高木仁三郎市民科学基金 助成研究の概要 (2006年度実施分)


グループ名:六ケ所再処理工場放出放射能測定プロジェクト
代表者氏名:古川 路明さん
研究テーマ:六ケ所再処理工場からの放射能放出に関する調査研究
 助成金額:120万円

研究の概要:2005年12月の助成申込書から
 途中経過:2006年10月の中間報告から
結果・成果:2007年4月の完了報告から

<参考>
これまでの助成研究:2004年度実施分
その後の助成研究:2008年度実施分

研究の概要 : 2005年12月の助成申込書から


1.日本原燃は、六ヶ所再処工場の建設を終え、2004年12月に[ウラン試験]を始め、[アクティブ試験]を2006年2月末から2007年7月まで実施しようとしている。
 アクティブ試験では、使用済み燃料430トンが処理される予定で、実態は工場の操業と変わらない。使用済み燃料の処理が開始されると、クリプトン-85、トリチウム、炭素-14、ヨウ素-129などが排出される。また海岸線から3キロメートル沖に設置されている放出口からは、多くの雑多な放射能、トリチウム、炭素-14とヨウ素-129、セシウム-137ルテニウム-106、ストロンチウム-90、プルトニウムなどが廃液に混ざって放出される予定である。

2.放出放射能には管理目標値が設定されているが、英仏の再処理工場の稼働の実態をみるとき規制値に収まるかどうかは不明である。また今後予想される再処理工場の汚染問題を考える場合、稼働前(アクティブ試験前)の工場周辺の環境放射能測定したデータがなくては、汚染状況の実態を科学的に証明することも難しくなることが予想される。

3.本調査研究は、工場周辺で採取される植物試料(ワカメ、昆布)とともに、青森県、岩手県沿岸域の海洋生物(蟹、ホタテ、アワビ、、ウニ、ひらめ、あぶらめなど)についても放射能を測定し、測定結果を評価分析することを目的とする。
 測定の対象となる放射能としては、ガンマ線を放出する核種の他に、上に述べた工場の平常運転でも放出される可能性のある核種の中で、特に生体影響の面で注目されているベータ線核種である炭素-14とヨウ素-129についても測定結果を得る予定である。
(なお、六ヶ所村の松葉、海岸の砂等については、他のグループがすでに測定活動を開始している)

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 途中経過:2006年10月の中間報告から

六ヶ所再処理工場は、2006年3月31日に実際の使用済み燃料を使ったアクティブ試験を開始しました。海洋へ、大気中へと放射能の放出が始まっています。全体で5つの段階のある試験は現在第1ステップを終了し、第2ステップに進んでいます。試験全体では工場フル操業時の半分の約430トンの試料済み燃料が再処理される予定になっています。   

放出放射能には日本原燃の管理目標値が設定されていますが、英仏の再処理工場の稼働実態から、今後六ヶ所再処理工場周辺の放射能汚染問題の深刻化が予想されます。稼働前の工場周辺の環境放射能を測定したデータがなくては、汚染状況の実態を科学的に証明することも難しくなると考えられます。  

私たちの研究の目的は、稼働前の放射能データを取り基礎データとして、今後も工場周辺の環境放射能を市民の手で測定・評価することです。そのため2005年産(2006年産は入手中)の米、松葉を六ヶ所村内で採取しました。一方対照データ取得のために、千葉県三里塚の米(2005年産、2006年産),新潟県の米(2005年産)も採取した。これらの試料で炭素14を測定中です。  

ガンマ線核種については、六ヶ所村内の松葉、海岸の砂について測定が別途行なわれており、これらの測定データも合わせて総合的に評価・検討する予定です。  

米の試料入手、測定データの公表については、様々な問題のあることを痛感しています。当然測定データの公表を前提に各農家の方々に協力いただいていますが、測定値の評価、公表の方法等、慎重に検討・実施する必要があると考えています。

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結果・成果:2007年4月の完了報告から

・ 本研究は、六ヶ所再処理工場の日常運転によって放出される放射能が、工場の周辺環境にどのような影響を与えるのか、その実態を把握することにある。今年度は工場のアクティブ試験前のデータ採取を目的とし、海水中のトリチウム、米、松葉の炭素14を中心に試料測定を行った。

・ 測定結果は、アクティブ試験開始前のデータであるので、バックグラウンドに対して有意な値を示すものはない。

・ この測定によって、アクティブ試験試験開始前のトリチウム、炭素14についての基礎データを得た。今後の測定データと合わせて検討する予定である。

◆  助成研究の完了報告書 PDF 17KB ◆  会計報告 PDF 5KB
◆ 研究レポート
『六ヶ所再処理工場からの放射能放出に関する研究』 PDF 397KB
<助成報告集Vol.4,2007掲載>


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