高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2004年度実施分)


グループ名:天草の海からホルマリンをなくす会
代表者氏名:松本 基督さん
研究テーマ:1)ホルマリン由来の反応生成物に関する調査・研究
2)魚類養殖場周辺の底質調査
 助成金額: 70万円

研究の概要:2003年12月の助成申込書から
研究の成果:2005年4月の完了報告から

<参考>
これまでの助成研究:2003年度実施分

研究の概要 : 2003年12月の助成申込書から

【背景】 当会は1996年の結成以来、養殖魚へのホルマリン使用について、海域汚染と食品安全性の観点から重大な問題があるとしてその解決のために活動してきた。私たちの調査やトラフグ養殖場の実態を描いたテレビ番組放映などによって、ホルマリンの無登録販売や不正使用などが判明したが、行政や業界は魚体や海水のホルムアルデヒド残留濃度を分析して、濃度が極めて低いか検出されないことをもって「安全」「汚染されていない」と説明してきた。しかし、ホルマリンは、他の物質と極めて結合しやすく、通常の海水中ではホルマリンは速やかに検出されなくなることが分かっている。また、ホルマリンが大量に使用され、流されてきた海域では、ホルマリンが検出されなくとも海藻の枯死や貝類の大量死などの異変が起こっていることから、ホルマリンの反応生成物の毒性・特性の解明が求められている。

【経過・成果】 高木基金の助成は、前年度に続き2回目。@については、ホルマリン由来の反応生成物に関する実験として、アコヤガイの餌である植物プランクトンにホルマリンを添加した上で、アコヤガイに飼料として与え、アコヤガイへの影響を調べた。結果として、ホルマリン添加のプランクトンを与えたアコヤガイは、中腸腺の組織に変化が見られ、免疫機能の低下も確認された。A養殖イケス近くの海底泥などを採集し、漁網防汚剤であり、猛毒の有機スズが含まれていないか分析を行ったところ、高濃度の有機スズが検出され、現在でも、有機スズ入り防汚剤が使用されていることが窺われた。

【今後の展望】 今後も、魚類養殖の「薬漬け」状態を監視するとともに、漁場環境への負荷軽減と食品安全性を向上させるために、次のようなことを提言したい。@水産用医薬品の使用報告を義務化すること。A1999年より施行されているが、ほとんど成果の挙がっていない持続的養殖生産確保法を改正すること。B養殖業者へのホルマリン販売規制、ホルマリン使用に対する監視体制の整備。C優良生産者に対する優遇措置(正直者がバカをみる現況の改善)

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研究の成果:2005年4月の完了報告から
◆ 完了報告書PDF 569KB ◆ 会計報告 PDF 58KB
◆ 研究レポート
『魚類養殖産業の薬物使用問題を考える』 PDF 1,450KB
<助成報告集Vol.2,2005掲載>


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