高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2005年度実施分)


   氏名:奧田 夏樹さん
研究テーマ:エコツーリズムが自然環境に及ぼす影響についての研究
 助成金額: 50万円

研究の概要:2004年12月の助成申込書から
研究の成果:2006年4月の完了報告から

<参考>
その後の助成研究:2006年度実施分

研究の概要 : 2004年12月の助成申込書から

本研究では、西表島におけるガイドツアー事業者による地域利用実態の把握、およびガイドツアープログラムの専門性の検証を、野外調査、ガイドツアーへの参加、および聞き取りによって実施した。またより広く、観光に関連する地域の現状把握を行なった。さらに、自然体験型ガイドツアー(含エコツアー)が地域生態系に与える影響について、より科学的な検出をおこなうことを試みた。

重点調査地域は、西表島北西部の船浦湾に開口する、マーレー川、ヒナイ川および西田川流域とした。当該地域は自然体験型ガイドツアーによる利用が現在島内で最も高い地域である。

ガイドツアーブーム以前、あるいは初期にあたる1990年代初期の時点では、自然体験型ツアーのガイド業を営んでいる個人事業主・団体は、西表島全島でも10未満程度で、しかもガイド業だけで生計を立てられる例は皆無に近かったのではないか、という証言が複数の当時を知る人々から得られている。同様に、カヌーレンタル業についても当時は黎明期で、その大部分は民宿などが副業的に行なう程度に限定されていたとのことである。即ち、この当時ピナイサーラの滝を間近に見ることを目指す入域者は、徒歩、あるいはカヌーをレンタルした上で、ガイド(道案内)なしで向かうのが通例であったことも判明した。

さらに現地調査からは、こうした歴史を持つ当該流域で、自然環境保全上、速やかな対応が求められる問題(水域への飛び込み、樹木の傷害、カヌーによる河岸浸食、無許可の施設整備による影響)の検出にも成功した。またこれらの問題を認識する上では、生物学的視点からの調査に止まらず、インタビューなども含めた学際的手法が極めて有効であることが明らかとなった。

本研究から得られた知見から、西表島はもちろん、これからの日本において、自然と人間との関係のありかたはどのようであるべきか。そのなかで自然体験型ガイドツアー(エコツーリズム)はどのような役割を果たしうるかについて議論した。

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研究の成果:2006年4月の完了報告から

◆  調査研究の概要 PDF 19KB ◆  会計報告 PDF 5KB
◆ 研究レポート
『エコツーリズムが自然環境に及ぼす影響についての研究』 PDF 671KB
<助成報告集Vol.3,2006掲載>


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