高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2006年度実施分)


グループ名:大間原発フルMOX研究会
代表者氏名:大場 一雄さん
研究テーマ:大間原子力発電所フルMOXの
安全性研究
 助成金額:100万円

研究の概要:2005年12月の助成申込書から
 途中経過:2006年10月の中間報告から
結果・成果:2007年4月の完了報告から


2007年6月の成果発表会にて

研究の概要 : 2005年12月の助成申込書から

・青森県大間町に電源開発が建設を予定している改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)は、全炉心にMOX(プルトニウム燃料)を装荷することが予定されている。今日フランスやドイツで実施されているMOX燃料利用や日本の原発で予定されているプルサーマルでのMOX装荷率は約30%程度であるが、それでも安全性には多様な問題点のあることが指摘されている(『MOX総合評価』等)。フルMOXは、世界的に見てもこの大間原発以外予定してる原子炉はない危険性の高いものである。

・本研究では大間原発の安全性、特にABWR-フルMOX燃料装荷に争点をあて、その問題点を明らかにする。

・稼働中のABWRは柏崎刈羽6,7号機のみであり、まず運転の実態を検証する。さらにフルMOXにおいて国はABWRの基本仕様の変更は必要ないとしているが、大間原発ではフルMOXのためABWRに以下の設計変更が実施されており、その危険性を国も認める形となっている。
1)ほう酸水注入系に係わるほう酸水タンク容量の増加
2)高価値制御棒の採用
3)蒸気逃がし安全弁の容量増加

これらの対応の問題点、不十分性も検討する予定である。

・本研究によるフルMOXの危険性の解明は、1/3炉心MOXの問題点を改めて検証することにも資すると考える。

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 途中経過:2006年10月の中間報告から

大間原発フルMOX研究会の第1回公開学習会として、3月24日、刈羽村を守る会の武本和幸さんに「ABWRと原発裁判」のタイトルで柏崎刈羽原発について講演していただいた。 3月24日は、志賀原発2号機の金沢地裁判決日であり、大間原発「共有地裁判」の仙台高裁判決予定日(延期で31日に判決)であった為、相乗効果を考えて開催。翌25日には非公開で研究会を行う。

6月1日、小林圭二さんを講師に「フルMOXの危険性」を学び、内部検討を行う。

6月16日、再び武本さんを講師に第2回公開学習会を開催。電源開発鰍フ「原子炉設置許可申請書」の問題点の一つとして地震問題が提起され、7月16日に大間現地調査を行う。「申請書」記載の活断層等に疑問が生じた為、8月5〜6日には青森在住の地質研究者の松山さんに参加していただいて、再度大間現地調査を行う。

8月11日、調査結果検討の後、電源開発鰍ノ公開質問状を提出。

8月20日、調査結果の報告を兼ねて内部検討会開催。

尚、5月19日、大間原発予定地内に私有地を持ち、ログハウスを建てて反対を貫いていた熊谷あさ子さんが急逝されました。まだ68歳、残念でたまりません。ご遺族の協力も得て研究会を継続しています。

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結果・成果:2007年4月の完了報告から

 公開学習会を4回、内部検討会を6回行いました。目的の一部である大間原発訴訟への資料、情報の提供でいえばかなりの効果があったと思っています。例えば、武本和幸さんの参加によって地震、火山について現地調査を繰り返して疑問点を質問状として提出したこと。またその結果、地元の地質研究家と検討を繰り返して、六ヶ所や東通、むつの断層問題に発展したことなどです。

これまでは年に1〜2回しか自力でできなかった講師に来函していただいての学習を集中的に行なうことで、市民に知る機会を提供できました。特に2007年2月、4月、5月の公開学習会は毎回新しい参加者が増えましたし、6月には函館と現地大間町で学習会を開催することができました。原子炉設置許可が出されようとしている現在、フルMOXの実態を市民に広げる活動は不十分ではありますが、成果はあったものと思います。

その他、現地調査の継続、研究の成果を函館市への提言として発信することを継続したいと思います。

◆  助成研究の完了報告書 PDF 14KB ◆  会計報告 PDF 5KB


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