高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007-08年度実施分)


グループ名:遺伝子組み換え食品を考える中部の会
代表者氏名:伊澤 真一さん
研究テーマ:遺伝子組み換えナタネの拡散を防ぐための
名古屋、四日市港周辺の調査研究と活動
 助成金額:20万円

研究の概要:2007年12月の助成申込書から
 途中経過:2008年 9月の中間報告から

研究の概要 : 2007年12月の助成申込書から

遺伝子組み換え食品を考える中部の会(以後中部の会)は食の安全のため、遺伝子組み換え食品、BSE、学校給食などの問題を農業という視点から考え運動する団体です。

2002年、かねて96年より愛知県農業総合試験場で行われていた、除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)イネの研究を中止させるための活動をしました。

そして現在は名古屋港と四日市港周辺で起こっているGMナタネの一掃をめざし、野外調査、研究、そして抜取りの運動を推進しています。

これは2004年7月、茨城県鹿島港周辺で2種類のGMナタネの自生が確認されたという農水省の発表を受けてのものでした。中部の会による名古屋港と四日市港周辺の野外調査の結果、GMナタネの自生を両港周辺でも確認しました。

以後今日に至るまでの3年間で、すでに十数回の現地での野外調査、関連団体との折衝などを重ねております。

一連の調査から、GMナタネの勢力が確実に拡大しつつある事実が明らかになっております。今後はさらなる追跡調査と、GMナタネの拡散の防止、終息のための運動を、関連の企業、団体、行政議員等の協力を求めつつ、超党派により展開してゆく必要があります。

GMナタネの自生については、すでに食品としての安全性が確認されているため、問題はないとの農水省の見解があるものの、GM作物については依然としてその安全性(食品・環境について)には不確かな部分が多いという点も否定できません。

このGMナタネが将来引き起こすかもしれない種々の問題と、さらに風評により三重県と愛知県の農業に及ぶかもしれない経済的被害を防ぐ意味でも、中部の会の活動は不可欠であると確信します。

わたくしどもの活動でもっとも問題となるのが資金的なものです。とくに野外調査でのGMナタネの判定用に使われる試験キットは高額なものであり、中部の会の運営に多大な負担となっております。

どうか中部の会の活動にご理解をいただき、ご援助をいただきたいと考えます。

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 途中経過:2008年9月の中間報告から

遺伝子組み換え食品を考える中部の会(中部の会)では、2004年以来、名古屋港と四日市港周辺で陸路での移送過程でこぼれ落ち自生している遺伝子組み換え(GM)ナタネの実態調査と研究を行ってきた。

2008年4月を前後とし、新たな展開として内陸部でのGMナタネ自生が愛知県豊川市内、国道1号沿線で確認されたため、その調査活動を行うこととなった。また7月13日に名古屋での『GMナタネ自生調査全国報告集会』、7月14日に『四日市港周辺のGMナタネ抜取隊』を、『遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン』と共催で行った。なおそれに先立ち事前調査を三重県鈴鹿市、国道23号沿線で行った。

なお、上記愛知県豊川市内、国道1号線でのGMナタネに関し、われわれが懸念していた他のナタネ種への交雑を疑わせる個体を確認したことを挙げておかなければならない。まだ、遺伝子レベルでの同定は完結されていないものの、外形的特長からGMキャノーラ種から在来ナタネへのGM遺伝子の伝播が疑われている。現在その同定を米国アイオワ州立大学で行っているが、追加検査のための検体を現地にて確保しなければならない段階である。そのためには、現地での在来ナタネの発芽生育の時期を待たなければならない。その時期は今秋か来春の予定である。日本国内ではまだGMセイヨウナタネの他のナタネ品種への自然界での交雑例はなく、慎重に扱わなければならない事例である。在来ナタネは地方により、河川敷などで野生化しており、交雑によるGM遺伝子の拡散が懸念される。

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