高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007-08年度実施分)


グループ名:鞆まちづくり工房
代表者氏名:松居 秀子さん
研究テーマ:鞆(とも)港埋立て架橋阻止に
要する「亀の甲(亀甲状石積み)」
の調査
 助成金額:20万円

研究の概要:2007年12月の助成申込書から
 途中経過:2008年 9月の中間報告から

<参考>
助成先のウェブサイト
http://www.vesta.dti.ne.jp/~npo-tomo/

研究の概要 : 2007年12月の助成申込書から

この度の埋立て架橋計画では焚場エリアに近い亀甲状石積み(以降 亀の甲)が埋立てられますが、この亀の甲は焚場の古文書に語られる石の積み方と酷似しており、焚場そのものである事が疑われます。亀の甲には地元の石が8枚使われており当地の石は凝灰岩であり切り出しも積み上げも難しい云わば屑石であることから岩盤露頭部でないかと疑います。しかし当局は計画に位置的に立ちはだかる亀の甲を焚場ではないとしその価値を認めず、それでも道路下に埋没することから埋立て保存だとしますが、その素性を明らかにし埋め立てから守ることが架橋阻止に繋がると考えています。ただ亀の甲を焚場そのものとする見方は誰一人しておらず亀の甲でもって戦える材料とする見方は皆無であり私共の僅か1票に過ぎません。

しかし亀の甲をせめて要調査の形に持ち込めれば埋立スケジュールは大幅に遅れることになり、価値が高いとなれば史跡指定も視野に入ります。これに対し当局は埋立て保存案を出す筈でありこうした攻防を予測します。賭けではあっても亀の甲の素性を少しでも辿り要調査の形に持ち込むことが今打つべき手であり、阻止に向けての大きな切り札になると考えています。

露頭部であるか否かの判断には磁場による地質探査機を用いれば良いと考えています。


調査により明らかになるのは露頭部か否かであり焚場であるとの判断は出来ず、従って予測通り露頭部であっても詳しい調査を要望するに留まります。しかし露頭部であれば亀の甲は焚場の上に築かれたもので時代は降り明治であろうという説は崩れ、江戸期の焚場ではないかという見方に自ずとシフトし、詳細な調査要望の声を挙げ易くなります。

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 途中経過:2008年9月の中間報告から

提訴した裁判は有利に進みますが広島県は拙速にも去る6月23日に国に埋立願書を出し2ヶ月余りの審査の後、免許を出すか否かが決まります。国が埋立を認める条件にはこの計画が埋立しないことを上回る利益を持つことの証明がありますが、県が価値を置かない亀甲状石積み(通称 亀の甲)に極めて高い価値があることが私共の調査で判っており、従って利益の証明が出来ておらず願書は国の条件を満たさず認可できないことになります。

ただ問題点は県が亀の甲の価値に気付いていないのと同様に国もその存在に気付いていないことにあります。従って埋立願書は不備があり国は亀の甲の存在を把握せず大きな盲点があるとマスコミに流すべきか、或いは国交省に亀の甲の扱いについて糾(ただ)すのが先かと思案し周りの専門家に打診しますが何処からも返事がありません。専門家もまた亀の甲への理解が出来ないのが一因ですが、計画は政治的圧力で動いており裁判で勝つためには現状の方針で良いとの見方があるためとも云われます。

一方、調査結果から予測できる用途については亀の甲の下流に拡がる焚場(舟の修繕場)に浅瀬を生むための砂寄せであると辿っており、築いたのは1791年以前と考えています。

予測通りであれば湾内流を利用した砂を集めるための壮大な実証プラントであり、江戸期におけるこうした報告例がなければ今なお機能し破格の価値を持ちます。データをどのような形で活用するかを検討中です。

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