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福島原発事故による茨城県等の放射能長期汚染とその特徴(3)



グループ名 いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト
代表者氏名 天野 光 さん
URL https://www.facebook.com/IBARAKIERMP/
助成金額 40万円

ホームページに掲載している「茨城県における最近の空間線量率」3段のブロックが高さ分布(地表面、50cm高、1m高)。緑(0.23μ Sv/h以下)、橙色(0.23〜0.5μ Sv/h)、赤(0.5μ Sv/h以上)に色分けをしている。各地点をクリックすると詳細な情報が表示される。

研究の概要

2019年12月の助成申込書から
 東京電力福島第一原発(1F)事故により、福島県を始め、東北地方や関東全域は広範囲に放射能汚染された。こうした中で福島県での放射能測定はかなり集中的に行われているが、茨城県での測定は、散発的であり、汚染があるにも拘わらず、茨城県での放射能汚染の特徴は必ずしも明らかではない。本研究は、茨城県における空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットや汚染の特徴を明らかにし、放射能汚染の将来予測を行う。1F事故が経過してから2020年3月で丸9年となり、空間線量に及ぼすセシウム-134(半減期2年)の影響はほぼなくなっている。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではセシウム-137(半減期30年)が主となってきており、今回の測定により、空間線量の将来予測も可能である。また土壌や植物中の放射性セシウムの他に重要核種であるストロンチウム-90の測定も行い、Sr-90/Cs-137比等を明らかにし、福島事故による長期汚染の特徴を明らかにする。測定のフォーマットは統一して行う。東海第二原発の再稼働も目論見られている。福島原発事故は、原子力発電所で大事故は発生すること、ひとたび原発で大事故が起これば、取り返しのつかない放射能長期汚染がもたらされることを示したが、このことを実測値により住民に示す。  2020年度は調査の最終年度であるため、未測定の場所を補填調査し、これまでの調査結果や放射線の生物影響に関する最新情報を分かりやすく解説として汚染マップとともに小冊子にまとめ、2021年1月頃に開催予定の測定報告会で配付する。汚染レベルの比較のため、栃木県や福島県等においても若干の測定を行い、汚染マップに追加する。 【 この助成先は、2018年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2018年度の助成事例 】 【 この助成先は、2019年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2019年度の助成事例 】

中間報告

中間報告から
 東京電力福島第一原発事故により、福島県を始め、東北地方や関東全域の広範囲が放射能に汚染されました。こうした中で福島県での放射能測定はかなり集中的に行われていますが、茨城県での測定は散発的であり、汚染があるにもかかわらず、汚染の実態と特徴は必ずしも明らかではありません。本調査は、前年度からの継続ですが、住民による茨城県での空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットやこれまであまり測定が行われていない放射性ストロンチウムの汚染の特徴を明らかにします。  福島第一原発事故が経過してから2020年3月で丸9年となり、空間線量に及ぼすセシウム-134(半減期2年)の影響はほぼなくなってきています。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではセシウム-137(半減期30年)が主となってきており、今回の測定により、測定場所での空間線量の将来予測も可能です。また植物や土壌(0〜5cm、5〜10cm深さ)中の放射能の測定も行い、土壌や植物中Sr-90/Cs-137比や土壌から植物への移行係数を明らかにし、茨城県における福島第一原発事故による汚染の特徴を明らかにします。  今年度は、これまで調査が不十分であった地域を中心に、線量率マッピングや高さ分布の測定を行い、初期の放射性プルームの痕跡や現存する高線量地域も探索し、マッピングを行っています。また本プロジェクトのホームページを作成し、空間線量率マップ等が容易に閲覧できるようにしました。  今後は本調査のさらに分かりやすいまとめも行い、住民のみなさんに提供いたします。

結果・成果

2021年5月の完了報告から
東京電力福島第一原発事故により、福島県を始め、東北地方や関東全域は広範囲に放射能汚染されました。こうした中で福島県での放射能測定はかなり集中的に行われていますが、茨城県での測定は散発的であり、汚染があるにもかかわらず、現在での汚染の実態と特徴は必ずしも明らかではありません。本調査は、住民による茨城県での空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットやこれまであまり測定が行われていない放射性ストロンチウムや汚染の特徴を明らかにします。  福島第一原発事故が経過してから2021年3月で丸10年となり、空間線量に及ぼすセシウム-134(半減期2年)の影響はほぼなくなってきています。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではセシウム-137(半減期30年)が主となってきており、これまでの測定により、測定場所での空間線量の将来予測も可能です。また植物や土壌(0?5?、5?10cm深さ)中の放射能の測定も行い、土壌や植物中Sr-90/Cs-137比や土壌から植物への移行係数を明らかにし、茨城県における福島第一原発事故による汚染の特徴を明らかにしています。  線量率の高さ分布に関しては、我々の測定では主に国の基準で校正された高精度シンチレーション測定器日立アロカ製TCS-172Bを用いて、簡易測定器も併用して行いました。ホットスポットの探索に関しては、1m高さでの歩行サーベイとし、スマホの位置情報と連動した空間線量率計を用いて、グーグルマップ上に線量率毎に色分け(0.23μSv/h以下、0.23-0.5μSv/h、0.5μSv/h以上)し、マッピングしています。2020年度は、八溝湧水群遊歩道や竪割山登山道などで除染基準以上の場所が見つかっています。  環境放射能汚染指標植物として松葉及び桑の葉を採取し、土壌の深さ分布とともに放射能測定を行いました。1年葉の松葉へのCs-137見かけの移行係数は0.1?0.2と高く、空間線量率の高さ分布は松林内では地表面より1m高さの方が高い場合があり、松葉へのCs-137の見かけの移行係数の高さと整合的です。測定を行った松葉(1年葉)中のSr-90/Cs-137比は、0.01?0.06でした。これらの数値は、土壌中のSr-90及びCs-137濃度に依存しています。土壌中放射性Csの深さ分布は、松の根元の砂質土の未耕作地では5?10cm深さに約12%が存在していて主には地表面に留まっていますが緩やかに下方浸透もしています。  今後も茨城県内の測定を継続して行い、福島県など茨城周辺地域での測定も行い、市民に分かりやすいマッピング図を作成し、放射線の影響に関する最新情報を、SNSなどで市民に提供する予定です。

その他/備考


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