下記は、2005年5月時点のメッセージです。2006年1月の経過報告はこちらからどうぞ。

高木基金委託研究
核燃料サイクル政策への
市民科学アプローチ
にご支援をお願いします。

高木基金代表理事 飯田哲也

みなさんご承知のとおり、日本の原子力政策は、核燃料サイクルを巡って重大な岐路に立ってます。

昨年6月から開催されてきた原子力委員会長計策定会議は、11月に、従来どおりの核燃料サイクル路線を堅持する「中間取りまとめ」を行いました。しかし、その内容や審議の経緯に対して、原子力への立場にかかわらず、異論が寄せられており、攻治的に確定したものとは到底いえない状況にあります。

核燃料サイクルに関する「政策空間」は、原子力委員会だけではなく、経済産業省、国会、電事連・電力会杜、青森県や福島県などの原子力立地地域、そしてメディアという、それぞれの重層的で相互作用的な場や力学によって、大きな流れや、時に逆流などが生じるのです。

その意味で、原子力容認派や原発立地地域からも異論が提起されている核燃料サイクル間題は、「確信的推進派」にとっても、制御しきれない懸念があるがゆえに、原子力委員会長計策定会議は、「中間取りまとめ」を強引にすすめたのでしょう。

したがって、この核燃料サイクル問題は、原子力政策としての路線転換の要であるだけでなく、政治的にも格好のターニングポイントとなりうるのです。

ただし、私たち市民側も、その「政策空間」の重層性や離散性と相互作用性とを見据えた、多重性のある戦略が必要であり、その様なアプローチは、「市民科学」の取り組みとして重要な意味を持つのです。

こうした事情から、高木基金は、従来にはない「委託研究」という枠組を、今回新たに設けて、この問題にあたることにしました。具体的には、次の三つのタスクで構成します。
1) 「中間取りまとめ」に対し国際的な研究者がレビューを行う「国際評価パネル」
2) 政治的にリアルな「代替案の策定」
3) 評価パネルと代替案の「政治的活用」

これに対し、高木基金選考委員の吉岡斉氏が「国際評価パネル」の座長、元理事のマイケル・シュナイダー氏が「代替案の策定」を担当し、「政治的な活用」と全体のコーディネーターを、私、飯田哲也が務めます。

この中で、対外的に活動の中心となるのは、「国際評価パネル」です。「中間取りまとめ」に対するレビューの重点(Key Question)およびパネルの委員などをこちらにまとめましたのでご覧下さい。

高木基金として、市民科学のモデルを示す決意で取り組んでいきますので、みなさんのご理解とご支援をお願いします。

(2005年5月27日 高木基金だよりNo.10 より)



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