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メコンデルタ地域での持続可能な発展のための“市民科学”コミュニティの構築



グループ名 Mekong Environmental Forum
代表者氏名 Quang Nguyen Minh さん
URL http://www.mekongenvironmentforum.org/
助成金額 4500USD=約45万円

プロジェクトチーム

住民とのワークショップ風景

「市民科学ワークショップ」での発表風景 

研究の概要

2018年9月の助成申込書より
 メコンデルタ地域の人々は栄養豊富なメコン川の水と漁業資源に依拠した暮らしをしてきました。しかし方向を誤った開発や気候変動の影響による環境の変化は、地域の生態系や人々の生計手段、水、食糧確保を困難な状況にしています。行政の気候変動政策とのミスマッチにより、小規模農民は課題を抱えたまま取り残されています。当団体は、草の根運動にこそ社会変革を起こす潜在的な力があり、地域のキャパシティビルディングにおけるNGOらの効果的な管理手法や地元のコミュニティ力で、行政が単独で解決できない課題に、よりよい形で取り組むことができると考えています。  今回の調査研究では、科学者のアドバイスを受け、気候変動に強い農業モデル(特に多品種耕作)を試みます。手法としては、1)熱心な農業者により『変形学習』(transformative learning)グループを作り、ワークショップ後の経験共有や共助活動を通して、地域の生計手段や環境を改善する上で住民参加を推進する。2)水やエネルギーについてよりよい選択をする。3)地域行政の開発計画や政策立案に対し、農業者が気候変動に適応できる生活モデルや成功事例をオルタナティブな案として紹介する。  この計画では、カントー市、地域住民、カントー大学の学生が協力しあって行います。最終的には、市民科学の手法を用いた汎用性のある研修プログラムのパイロット版を公表し、地元関係者にデータ管理や品質管理、データ公開原則について知ってもらい、ベトナム市民科学協会の設立につなげたいと考えています。

中間報告


結果・成果

2020年2月最終報告書より
 ベトナムのメコンデルタ地域のコミュニティは、水や土壌、気候や植生などの自然資源に依拠した暮らしをしているため、環境の変化の影響を最も受けやすいのですが、行政は、気候変動に対する政策能力が乏しく、 これまで、 気候影響や人為的な環境変化に対して適切な緩和・ 適応策が打てずにいました。  私たちは、コミュニティが自らの問題を発見し、それに対して変化を起こしていけるように、さらに言えば、その影響を最も受ける農民や漁民が、 自らの地域で起きている気候変動の影響を理解して、 彼ら自身で適切な対策を取れるようにすることを目的に「市民科学ワークショップ」を開催しました。2019年4月から8月にかけてカントー市で行われた専門研修ワークショップでは、メコン環境安全保障アトラス(MESA) プロジェクトを立ち上げ、 地域コミュニティはじめ、行政機関、研究機関、メディアなどから80名の参加者が集まりました。  主な学習方法としては「変形学習」と「発見的学習」で、特に、大学生、 政府関係者、若手ジャーナリストを交えた3つの特別チーム(各8 ~ 12名)は、講師やアドバイザーの集中的なサポートを受け、継続的なワークショップや実践活動を行ってきました。その成果として、地域の「市民科学者」をつなぎ、情報を共有するためのオープンデータプラットフォームを下記ウェブサイト内に作成し、メコンデルタ地域の課題と、それに対する「市民科学」の取り組みに関する現地レポートを掲載しました。https://www.mekongcircular.org/maps-and-database/projects-ideas    このプロジェクトでは、 政府の職員も現地調査に招待していますが、これは、私達のチームとともに働くことで、現状を把握した上で、 どのような環境対策を取るべきかについて理解を深めてもらうためで、さらには、環境保全や持続可能な発展のために、「市民科学者」の重要性を認識し、 収集したデータを保全の原則や規制に適用してもらうことを目指したものです。  今日、ベトナムでは、「市民科学」の重要性が認識されてきており、今後、より科学的な根拠に基づいた政策決定が進むように、取り組みを続けていきたいと思います。

その他/備考


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