高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2007-08年度実施分)


グループ名:六ヶ所再処理工場
放出放射能測定プロジェクト
代表者氏名:古川 路明さん
研究テーマ:六ケ所再処理工場からの
放射能放出に関する調査研究
 助成金額:110万円

研究の概要:2007年12月の助成申込書から
 途中経過:2008年 9月の中間報告から
<参考>
これまでの助成研究
2004年度実施分2006年度実施分

研究の概要 : 2007年12月の助成申込書から

六ヶ所再処理工場の安全審査では、放出放射能の環境への蓄積は全く考慮されていない。本調査研究では、継続的に年1回、炭素-14のベータ線、トリチウム(気体・液体)のベータ線、環境試料のガンマ線を測定・評価を行う。六ヶ所村と青森県・岩手県で毎年定点で採取する環境試料(松葉、米、海砂、海水)の測定を実施する。さらに対照試料として、三里塚(千葉県)、巻町(新潟県)、刈羽村(新潟県)の米、松葉の測定を行う。測定については、民間のラボ、さらに日本分析センターに依頼する。

1)炭素-14の測定は採集試料としては、松葉を採集する。測定は、加速器質量分析法、民間ラボを予定している。

2)廃液に含まれる トリチウムは海岸での海水の採取によって試料を得る。測定は液体シンチレーションカウンターによる測定で、日本分析センターに委託する予定である。

3)気体として放出されるトリチウムは、六ヶ所村内で除湿器による空気中の水分採集によって試料を得、液体シンチレーションカウンターによる測定を行う。測定は共同研究者が行う。

4)ガンマ線測定試料として、海岸の砂(海砂)と、松葉を採取する。採取地点は、東通村、六ヶ所村、三沢市、八戸市、岩手県内の数ヶ所等を予定している。測定は共同研究者が行う。

5)以上の測定データを年度別に整理・評価する。


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 途中経過:2008年9月の中間報告から

本研究は六ヶ所再処理工場から放出される放射能のうち、トリチウム、炭素14等について現地で試料を採取し測定を行い、国や日本原燃の測定結果と対比しながら、市民独自の評価を試みようとするものです。六ヶ所再処理工場は、昨年11月から高レベルガラス固化体の製造試験を開始しましたが、年末にガラス溶融炉のトラブルのために試験を中止。このトラブルの原因究明と対策に半年かかり7月2日試験を再開しましたが、1本のガラス固化体も製造出来ないまま1日で再度試験に失敗しました。

この間使用済み燃料のせん断工程も、せん断機のトラブルのため運転がほとんど停止していました。そのため気体性放射能については、使用済み燃料せん断が行われていない時期の試料採取を9月上旬に行いました(工場北西地点、二又、吹越、尾駮、出戸)。せん断時の試料採取は、今後工場の稼働状況に合わせて実施する予定です。

一方廃液処理等による海洋放出管からの液体放射能の放出は、休むことなく続いています。海水・湖水については、六ヶ所村の8地点(鷹架沼中央部、鷹架沼海側、出戸川河口、尾駮浜、尾駮沼海側等で)で9月上旬に試料採取を行いました。また対照試料として、大間、東通、三沢、宮古の海水を6月に採取しています。これらは、トリチウムを測定中です。

松葉のガンマ線測定(コバルトまたはヨウ素)は、10月に六ヶ所村内と近隣地域の定点で、試料採取を行う予定です。また9月以降、六ヶ所、十和田、三里塚、新潟等の08年産の米、松葉を採取し、炭素14の測定を実施する予定です。

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