高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007-08年度実施分)


グループ名:三浦の自然と大村湾の環境を守る会
代表者氏名:野田 智子さん
研究テーマ:大村市西部町江川流域の水質調査
および江川河口海域の生態系の把握
 助成金額:20万円

研究の概要:2007年12月の助成申込書から
 途中経過:2008年 9月の中間報告から

空から見た汚泥堆肥化施設

研究の概要 : 2007年12月の助成申込書から

大村市西部町(三浦地域)は山頂を涵養域とした湧水と河川水に依存し農業を営んできた。閉鎖性海域である大村湾に注ぐ江川の河口では代々漁業を営む集落もある。

しかし、平成17年末に山頂に産廃のリサイクル施設(下水汚泥の堆肥化)ができ、大気や水を介して周囲の環境に多大な悪影響を被ることが予想されるため、住民はいずれ生活ができなるとして激しく反対し、操業差し止めの訴訟が係属中である。

しかし、現在、住民側が主張する汚染の予測は代々この地で農漁業を営んできた経験則に基づく一般論に過ぎず、科学的知見に欠け、具現化できていないという課題がある。

住民が自ら水質調査および河口付近の浅海域の生態系についてデータ取り、蓄積、分析を行い、地域の自然を科学的に把握すれば、住民のくらしが水系を中心とした地域の自然に依存しており、自然環境の汚染によって暮らしが成り立たなくなることを明示できるものと考える。

「必ず地域が汚染される」という予測の上に立つ調査研究や訴訟は、既に汚染被害が出ている場合に比べて立証が困難ではあるが、汚染や健康被害のあとでは手遅れであり、予防的な住民行動の意義は非常に重要である。

また、リサイクルと称した類似の汚泥公害・堆肥公害は全国に例があり、同事業者による被害(先行事例)も数件顕著となっている。

今回の調査研究の結果をもって、それらの被害住民と連携を取り、「悪しきリサイクル」の阻止についても行動したいと考えている。


他府県のYM菌施設の現場



私たちの自然と暮らし

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 途中経過:2008年9月の中間報告から

@自主水質調査

湧水を中心とした水質調査を継続的に行っており、過去2年間の蓄積をさらに積み あげているところです。

これまでは特定の2名だけで行っていた作業を、4月からは全員のシフト制とし、2 名ずつ交替で行うことで、従来よりも頻度を増やして実施しています。

基金で購入させていただきました測定器のおかげで、項目も増やすことができまし た。

A江川河口付近の大村湾沿岸の藻場の範囲と生態系の把握

現地調査を本格的に開始したのは6月以降ですが、藻場を見るシーズンとしては夏 はオフの時期となってしまいました。

調査を開始する時点では、“シーズン”の知識もなかったのですが、7月に高木基 金で行われた成果発表会とごみ問題の勉強会の際に、先行事例に取り組まれている 方々との情報交換をすることができ、これがたいへん役立ちました。

最低月1回のペースで、海中の撮影とできる限りの記録を行っており、今後気温・ 水温が低くなっても継続する予定です。

専門家のアドバイスを得るという点では、依然難航していると言えます。問題を一 つ一つ解消しながら、後期もみんなで取り組んでいきたいと思っています。

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