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島根原発稼働の是非判断への周辺地域住民の参画促進(公論形成)に関する調査研究



グループ名 えねみら・とっとり (エネルギーの未来を考える会)
代表者氏名 山中 幸子 さん 手塚 智子 さん
URL https://blog.canpan.info/enemirabird/
助成金額 80万円

2021 年10 月24 日、米子市での住民説明会が開催され、内閣府、資 源エネルギー庁、中国電力および原子力規制庁からの説明が行われた。 会場からの発言の大多数は、避難計画に対する不安や原発再稼働の 必要性についての疑問の声だった。

2022年7月30日 米子市文化ホールで 開催した安定ヨウ素剤自主配布会

研究の概要

2021年4月助成申込書より
米子市、境港市、鳥取県は、島根原発から30km圏に位置し、避難計画の策定を義務づけられているが、“周辺地域”であり、原発稼働の判断に際し、同意権(拒否権)を持っていない。こうした背景のなか、以下の問題がある。 ・島根原発のリスクや事故影響が主体的に検証されていない。 ・原子力災害時の避難計画は矛盾が多く、さらにコロナ禍に際して問題が山積である。 ・自治体が原発稼働に関し意見を求められる際、議会等で丁寧な議論が行われず、首長や議員、中国電力も住民との対話の場を設ける姿勢をもっていない。 ・原発稼働の是非は、命と暮らし、地域の未来に重要な影響を与えるが、住民の間で自分ごととして捉えられにくく、熟議の場がないまま地元同意が行われる可能性がある。  そこで、“周辺地域”の原発事故時の影響と、避難計画の現状と課題を生活者の目線で明らかにし、根拠のある情報を可視化して共有し(影響を知り)、住民ひとりひとりが、未来の選択として原発稼働の是非を判断する機会・場を創出することを狙い、下記の調査と情報の提供を行う。 1.原発災害時の避難に関する調査 (1)障害者及び高齢者福祉施設 (米子市・境港市内) (2)安定ヨウ素剤の自主配布会:妊産婦・乳幼児を主に (3)避難の受け入れ先8自治体(鳥取県中東部) 2.島根原発事故時の被害予測と可視化 3.議員・首長(米子市、境港市、鳥取県)アンケート 4.情報発信・提供と対話の場づくり

中間報告

中間報告より
 米子市、境港市、鳥取県は、島根原発から30km圏に位置し、避難計画の策定を義務づけられていますが、“ 周辺地域”であり、原発稼働の判断に際して同意権(拒否権)を持っていません。この背景から、リスクや事故影響が主体的に検証されていない、避難計画に矛盾が多い、議会等で丁寧な議論が行われにくい、住民の間で自分ごととして捉えられにくい、といった課題があり、熟議の場がないまま、2022年中に地元同意が行われる可能性があります。  そこで、本研究では、“周辺地域”の原発事故時の影響と、避難計画の現状と課題を生活者の目線で明らかにし、根拠のある情報を可視化して共有し(影響を知り)、住民ひと りひとりが、未来の選択として原発稼働の是非を判断する機会・場を創出することをめざしています。  「原発災害時の避難に関する調査」として、30km圏内の障がい者および高齢者福祉施設を対象にアンケート調査を行い、「初期対応(情報収集と連絡)」「屋内退避(準備と 備蓄)」「屋内退避から避難(避難先・車両・人員の確保)」という段階に分けて、避難行動要支援者とそのサポートをする方々の課題を調べています。宿泊設備の不足、屋内退 避が延びた場合の支援、必要な人員体制など、多様な課題がみえてきています。  これらの課題に基づき、米子市・境港市・鳥取県各議会へ「原発災害時の屋内退避中の支援体制について、住民への具体的な説明を求める陳情」を行っています。  「原発事故時の被害予測と可視化」として、“島根原発と地域経済について”と“ふるさとの喪失/剥奪と原発事故”について事前学習を行い、被害予測やその可視化について 専門家の協力を得て、関心を寄せる方々と可視化の方法の検討を進めています。  今後、上記の調査結果も活用し、「議員・首長アンケート」や「情報発信と対話の場づくり」を行い、公論の形成に取り組んでいきます。

結果・成果

2022年8月の完了報告より
 米子市・境港市・鳥取県は、島根原発から30km圏に位置し、避難計画の策定を義務づけられています。しかし“周辺地域”として原発稼働の判断への同意(拒否)権はなく、議会や住民の間で、原発事故の影響や避難の実相等について丁寧な情報共有や十分な議論は行われていません。  そこで、“周辺地域”の原発事故の影響や、避難計画の現状と課題を生活者の目線で可視化・共有し、住民が未来の選択として原発稼働の是非を判断する機会を創ることをめざして、下記の調査研究を行いました。 ●「原発災害時の避難に関する調査」(1)原発30km圏内の障害者・高齢者社会福祉施設アンケート、(2)安定ヨウ素剤の自主配布会、(3)避難の受入れ先8自治体アンケートを実施。現場では避難や屋内退避に様々な課題や不安、不確定要素があり、避難行動要支援者や施設スタッフ、受入れ自治体等が困難を抱えるリスクに加え、30km圏外も原発稼働の是非の当事者であることが明らかになった。 ●「島根原発事故時の被害予測」鳥取県HP「経済波及効果推計ツール」を用い試算を行った。生じうる経済効果(消費・生産活動等)が原発事故・住民避難により減少した場合、鳥取県30km圏でGDP損失は県予算の5割程度におよぶ可能性のあることが明らかになった。また島根原発稼働と住民参画等について、市議会議員選挙候補者にアンケートを行い、結果を公表した。  これらについて、上映会での対話の場や、新聞折込チラシ、Web等で情報発信を行いました。本調査研究の結果を活かし、より広い層が原発に主体的に向き合うための情報発信や対話の場づくりをつづけ、稼働の是非判断への住民の参画促進と公論形成を働きかけていきます。

その他/備考


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