高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007年度実施分)





グループ名:環瀬戸内海会議
代表者氏名:阿部 悦子さん
研究テーマ:瀬戸内海沿岸潮間帯の海岸生物調査と、
それによる地域再生をめざして
 助成金額:30万円
研究の概要:2006年12月の助成申込書から
 途中経過:2007年 9月の中間報告から
結果・成果:2008年 4月の完了報告から

<参考>
助成先のウェブサイト:http://ww1.tiki.ne.jp/~rkshizutani/

研究の概要 : 2006年12月の助成申込書から

一つは、瀬戸内海の環境が生態系とりわけ生物層とどのような関係の中にあるのか、現実の海の実態を生息する生物種と個体数を調査し検証すること。 そのために、定点での経年的継続的調査実施体制を各地に確立し、さらに実施場所を拡大すること。

二つには、自然海岸が失われ、コンクリート護岸によって海に接する機会すら失われ、さらには身近な海の生態に間近に接する機会が失われてきた今日、瀬戸内沿岸に住む住民にとって、瀬戸内海の海の現況を知る機会を持てる場として、ひいては地域や生協やいろいろな環境に関心を寄せるサークルなどの年間行事として定着すれば、瀬戸内海の環境への関心を喚起し、その保全に理解を得、豊かな美しい自然を次世代に継承していく力を育む。さらには地域のコミュニケーション再生のための一つの場の提供になっていくことを目指す。

三つには、そのためには、生物学に詳しくない素人、一市民が手軽に、レクリエーションを兼ねてでもできる調査方法の確立が必要と、2002年より海岸生物調査を開始し、06年で5年目になる。5年目を一区切りとして、これまで5年間の調査結果をまとめ、分析した報告書の出版を07年中に実現を目指す。

このページの先頭に戻る

 途中経過:2007年9月の中間報告から

瀬戸内海を生態系の視点から、定点での継続的な調査は公的にはない、かつ、大阪湾が典型的だが、コンクリート護岸によって海と人の暮らしが遮断されてしまった。海と接する機会が失われ、「足元の海」を見つめる機会さえ失われつつある。これは地域に暮らす人々の意識からも遠のいているように見える。

02〜06年の5年間の生物調査の地道な活動の積み重ねが、専門家からも学術的にも高い評価の声を聴くようになってきている。9月末には5年間の調査報告書が出来る予定。

地域再生の観点からは、@ 食品に関心が高い生協が私どもの提案で継続的な生物調査に取り組むようになってきた。A 平成の大合併に加え小中学校の統廃合問題を抱え、過疎化・高齢化のなか地域は益々深刻になっている。そんななか、小学校のPTAとその子どもたちの有志、地域の環境子どもクラブなどにも継続的な活動が芽生えてきた。

07年度は、04年のような相次ぐ台風の襲来もなく、ほぼ順調に調査が実施されてきた。生協では組合の年中行事に組み込まれ、組合員のイベントとして毎年実施されるなど「定点での継続的調査」がすっかり定着している。地域の子どもクラブさらには小学校のPTAの活動の一部に取り上げられたことは、今後に向けて極めて有意義であり各地で取り組まれることを願ってやまない。これまで、4の経過・成果に示すように 30箇所で延べ人数約300人が参加して実施された。徐々にではあるが、参加者数が増えていることは評価できよう。

地域に暮らしながら「足元の海に目を向けること」が大切と思っている。地道な取り組みだが、地域を見直すきっかけにもなろう。何より、参加する子どもの笑顔がまぶしい。

このページの先頭に戻る


結果・成果:2008年4月の完了報告から

瀬戸内海を生態系の視点から、定点での継続的な調査は公的にはない、かつ、大阪湾が典型的だが、コンクリート護岸によって海と人の暮らしが遮断されてしまった。海と接する機会が失われ、「足元の海」を見つめる機会さえ失われつつある。これは地域に暮らす人々の意識からも遠のいているように見える。

2007年10月、5年間の調査の積み重ねを「2002〜06年 瀬戸内海沿岸の海岸生物調査報告書」としてまとめ、発刊した。生物調査の地道な活動の積み重ねが、専門家からも学術的にも高い評価の声を聞くようになってきている。瀬戸内海研究会議会長・松田治先生(広島大学名誉教授)からも「02〜06年 瀬戸内海沿岸の海岸生物調査報告書」をお送り頂き大変有難うございました。漁業統計以外のこのような生物に関する調査報告は非常に貴重なものです。大いに参考させて頂きたく思っております」とお褒めのお便りを頂戴した。

地域再生の観点からは、@ 食品の安全に関心が高い生協が私どもの提案で継続的な生物調査に取り組むようになってきた。A 平成の大合併に加え小中学校の統廃合問題を抱え、過疎化・高齢化のなか地域は益々深刻になっている。そんななか、小学校のPTAとその子どもたちの有志、地域の環境子どもクラブなどにも継続的な活動が芽生えてきた。

2007年の海岸生物調査は、ほぼ順調に調査が実施されてきた。生協では組合の年中行事に組み込まれ、組合員のイベントとして毎年実施されるなど「定点での継続的調査」がすっかり定着している。地域の子どもクラブさらには小学校のPTAの活動の一部に取り上げられたことは、今後に向けて極めて有意義であり、何よりも子どもたちの参加が、徐々にではあるが増えてきていることが喜ばしい。子どもたちの参加を促す生物調査が各地で取り組まれることを願ってやまない。

環瀬戸の海岸生物調査は2002年から開始し、今年で7年目を迎えようとしている。2007年は現在把握しているもので77箇所、参加人数526人となった。この4年間の生物調査には毎年、500〜600人が参加者している。

地域に暮らしながら市民の目線で「足元の海に目を向けること」が大切と思っている。地道な取り組みだが、地域を見直すきっかけにもなろう。何より、参加する子どもたちの笑顔がまぶしい。


2007.5.3 山口県上関町田ノ浦湾
上関原発予定地は「瀬戸内海の原風景」

2007.6.3 香川県土庄町豊島
後ろ(画面奥)塀の中は不法投棄産廃現場


2007.5.19 兵庫県西宮市御前浜
人工海岸〜砂を掘ると黒い


2007.8.12 香川県観音寺市
有明浜西べり財田川河口消波ブロック



このページの先頭に戻る










>> 高木基金のトップページへ
>> 第6回助成の一覧へ