高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2004年度実施分)


グループ名:原子力資料情報室
代表者氏名:澤井 正子さん
研究テーマ:六ヶ所村再処理工場に関する包括的批判的研究
 助成金額:100万円

研究の概要:2003年12月の助成申込書から
研究の成果:2005年4月の完了報告から

<参考>
助成先のウェブサイト:http://cnic.jp
その後の助成研究:2006年度実施分2008年度実施分

研究の概要 : 2003年12月の助成申込書から

【経過・成果】 六ヶ所再処理工場の経済性に関する研究は、2004年2月に公表されたバックエンド総費用とそれに占める六ヶ所再処理工場の費用の検討が当初の目的であったが、2004年6月から始まった原子力長計の見直し作業の中で直接処分費用との比較検討がおこなわれた。策定会議では、核燃料サイクル政策について、@全量再処理A部分再処理B全量直接処分C全量当面貯蔵の4つの政策選択肢について10項目の評価視点から総合的に検討する手法がとられた。
その一つである経済性評価では、再処理策が一番コスト高、直接処分策が一番コスト安との結果だったが、@六ヶ所再処理工場を解体して更地にする費用、Aさらに、使用済み燃料の貯蔵場がなくなり原発の停止を余儀なくされ、火力発電の炊き増しによるコストまでが折り込まれた結果、「現行の再処理路線は「経済性」においては他のシナリオに劣るものの、… なお、政策変更に伴う費用まで勘案すると「経済性」の面では劣るとは言えなくなる可能性が少なからずある。」と結論づけられた。核燃料サイクルがコスト高(一般には当たり前のこととして認識されているが)であることが明白になったことは、再処理優位論に大きな疑問を投げかけ、再処理からの撤退を求める今後の議論に弾みをつけるものとなった。

【今後の展望】 六ヶ所再処理工場計画では、2005年12月が使用済燃料を使ったアクティブ試験の開始、2007年5月が操業開始という予定となった。アクティブ試験は、試験といっても大量の使用済燃料を再処理する予定であり、私たちはアクティブ試験の開始を、実質"操業開始"ととらえ、操業中止を訴える調査・研究・情報提供・提言等を今後も継続する。
バックエンド費用に占める六ヶ所再処理工場の経済性問題については、長期計画策定会議の議論の不十分性を指摘し、策定委員となっている伴の意見書提出等を含めて問題点をより明確にする作業を行う必要がある。また、バックエンド政策の選択肢を多様化し国民的議論を喚起するためにも、高木基金の「核燃料サイクル政策に関する委託研究」に側面的に協力しながら、バックエンド政策転換を実現する活動を展開してゆく。
六ヶ所再処理工場の安全性については、飛来物問題、地質地盤問題に加えて、高レベルガラス固化体建屋の安全審査における重大な誤りが明白となっている。この問題は今後施設の試験が進めば、さらに具体的な問題が発生する可能性を示唆しており、さらに調査・研究、情報収集を続ける。また、2005年4月公表されたイギリス・ソープ再処理工場の漏えい事故は、今後の動向によっては施設の閉鎖を含めた問題に発展する可能性がある。

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研究の成果:2005年4月の完了報告から
◆ 完了報告書PDF 637KB ◆ 会計報告 PDF 52KB
◆ 研究レポート
『六ヶ所再処理工場に関する批判的研究』 PDF 1,682KB
<助成報告集Vol.2,2005掲載>


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