2007年2月18日

核燃料サイクル政策に関する委託研究の経過と今後の展開について

高木基金代表理事 飯田哲也

この取り組みは、高木基金の委託研究として2005年3月にスタートし、2006年5月からは、内容を一部 見直した上で、「第二次核燃料サイクル国際評価パネル(ICRC2)」として継続してきましたが、2007年 度は、原子力資料情報室への助成研究「六ヶ所再処理工場からの放射能放出に関する調査研究」と連係す るかたちで取り組むこととしました。

1.「核燃料サイクル国際評価パネル」の活動状況

2006年11月時点での経過報告の通り、今年度は、ICRC2として次の二つの問題を 重点に研究を継続してきました。
1) 六ヶ所再処理工場稼働にともなって追加される安全・環境リスクについての分析・評価、特に、 イギリスやフランスのような、再処理工場運転実績をもつ国の情報・データを収集・整理し、 日本のケースについて分析・評価を行なうこと
2)青森県および六ヶ所村を主要な分析対象とした、核燃料サイクル事業が地域社会にもたらす 「機会損失」の調査研究
資金的には、初年度からの繰越金約150万円があり、今年度は大きな支出は発生していません。

2.原子力資料情報室の「六ヶ所再処理工場からの放射能放出に関する調査研究」の活動状況

この研究は、2006年度、高木基金から120万円の助成金を受け、研究に取り組んできました。 六ヶ所再処理工場周辺の環境試料を継続的に採取し、炭素-14のベータ線、トリチウム(気体・ 液体)のベータ線の測定、環境試料のガンマ線を測定・評価し、放射能放出を監視するものです。 これまでに、第1段階としてアクティブ試験開始前(2006年3月31日以前)の環境試料(松葉、米、 海砂、海水)を採取し測定を実施しました。今後も、アクティブ試験開始以降のモニタリングを 継続して実施する計画です。

3.2007年度のICRC2の方向性

原子力資料情報室による放射能測定を、本件委託研究と連係して実施することとし、特に、地域 社会にもたらす「機会損出」との関係もにらみ、この様なモニタリングを周辺自治体を巻き込ん だかたちで発展させる方向性を探ります。これついては、2006年度も佐賀県、唐津市、福島県、 青森県等、自治体への政治的なアプローチを展開しており、その経験を活かしていきます。 また、イギリス・フランス等、海外の再処理施設の事例分析などについても、原子力資料情報室 の協力を受けてすすめます。

資金的には、モニタリング調査の費用(2007年度 約100万円)を含め、初年度からの繰越金150万 円を元に取り組んでいく考えです。

以 上




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