高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007-08年度実施分)


グループ名:彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば
代表者氏名:加藤 晶子さん
研究テーマ:彩の国資源循環工場による環境汚染調査
 助成金額:40万円

研究の概要:2007年12月の助成申込書から
 途中経過:2008年 9月の中間報告から

研究の概要 : 2007年12月の助成申込書から

現在の日本のごみ行政で主流になりつつある「焼却強化」による、大量生産大量廃棄の社会システム。しかしこれは地球規模で希求されている資源循環型社会ではなく、何らかの形(排気・排水・製品と呼ばれる排出物)で有害な化学物質が環境中に排出されてしまう。これを解決するには、ごみとなる製品自体に有害な化学物資を添加せず、安全なものとし、さらに化学変化により新たな有害化学物質を合成させない手法が必要と考える。

先の流れのただなかにあるのが「彩の国資源循環工場」である。この施設からの環境汚染を調査し、明らかにすることで、大量生産大量廃棄の社会システムによる、ごみ処理の大規模化・一極集中化に一石を投じたい。

各事業者やこれに主体的に関わる埼玉県も環境測定を行っているが、測定業者選定、測定場所、測定項目、測定回数、一時的な濃度であり蓄積性の土壌や松葉測定がされていない、第三者機関が行っていない、クロスチェックがない等、必ずしも適切だと思われない。また、当地に適さない大気拡散シミュレーションを当てはめ、住民の意見で初めて東西南北に測定場所を設置する等、県の環境アセス自体も疑問視されている。

このことから、被爆側である住民からのアプローチが不可欠であり、当地に適した大気拡散シミュレーションによる適地の選定、被爆の原理=蓄積量のわかる環境測定、一時的なものについては頻繁に環境測定を行う。

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 途中経過:2008年9月の中間報告から

彩の国資源循環工場は、埼玉県寄居町と小川町の境にある,公共関与による全国初めての民間リサイクル施設(借地事業者)、PFIサーマルリサイクル施設(PFI事業者)、県営最終処分場(環境整備センター)、県と民間の研究施設で構成する総合的な「資源循環モデル施設」です。

しかし、2006年の稼動後まもなく “クローズドシステム”で絶対に外に出ないはずの排水から鉛・ホウ素が検出されましたが、埼玉県・寄居町・各地元環境協議会は隠ぺいし、新聞に掲載され初めて住民に発表しました。

また、9社の雨水排水が流れ込む防災調節池からダイオキシンが基準値を超え、県は9社の雨水枡を調査し、委員会を発足したが、いまだに原因不明。さらに水素イオン濃度超過も2回。これについては、県は9社の雨水枡を調査もせず、生物要因としました。また、周辺住宅地でも悪臭が観測されています。

また、埼玉県と事業者で行っている環境測定は、瞬間データさえクリアすれば良しとする行政の決めたルールのため、従来、僅か1社であっても異変に気付いた時には重大な環境汚染が進行していたという例は多く、本施設群もその可能性が大であると考えます。

これを未然に防ぐには、住民自らが住民の健康に直結した正確な環境測定を行い、データを積み上げていき、報告会、請願、訴訟等を行うことにより、本施設の将来と住民の安心・安全が現実のものになると考えます。

当会の行う環境調査は、松葉のダイオキシン類・重金属類測定、アサガオによる光化学スモッグ調査、桜の異常花調査、児童生徒の疫学的健康調査、自然観察会、川の生き物調査とともに、今回新たに取り組むのが、本施設で県で公表された水質調査です。

排水に有害物質が流れても、地形や地質が影響を与えるなど、素人である当会員にとって難しい要因があるので、外部協力者として、信州大学講師の関口鉄夫さんをお迎えして、湧水調査、井戸水測定、河川の水質測定をしています。専門家である関口氏から指摘もあるようにかなり試行錯誤しており、的確な調査となるためには数年かかりそうです。

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