ランポー二・キアラ さん | ||
40万円 |
2023年5月の助成申込書から
本研究のテーマは、2011年の福島原発事故後、福島県が同年10月から地元の医科大学を通じて実施したがん検診の結果、小児甲状腺がんが発生した事例をめぐって生まれた医学論争である。
1) 第一の目的は、過剰診断説をめぐる疫学的議論の概要を説明することである。過剰診断説は、この地域の若い住民のがん発生率の上昇を正当化し、放射性降下物の公衆衛生への影響に関する懸念を払拭するために、当局が選んだ説明だ。UNCEARやWHOの裏付けがあるにもかかわらず、福島県立医科大学の研究計画を整然と分析すると、独立した専門家や市民科学者によって指摘されている盲点がある。それは、放射線被ばくと病態との関連性の可能性を維持しようとする試みで、診断患者への医療保険適用を主張し、検診手順の抑制に反対することが目的である。
2) 第二の目的は、これらの患者の社会的経験とその12年間の変遷を明らかにすることである。まず、チェルノブイリ研究から提示された「生物学的市民権」の概念を用いて、臨床経過の経験が、治療を提供する当局に対する患者の姿勢にどのような影響を与えたか、この経験が患者をどのように孤立させたか、あるいは市民科学団体の仲介による新しい形の連帯への道を開いたかを調査する。