高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2004年度実施分) |
グループ名:国土問題研究会
大滝ダム地すべり問題自主調査団
代表者氏名:奥西 一夫さん研究テーマ:市民防災の立場にもとづく奈良県大滝ダムの
ダム地すべり災害の研究
助成金額: 60万円研究の概要:2003年12月の助成申込書から 研究の成果:2005年4月の完了報告から <参考>助成先のウェブサイト: http://ha2.seikyou.ne.jp/home/kokudo/ その後の助成研究:2007年度実施分 |
研究の概要 : 2003年12月の助成申込書から | ||||
【背景】 大滝ダムは紀の川上流に位置する多目的ダムで、紀ノ川の治水計画の中で大きな位置を占めている。このダムの完成直後の試験湛水中に起こった地すべりは、わが国での史上最大規模のダム地すべりであり、ダム管理者である国交省は一時ダム湛水を中止して対策に追われた。しかし本質的な問題を置き去りにしたまま、限定的な対策だけでダムの運用を再開しようとしている。我々はこのような対応ではダム周辺および下流の市民の安全を守れないという立場から調査活動を開始した。本調査は国土問題研究会の自主調査として約3年の期間を設定しているが、最初の1年を主として高木基金の助成金によって実施した。 【経過】 2004年2月以降、現地での地質調査、被災状況調査、ダム管理事務所・国交省近畿整備局などへの取材等を実施し、分析を進めるとともに、シンポジウムの開催、現地での地元住民を交えた討論会の開催などに取り組んだ。 【成果】 現地調査と国交省のホームページなどで公開されているデータの解析を通じて、国交省とは独立した立場から、地すべりのメカニズムを検討した。国交省の検討委員会は、現地に「地すべり域」と「緩み域」を認定し、緩み域では地すべり運動は顕著でないとしているが、我々は、緩み域でも地すべり変異が大きく、地すべり面が明瞭に認識できる地点がいくつかあることから、緩み域をあわせて地すべり域と認定すべきと考える。 【今後の展望】 今後とも、国交省の検討委員会と並行して、地すべりのメカニズム解明と斜面安定化対策の調査を独自に実施し、斜面安定化対策後の安全性評価をおこなう。その結果、紀ノ川水系の治水計画を見直す必要が生じた場合には、これについても検討をおこなう。また、被災者の生活再建の立場から、集団移転等の対策に批判を加えてゆく。さらにダム湛水域に中心部を有する川上村の発展計画についても検討を行う。 これまでの調査結果からも、国交省の大型プロジェクトに対して、市民科学の立場から批判をくわえて行くことの重要性が明らかになっており、責任を痛感しつつ調査活動を推進して行きたい。 | ||||
研究の成果:2005年4月の完了報告から | ||||
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