多く、ダムが存在することによって災害を大きくすることもあり得ることが明らかである。さらに地質的にも課題が多い。これらの成果はパンフレットとしてまとめ、公表していきたいと考えているが、香川県による収用手続きへの対応で、地域の反対住民も私も翻弄され作業が遅れているのが実態である。
今後、収用法適用認定取り消し訴訟が提起され、その立証の中でも成果が活かされ明らかにされていくことになるであろう。