高木仁三郎市民科学基金
第23期(2024年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)
第23期(2024年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)
(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)
応募者名 | 日野 行介さん | 応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 隠された行政プロセスの公文書開示による原発避難計画の実態解明 | ||
概 要 |
東京電力福島第一事故での避難の混乱を受けて、政府は原発30`圏内の自治体に避難計画の策定を求める方針に転換した。1か所の対象人口は数十万人(最多は日本原子力発電東海第二原発の92万人)と膨大で、計画の実効性に対しては「絵に描いた餅」「机上の空論」と、当初から国民の疑いの目が向けられてきた。 |
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グループ名 代表者名 |
世界の核被害者と連帯する作業部会
川野 ゆきよさん・井上 まりさん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 第3回核兵器禁止条約締約国会議と広島・長崎被爆80周年に向けて、世界核被害者の声を反映する救済政策の実現を目指す行動計画 | ||
概 要 |
世界核被害者のための救済政策の実現に向けて、2024年 8月以降オンラインで少なくとも2回、 2025年3月の2つの国連会議に合わせてニューヨークで2回フォーラムを開催し、2025年8月以降に開催予定の国際フォーラムの準備を進める。 |
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グループ名 代表者名 |
地域づくり工房 傘木 宏夫さん |
応募金額 | 90万円 |
テ ー マ | 再エネ乱開発とたたかう住民運動の調査と支援制度の提案 | ||
概 要 |
再生可能エネルギー(以下、再エネ)は、短期間・大規模に開発した場合、自然環境の破壊と、それを管理する地域社会に分断をもたらす。大型ダムや原発の開発と同様に、エネルギーの一大消費地(大都市部)を中心とした大量生産・大量消費型の社会を維持するために、植民地主義的な開発が進められている。 |
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グループ名 代表者名 |
熊本の環境を考える会 西村 澄子さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 半導体工場の立地操業に伴うリスク要因分析 | ||
概 要 |
世界的な大手半導体企業であるTSMC(台湾積体電路製造)及びその子会社であるJASMの半導体製造工場の第1工場と第2工場が熊本県菊陽町に建設され、2024年12月から出荷が開始され、2027年以降に本格操業の予定とされている。この半導体工場では、大量の地下水の汲み上げ使用と電力の多消費が計画されており、また、数多くの有害化学物質や危険な有害ガスを使用するため、その製造工程で爆発・火災などの災害リスクとともに、工場内労災・職業病の発生と合わせて、工場外の地域環境の大気、水、土壌などの環境汚染と、産業廃棄物の排出等による多種多様なリスクの発生が予測されることから、まずはそのリスク要因分析を行うことによって、公災害の発生の未然防止に資するための調査研究を行なう。また、この調査研究の一環として、TSMCの本社工場がある台湾の新竹市をはじめとする台湾の西海岸の都市に所在するハイテクパークの視察見学(台湾における半導体工場を見て、知って、理解し、学ぶツアー)と、関係行政機関に対するヒアリング及び環境NGO団体との交流を行なうことで、既設半導体工場における諸問題に関する情報収集を行なうことにより、リスク要因分析作業の一助とする。
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グループ名 代表者名 |
避難計画を案ずる関西連絡会 島田 清子さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
福井県内の原発では初となる、使用済燃料のサイト内乾式貯蔵施設の建設について、30km圏内の関西住民の意識を調査する。福井県内の市民団体と協力し、その結果を、自治体、議員、市民へ知らせ、自治体申入れ等で伝える。 住民不在の原子力の推進のあり方にも、広く問題提起していく。 | ||
概 要 |
関西電力の若狭の3つの原発(高浜、大飯、美浜)の使用済燃料プールは満杯に近づいている。3〜5年程で満杯になり、原発の運転継続ができなくなる。そのために、敷地内に新たに乾式貯蔵施設を建設しようとしている。4月から規制委員会での審査が始まっている。 |
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グループ名 代表者名 |
木質バイオマス発電チェック市民会議
川端 眞由美さん |
応募金額 | 20万円 |
テ ー マ | 木質バイオマス発電による放射能汚染の拡散調査 | ||
概 要 |
長野県東御市は、工業団地に誘致した信州ウッドパワー鰍フ木質バイオマス発電の焼却灰放射能濃度を毎月測定して市のホームページで公開してきた。 |
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グループ名 代表者名 |
水島地域環境再生財団 塩飽 敏史さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ |
備讃瀬戸海域における海底環境の変化に関する研究 〜海域環境も含めた流域治水の基礎的な資料として〜 | ||
概 要 |
近年、瀬戸内海の漁業者からは、底モノと言われるエビやシャコなどの減少が著しく、その原因の一つとして、2018年7月の「西日本豪雨災害」時に流出した土砂が海底に堆積しているためとの声が聞かれる。地球の平均気温の上昇に伴う「気候危機」により、大雨や洪水等の自然災害の増加が懸念される昨今、流域治水による減災対策を進める考え方が広がりつつあるが、海域にもその影響が及ぶことを鑑みた対策を検討することが必要であると考える。 |
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応募者名 | 小谷 英里さん | 応募金額 | 100万円 |
テ ー マ |
加害を伝える実践の生成過程 ―長崎で朝鮮人被爆者はどのように表層化したのか― | ||
概 要 |
広島や長崎で原爆被害に遭った人々には、日本の人々のみならず、日本の植民地支配・占領下にあったアジア・太平洋諸国出身者や連合国軍捕虜などが含まれる。しかし、原爆被害の解明や伝承の過程でかれらの存在が着目されることは少ない。 |
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グループ名 代表者名 |
アンパルの自然を守る会 井上 志保里さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 琉球列島最大規模の湿地帯、樽舞湿原の生態系価値の評価 | ||
概 要 |
与那国島は日本最西端に位置する国境の島で、最も近い西表島からも83km離れており、渡り鳥の経由地や固有種が多く生息する独自の生態系を有する。その中でも比川集落にある樽舞湿原は沖縄県に残されている最大級の湿地帯であり、「生物多様性の観点から重要度の高い湿地500」に選定されている。 |
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グループ名 代表者名 |
脱炭素のための軍縮を求める会 まつだ かなこさん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | 自衛隊と在日米軍の航空機のGHG排出量の市民調査 | ||
概 要 |
世界の温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに半減させなければならないことは、国際的な公約となっている。しかし米国のロビーイングの結果、国連気候変動枠組み条約では各国の軍部の排出量の削減および報告を義務づけていない。しかし米国国防省が単一ユーザーとしては世界最大の石油購入者・排出者であるとの研究や、世界の軍隊が合計排出量で日本やロシアをも凌ぐ世界第4位の排出者であるとの研究から、軍隊のGHG排出量の実態解明が急務であるとの認識が急速に広がっている。またウクライナやガザ地区での戦争が大量のGHGを排出しているとの試算も出されたことで、戦争と軍隊が地球温暖化に極めて大きな影響を与えているとの問題意識も広がっている。こうした背景から、欧米の軍部を対象とした研究が行われてきた。 |
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グループ名 代表者名 |
福島老朽原発を考える会 青木 一政さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | リネン吸着法の吸着メカニズム解析と絶対値評価 | ||
概 要 |
福島原発事故の影響により汚染土壌の再浮遊や、汚染ごみ焼却炉排ガスの拡散など、大気中の放射性セシウムを含む微小粉塵濃度測定のニーズが巾広く存在している。セシウム等放射性物質を含む微小粉塵(PM2・5)は吸入すると肺の奥の肺胞に滞留し長時間排泄されず内部被ばくによる健康リスクが大きい。汚染地域住民にとってこの影響懸念は大きく、このニーズは今後も長期に渡って続くと予想される。 |
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応募者名 | 原田 浩二さん | 応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 市民によるPFAS調査のための化学分析基盤の構築(第2期) | ||
概 要 |
フッ素原子を含む有機化合物のうち、難分解性を示すフッ素化アルキル化合物PFASによる環境汚染、ヒト曝露について近年、注目が高まっている。泡消火剤の使用があった在日米軍基地、自衛隊、空港周辺地域、またフッ素樹脂製造工場の近隣で地下水汚染を引き起こし、その結果、飲料水や農作物の汚染から地域住民の人体へ蓄積が見られており、健康リスクが示唆される濃度で検出されている。沖縄県、東京都多摩地域、大阪府摂津市が代表的な事例となる。しかしながら、まだ上記の地域においてしか血液検査などは実施されていない。PFASは全国的に使用されてきており、汚染の実態が明らかにされていない地域が数多く残されている。地域ごとで汚染の原因、状況は多彩であり、広域での定点観測では汚染を同定することは困難であり、地域で生活する市民の視点での調査が求められる。 |
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グループ名 代表者名 |
みんなのデータサイト 藤田 康元さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ |
実践・市民放射能測定室の作り方 〜市民が培った確かな測定技術の継承を目指して〜 | ||
概 要 |
福島原発事故の後、市民による空間線量測定がすぐに始まった。引き続いて、食品や住環境の汚染の実態を知るため、様々なバックグラウンドを持つ人々が集まり、放射能測定に必要な機器の選定調達・測定技術の習得を経て、日本全国で市民測定室が立ち上がった。放射能測定の対象が公的測定マニュアルに記載のない身の周りのあらゆるものに及んだため、試料調整・測定方法を工夫し正確な測定結果を得るため試行錯誤を経てノウハウを蓄積する必要があった。この貴重な測定室立ち上げと測定のノウハウは、市民が広く共有できるものとしてまとめられていない。特に市民が培った確かな測定技術の継承は市民測定室の活動の維持・向上を図る上で重要であるだけでなく、次の重大事故に際して市民が迅速に測定体制を立ち上げるためにも不可欠である。以前より、測定室の作り方を教えて欲しいという海外からの要望も来ている。本調査研究はこの課題に応えるものであり、市民科学としての重要性は明らかだと言える。本調査研究の一年目には、市民測定室を対象に立ち上げ時から現在までの諸課題について尋ねる質問票調査とインタビュー調査ととりまとめを行った。二年目は、インタビュー調査の対象を支援者・協力者に広げて、調査結果を総合的に分析する。この分析を踏まえ、測定技術のノウハウを網羅した測定ガイドをまとめる。
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グループ名 代表者名 |
外環振動・低周波音調査会 上田 昌文さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 外環道大深度工事で発生した振動・騒音・低周波音による被害の実態把握とそれへの対策に関する調査 | ||
概 要 |
2020年10月18日に調布市で起こった東京外環道トンネル工事に伴う陥没事故を機に、周辺地域では被害と補償をめぐって、さらにはトンネル工事の継続や地盤改良工事の実施の可否やそのリスクをめぐって、事業者(国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)が、これまでに住民が納得できる調査や情報提供を行ってこなかったことからくる様々な問題が噴出している。2021年及び2022年の高木基金の助成を受けて、市民科学研究室が被害者住民らと共同で「外環振動・低周波音調査会」を立ち上げ、地盤・地質、振動・騒音、そして環境センシングの分野の専門家の協力を取り付けつつ、振動・低周波音による健康被害(2021年12月11日に報告会)ならびに建物損壊(2022年7月に第一次、2023年5月に第二次報告会)の実態調査を実施した。これらと並行して、地下工事から発生する振動を常時モニタリングする必要を痛感し、簡易な振動計(既存の振動加速度センサーのアプリケーションを改良して中古iPhoneに装備したもの)を用いてデータを自動記録するシステムを開発し、シールドマシンによる掘進が進行・再開されているエリア(外環道の練馬、三鷹、世田谷エリア、横浜環状南線エリア、リニア中央新幹線エリア)で計測を続けている。さらに、調布エリアで2023年夏から開始された地盤改良工事、ならびに、上記各エリアでの地下掘進での、振動・騒音・低周波音に起因する種々の被害を、各エリアの住民と連携しつつ未然に防ぐために、事業者へ種々の質問状の提出と直接交渉、地元での学習会や見学会の実施を重ねている。これまで3年間に蓄積した地盤や工法やモニタリングなどに関する知見と本調査で示した市民科学的手法を、広く全国の住民に提供するために、最新の情報を提供するウェブサイトを構築し、問題の全体を概説する書籍を刊行する。
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グループ名 代表者名 |
原子力資料情報室 高野 聡さん |
応募金額 | 40万円 |
テ ー マ | 地域分断の阻止と文献調査拒否を勝ち取った長崎県対馬市の住民運動の研究 | ||
概 要 |
本研究は2023年に文献調査応募に揺れた長崎県対馬市における住民運動を扱う。具体的には、住民運動を担った住民へのインタビューを通して、対馬市長による調査受け入れ拒否を勝ち取った住民運動の実態を明らかにする。その際、3つの点を明らかにしたいと思っている。 |
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グループ名 代表者名 |
原子力規制を監視する市民の会 阪上 武さん |
応募金額 | 50万円 |
テ ー マ | 能登半島地震により浮かび上がった複合災害時の避難及び救援に関する諸問題についての調査研究 | ||
概 要 |
能登半島地震により、重大な自然災害と原発重大事故の複合災害に際して、現状の原子力防災・避難計画では対応できないことが以下のように明らかになった。 |
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グループ名 代表者名 |
FoE Japan 柳井 真結子さん |
応募金額 | 100万円 |
テ ー マ | リニア中央新幹線工事の残土処分の影響調査 | ||
概 要 |
リニア中央新幹線のトンネル掘削からは膨大な残土が発生します。環境影響評価には、残土置き場はほとんど含まれておらず、現在、JR東海はトンネル掘削と併行して残土の処分先を探しています。候補地となる場所には、土砂災害のリスクの増加、森林や湿地の破壊、生態系への影響、そして、有害な重金属を含む「要対策土」による汚染などが懸念される場所もあります。しかし、リスクの高い残土置き場や要対策土処分地の周辺住民でも、十分な情報を提供されていません。限られた情報の中での受け入れ判断や対応が迫られています。 |
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