高木仁三郎市民科学基金 研修の概要 (2004年度実施分)


   氏名:奥田 美紀さん
研修テーマ:環境的正義の視点からみた
環境法・行政立法過程・住民運動
−米国サンフランシスコ市ハンターズポイントに
おける環境汚染を事例として
 助成金額: 20万円

研修の概要:2003年12月の助成申込書から
研修の成果:2005年4月の完了報告から


研修の概要 : 2003年12月の助成申込書から

【背景】 米国カリフォルニア州サンフランシスコ市/郡の1地区、Bayview Hunter's Point(BVHP)にある化石燃料による発電所が、住民の要望に反して閉鎖されず、稼動しつづけている現状と、BVHPのように、有色人種の居住地域に環境負荷が集中している社会的構造を明からにすることを目的として研究に取り組んだ。BVHPの住民の9割は有色人種で(アフリカ系米国人が大部分)、この地区にサンフランシスコ市の2/3の環境負荷施設が集中している。この結果、BVHPの胎児死亡率は途上国なみに高い。乳がんやぜんそくを患う人の割合も高いことで知られている。

【経過】 国内での文献調査などの後、2004年7−8月に現地調査を行い、2005年3月までに修士論文としてまとめた。

【成果】 環境負荷施設の立地に際しては、「近くに病院や学校といった施設がないこと」、「地価が安いこと」などの"人種とは関係のない基準"を使って場所を選ぶというが、実際には、有色人種が住む地域の特徴と一致しており、"人種と関係している基準"であることがわかった。発電所の運用は「合法」であるが社会的に公正ではないこと、BVHPに環境負荷が集中するようになった背景には、環境レイシズム(環境人種差別)があることが明らかになった。

【今後の展望】 ジャーナルや団体機関紙に研究結果を日本語・英語で投稿していく。 現在勤務している新聞社では、企業の社会的責任(CSR)、消費者問題、環境問題などを中心に取材している。本研究で学んだ調査の経験、行政・企業・市民・市民団体の関係、社会的公正と法令遵守のねじれの関係など、日本国内の問題を分析する際に、クリティカルな視点から記事を書いていきたい。

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研修の成果:2005年4月の完了報告から
◆ 完了報告書PDF 313KB ◆ 会計報告 PDF 55KB
◆ 研究レポート
『環境正義の視点からみた環境法・立法過程・住民運動
―米国サンフランシスコ市ベイビューハンターズポイントにおける 環境汚染を事例として―』
PDF 1,480KB
<助成報告集Vol.2,2005掲載>


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