高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007-08年度実施分)


グループ名:香川ボランティア・NPOネットワーク
代表者氏名:石井 亨さん
研究テーマ:別当川の自治と治水の批判的検証
 助成金額:25万円

研究の概要:2007年12月の助成申込書から
 途中経過:2008年 9月の中間報告から
<参考>
助成先のウェブサイト: http://www.geocities.jp/kvn_net/

研究の概要 : 2007年12月の助成申込書から

小豆島には、寒霞渓の麓に流れ出る別当川がある。この川に巨大ダムが建設されようとしている。川の全長はわずかに3988メートルしかないにもかかわらず、計画されている堤体の長さは447メートルと川の全長の1割を優に超える。

当該地区では、地域を二分してダム建設推進派と反対派に別れ、97%の用地がすでに買収され、残る反対地主をよそに、土地収用法に基づく現地説明会までもが開かれるに至っている。さらに、ダム湖に水没する予定のため池底地が、所有者らの知らぬまに自治体によって保存登記され所有権移転されてしまった。戦後地方自治法施行の遥か以前から存在する入会の所有するため池である。不可解としか言いようがない。

それどころか、そもそも川の全長の1割を超えるダムを建設するという発想自体が、私たちはもとより大多数の国民にとっても不可解に思えるに違いない。

概略の検証を行ったが、端緒となっている昭和51年災害の分析、計画の規模、基本高水の設定、高潮との整合性、隣接する他の河川計画との整合性などに疑問点・矛盾点が多々見受けられる。にもかかわらず公共事業には、事業修正のための装置が用意されていないばかりか、こうした問題提起する場所すら与えられていない。

そこで、当該地域における水利用、及び治水の歴史を明らかにし、公共事業の名の下に収奪された土地の所有権及び自治管理の仕組みを明らかにするとともに、利水計画、治水計画の虚構を科学的に批判検証するものである。

また、これら成果をパンフレットとして作成し、さらに行政が拒否している「公開での討論の場」を住民により組み立てて実現し、同時に公共事業を検証する装置を政策提言する。

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 途中経過:2008年9月の中間報告から

反対する住民の質問に答えることもなく、強行される大型ダム事業の批判的検証を目的として調査を開始した内海ダム再開発問題は、今年3月19日付けで「土地収用法適用事業申請」が出された。

土地収用法とは、個人の所有権を超えて公権力で所有権を剥奪できる法律である。当然のことながら、その公益性、合理性が十分に説明されなければならない。そのため土地収用法では、2週間以上の公告縦覧期間を設けて、その間に意見書の提出と公聴会の開催請求権が保障されている。しかし、事業計画に納得しない地主の代理人弁護士に連絡があったのは縦覧期間終了の3日前であった。

本事業の公益性、合理性を検証するために本事業として公開討論会の開催を計画したが、80名を超える人たちから公聴会開催請求が出され、国土交通省四国地方整備局の主催で公聴会が開かれることとなり、急遽、広く市民を募りダム視察研修会へと切り替えた。

また、公聴会に備えて、被害流域住民からのヒアリングを重ねた結果、本ダム再開発事業の端緒となっている昭和51年災害の実態が、香川県の主張する被害実績と随分異なるものであったことが明らかとなってきた。

さらに、公聴会における香川県の答弁の中でも、新たな事実が次々と露わとなってきた。

今後、これらの事実をもとに、地元の方々と勉強会を重ね、パンフレットを作成する予定である。

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