高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007年度実施分)





グループ名:カネミ油症被害者支援センター
代表者氏名:佐藤 禮子さん
研究テーマ:国際ダイオキシン会議NGOセッションの開催
に向けたカネミ油症英文冊子の作成
 助成金額:60万円
研究の概要:2006年12月の助成申込書から
 途中経過:2007年 9月の中間報告から
結果・成果:2008年 4月の完了報告から

<参考>
助成先のウェブサイト:http://blogs.yahoo.co.jp/qzg07170
これまでの助成研究:2003年度実施分2004年度実施分

研究の概要 : 2006年12月の助成申込書から

カネミ油症被害者支援センター(YSC)は、被害者救済に役立たせるために、これまで2回の助成を受け被害者の聞き取り調査などを多角的に展開してきた。その努力の成果もあり、今日、国会にて被害者救済法の制定にむけての動きが本格化している。

2007年9月、東京で国際ダイオキシン会議が開催される予定である。油症の被害は、これまでその実態が世界にほとんど知られていない。というのも、日本の専門家が被害者の血液中のPCBやダイオキシン濃度の数値に関する発表を主にしているからである。

この機会にNGOセッションを開催し、被害者、NGO,専門家、そのほかの関係者が一同に会し、この問題を総合的に議論する場を設定したい。そこで海外の専門家はじめNGOに広く日本でおきたダイオキシン被害の油症事件の実態を知らせることができれば意義深い。それらの会議に配布する英文資料を作成したい。その内容は、油症事件の概要、これまでの支援センターの取り組み、YSCが実施して明らかになった被害者の実態、次世代への影響、聞き取り、へその緒検査の結果、環境ホルモン学会で報告した全身病の実態等の成果を編集し、英語に翻訳した資料を作成し、広く世界に情報を提供したい。

YSCは、2003年度に米国のボストンにおける国際ダイオキシン会議にて、女性被害者調査を発表した。その後、次世代調査、聞き取り調査をすすめたが、まだ、それらの情報を発信するに至ってはいない。

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 途中経過:2007年9月の中間報告から

2007年9月3日より7日まで「第29回国際ダイオキシン会議」が日本で開催された。全世界から800人がホテル・オオクラに集った。いわゆる学会とは異なり諸々のダイオキシ処理のメーカーのブースも出るなど 高度な先端技術を屈指した研究者・専門家・メーカーの報告が多くなされた。その中、数少ないNGOとして「ダイオキシン被害は世代を越える」という高木基金の助成を活かしたポスター発表をした。

その会議に合わせ9月1日,2日に「ダイオキシン国際NGOフォーラムin東京 2007」をJAIC国際協力総合研修所国際会議場で実行委員会とダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が開催した。カネミ油症被害者支援センターは実行団体として参画した。連日200名の参加者で満席。環境ホルモン問題から見たベトナム、日本、台湾被害の実情、2日目は研究・対策の今がテーマとなった。 

そこでは、2002年度の一回目の高木基金助成の台湾油症調査研究で関係が出来た台湾の油症被害者 専門家 支援者も参加 台湾の実態を報告した。また、日本の油症の実態を被害者が訴える共に、支援者の取り組みも報告した。

高木基金からの助成金60万円を基に作成した日本の油症被害の実情の英文冊子(A4サイズ 80ページ 写真 図表入り)「Left Behind...the YUSHO」を300部 両会場で配布、好評を得た。この冊子で撒かれた猛毒ダイオキシン人体被害の情報が、今後どう各地で活かされるか、市民科学の役割はさらに重要と痛感している。

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結果・成果:2008年4月の完了報告から

2007年9月3日より7日まで「第29回国際ダイオキシン会議」が日本で開催され、全世界から800人がホテルオークラに集った。その会議に合わせ、9月1日、2日に「ダイオキシン国際NGOフォーラムin東京 2007」を、実行委員会とダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が開催した。カネミ油症被害者支援センターは実行団体として参画した。

高木基金からの助成金60万円を基に作成した日本の油症被害の実情の英文冊子(A4サイズ、80ページ、写真・図表入り)「Left Behind...the Yusho」を300部両会場で配布、好評を得た。

今回冊子「Yusho」を作成することにより、毒性の強いPCBやダイオキシンが曝露後40年、世代を超えて人体に被害を及ぼし続けていることを知らせることができた。それは、化学物質を大量に使用し始めている発展途上の国々の人々にとっても、日本と同様の被害を起こさないためにも大切な情報である。冊子に盛り込まれたのは、単に健康被害だけではなく、被害者への行政の対応、国の資金の動き、認定、救済など社会文化的諸問題であり、化学物質被害の社会的構図を理解する上でも大切な作業であった。国際会議にて冊子は数百部配布したが、瞬く間になくなり冊数は不足した。

これらの市民レベルの活動が影響したためか、今年、厚生労働省は油症被害者の本格的実態調査に、事件後はじめて着手した。このような被害者調査は水俣病の場合にも実施されたことがない。

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