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地震動を考慮に入れた原発老朽化の検討



グループ名 原発老朽化問題研究会 20090509公開ミーティング配付資料[pdf23kb]
20090509公開ミーティング配付資料[pdf23kb]
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代表者氏名 伴 英幸 さん
URL http://cnic.jp/
助成金額 90万円

20090509公開ミーティングにて

20090509公開ミーティングにて

研究の概要

2008年12月の助成申込書から
 03年に発足した原発老朽化問題研究会は、日常的に起きる事故・トラブルを材料劣化の視点から原発の安全性をチェックしてきている。また、電力各社が規制当局の指示に基づいて順次報告している高経年化技術評価報告についても検討を進めてきた。  07年に中越沖地震が起きた後は、この地震の揺れによってダメージを受けた柏崎刈羽原発(KK)7基の安全性について、08年度を通して、検討を進めてきた。このために研究会の会合に加えて、政府委員会(総合エネルギー調査会の諸部会と原子力安全委員会)の傍聴、新潟県技術検討委員会と2つの小委員会の傍聴を行い、検討の動向をつぶさに確かめてきた。さらに、新潟県の2つの小委員会にはそれぞれ2名の批判的立場の専門家が委員に選任されたため、この方々とも連絡を取りながら、電力や政府の進める検討内容を批判的視点から分析してきた。これらは地震問題研究とも併せて進めてきた。  中越沖地震の後に設置された「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」と協力し、また、07年に設置した地震問題研究会などと協力して柏崎刈羽原発の安全性に警鐘を鳴らし、閉鎖を訴えてきた。「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」は同原発を巡って地質・地盤問題(将来想定される地震動)と建家、機器・設備の健全性との両面から安全性を検討していく必要がある。原発老朽化問題研究会はこのうち後者の安全性の検討を協力して進めている。現在は柏崎刈羽原発7号炉について最終報告がまとめられ、同炉の運転再開が地元含めて焦点となっている。  そこで、09年初頭は7号機をめぐる運転再開の是非をめぐる大きな攻防となるだろう。その結果にもよるが、続いて6号機や他の号機の健全性評価へと検討は移っていくこととなる。機器設備の安全性が確保されるのか、加えて、老朽化を考慮にいれた機器設備の健全性がどのように検討されているのか、などを批判的に検証していくこととする。これまで同様、政府委員会の傍聴、新潟県技術検討委員会と小員会の傍聴をつづけて、批判的検討をすすめる。  KK以外にも、日常的に起こる事故・トラブルを老朽化の観点から分析する。また、耐震バックチェック(中間報告)の建家、機器・設備の健全性報告について、老朽化の視点から批判的に検討を進めていく。

中間報告

2009年10月の中間報告から
 地震の影響を受けた柏崎刈羽原発の運転再開をめぐる問題に関しては、科学者技術者の会と協力して、7号機については燃料破損による放射性物質の漏えいを地震との関連が否定できないとの視点で問題にし、知事への要望を行なった。また、6号機については、再循環ポンプケーシングの耐震安全性に関して、揺れによる破損の可能性を指摘してきた。  敦賀1号機の高経年化技術評価報告に関しては、会合を開いて検討することができないでいるが、これまで原子力安全保安院が公表した評価結果を読み、これまでの老朽化問題研究会が蓄積してきた切り口からの検討テーマの抽出を行なった。仝胸厦Г涼羸子脆化、応力腐食割れ、B竸粍汰汗、の諸点から敦賀1号機の機器類の評価が信頼できるかどうかをチェックしていくこととした。検討の過程でさらに項目が増える可能性もある。  その上で、30年目に提出された「敦賀発電所1号機高経年化対策に関する報告書」(99年2月)ならびに「日本原子力発電敦賀発電所1号機の保安規定の変更認可申請書(2009年1月から許認可事項の扱いに法制が変わった)」の情報開示手続きを行なった。両報告をあわせると2000ページを超えるので、行政庁による開示チェックに時間がかかっている。

結果・成果

2010年5月の完了報告から
 中越沖地震に見舞われた柏崎刈羽原発の耐震安全性については、柏崎刈羽科学者・技術者の会と協力して検討を進めた。  老朽化研究会はまた、敦賀1号炉の高経年化技術評価報告書の批判的検討を進めた。検討点は、1)圧力容器の脆性劣化問題、2)格納容器電気配線貫通部の問題点、だった。  加えて、加圧水型炉の圧力容器管台溶接部の応力腐食割れについても、これまでに7件も発生していることから、情報を整理し検討した。 研究の成果

(1)圧力容器の脆性評価 「原子炉構造材の監視試験方法−JEAG4201-2004」は、照射速度依存性を無視して、中性子照射累積量のみで脆性評価をしていた。我々はかねてから日本金属学会などで批判してきたところであるが、2007年、照射速度依存性を考慮するように改訂された。しかし敦賀1号など照射脆化の著しいプラントでは、依然として問題が残されている。しかも、炉内に用意されてきた残存試験片の数量に制約があって、40年超運転が越えるべき課題は大きい。

(2)格納容器の電気ペネ(貫通部配線) 敦賀1号40年目の確認結果(2009.8.28JNES)では、経年劣化事象全9項目40頁中、配線の絶縁低下の項目が13頁を占めている。通常のプラントでも問題が多い項目で、劣化検査としては通電テストや漏えい試験などがあるものの、通常は予防的な定期交換で対処しており、万一の場合には情報伝達路を喪失し、多重事故をもたらす恐れがある。

(3)加圧水型原発の応力腐食割れ PWRの1次系容器のノズル溶接部(インコネル600系)にSCCが発生している。蒸気発生器の入口側ノズルでは、07.9.25美浜2号から08.12.12川内2号まで、計7件もの発生をみている。原子炉容器出口側ノズルでは、04から08にかけ3件発生した。予防保全工事としては、ウォータージェット・ピーニングを施したり、耐食性のある690系ニッケル基合金で溶接された管台への交換が行なわれている。重大事故につながるので、抜本的対策が急がれる。

今後の展望 ・敦賀1号炉は、40年を超える運転を行なうために機器の修繕に入っている。この動きを把握していく。 ・敦賀は沸騰水型原発だが、加圧水型原発である美浜1号炉も40年を超えて運転される計画で、高経年化技術評価報告が国に提出されている。そこで、こちらの方についても検討を進めていきたい。

その他/備考


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