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沖縄島泡瀬干潟の生態系保全と持続可能な利用のための調査研究



グループ名 泡瀬干潟を守る連絡会 2009年度完了報告[pdf19kb]
2009年度完了報告[pdf19kb]
代表者氏名 前川 盛治 さん
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助成金額 60万円

研究の概要

2008年12月の助成申込書から
 沖縄島東海岸の泡瀬干潟は、琉球列島最大の干潟であり、5百種以上の貝類の記録、ラムサール登録湿地の沖縄島漫湖を上回る渡り鳥の飛来、特異な海草藻場とサンゴ群落、新種や新記録種の発見が現在も相次いでいる種多様性など、世界的価値をもつ特異な生態系を誇っています。ここに、1998年来、国・沖縄県・沖縄市による埋立・リゾート開発構想が持ち込まれ、すでに工事が進行しています。  この泡瀬干潟埋立事業は、生態系破壊・財政破綻をもたらす悪しき大規模公共事業の典型であるとともに、沖縄に軍事基地を置き続けるための政策誘導、埋立区域の一部が米軍基地に掛かり新たな基地用地の米軍への造成提供をもたらすことなど、人間の生命・安全保障、地域社会や環境の破壊に全面的に関わる課題です。  本研究申請者は、市民と専門家が自らの手で、泡瀬干潟埋立事業の問題点を総合的に検討し、泡瀬海域の生態系の価値を調査し、沖縄における乱開発と基地依存の植民地的政策への対案を構築し、広く地域社会から国際社会にまでその成果を伝えてきました。本研究は、2008年に本事業の差し止め訴訟で勝ち取った一部勝訴判決を土台としながら、それをさらに発展深化させ、埋立区域内のサンゴ・海草藻類生態系の価値の評価、既工の施設の周辺海域への影響の現れの追跡、周辺地域と一帯になった環境・経済問題の調査と政策立案を中心に、事業の最重要時期である現在にふさわしい調査研究と成果の普及活動を展開します。

中間報告


(下記の完了報告にまとめて記載されています)

結果・成果

2010年5月の完了報告から

1)西防波堤北西部のヒメマツミドリイシ群落の調査 (アセスでは、生息していることが抜けていたが、私たちの調査で生息が確認され、その後事業者も約3万m2を確認しています。ここは将来埋立に係わる航路として掘削されます。私たちは、ここの保全を訴えて、定期的に調査しています。) 2005年連絡会調査 2006年から沖縄リーフチェック研究会と合同調査 2007年6月、産卵(放卵)確認 2008年6月、再度の産卵(放卵)確認 2008年12月リーフチェック、2009年2月リーフチェック、2009年6月リーフチェック・産卵チェック、2009年9月リーフチェック、2009年12月リーフチェック、2010年3月28日リーフチェック(荒天のため、5月17日に延期)

2)東防波堤、西防波堤東側の北のサンゴ移植地調査 (アセスでは埋立地のサンゴは、被度10%未満で保全の対象ではないとしていました。2005年私たちの調査で、リュウキュウキッカサンゴ、スギノキミドリイシなどが、大きな群落を造っていることが確認され、事業者に保全を要請しました。事業者はその後調査し、約900m2のサンゴ群落を確認しています。しかしそこは保全の対象ではないとしていました。ところが、2008年10月〜11月には沖縄市が中心になって、2009年6月には民間NGO団体が中心になって、埋立地のサンゴの一部を移植しました。事業者が保全すべきなのにその責任を放棄して、移植させた問題点もあり、また移植されたサンゴが生存できるかの追跡調査も必要です。) 2008年12月、移植地のサンゴ調査 2009年2月、移植地のサンゴ調査、2009年6月移植地のサンゴ調査、2009年9月移植地のサンゴ調査 2009年12月、リーフチェック、2010年3月28日、リーフチェック(荒天のため、5月17日に延期)

3)大型海草の手植え移植地の調査 (泡瀬埋立区域内には、大型海草被度50%以上の生息地が25haもありました。埋立によってこの海草藻場が失われることから、事業者はアセスで「移植して保全する」としていました。そして、事業者は事業を始める前に「機械移植実験」をしました。それが失敗し、困った事業者は、手植え移植実験もしていてそれは良好であるとして、海上工事を始める時、手植え移植をして、埋立を開始しました。私たちは「移植では海草は保全できない」ことを主張し、その調査を継続し、アセスの杜撰さを明らかにしています。) 2009年以前、海草藻類専門部会の時点で調査 2009年8月10日、海草の専門家・金本自由生氏と手植え移植地の調査 2010年2月24日、海藻草類専門部会での意見

4)米軍泡瀬通信施設前の海草藻場調査 (埋立工事が進行する中で、沖合いの砂が沿岸部に押し寄せ、海草藻場を覆い、海草藻場の劣化を招いています。その実態を調査しています。) 2009年以前、同海域の写真撮影 2009年以降、同じ地点での海草藻場の写真撮影

5)砂州変化 (西防波堤の西側にある「フジイロ砂州」と、泡瀬総合運動公園オートキャンプ場先にある砂州が工事前と現在では、大きく影響を受けています。) 2009年以前(2002,2003年頃)の写真 2009年以降、同じ地点での写真を以前の写真と比較し、分析します。

6)貝類の調査 埋立工事による影響を調査します。 2009年7月6日〜8日、貝の専門家・山下博由氏との合同調査 2010年4月3日、山下博由氏の干潟貝類調査

7)沖縄市の土地利用計画見直しに対する、調査研究、問題点追及のチラシ発行  2009年10月15日の控訴審(福岡高裁那覇支部)で「埋立事業に経済的合理性はない、公金を支出するな」の判決が言い渡され確定したのに、沖縄市は、1区の土地利用計画の見直しを進め、2009年12月、市民部会案、専門部会案を決定、そして2010年3月3日に専門部会最終案を決定しました。沖縄市はその案をもとに、沖縄市案を策定し、国(国交相)に提出しようとしている、私たちは、沖縄市の土地利用計画見直しの問題点を整理し、市民向けにチラシ(宣伝紙)を作成し、配布しました。 調査研究・研修の成果 ・ヒメマツミドリイシ、移植サンゴの生息状況を把握できました。 ・手植え海草移植の問題点を明らかに出来ました。 ・埋立工事後背地の海草藻場の変化を把握できました。 ・泡瀬干潟でのアーサ(ヒトエグサ)の公示前と工事後の比較調査が出来ました。 ・貝類の生息状況を把握できました。 ・比屋根湿地改変の問題点を指摘しました。 ・砂州(フジイロ砂州、泡瀬総合運動公園地先の砂州)の変化を把握できました。 ・沖縄市の土地利用計画の問題点を市民に知らせることが出来ました。 ・沖縄市長選で東門美津子氏を勝利させたことで、埋め立て事業の「中止」、泡瀬干潟を守る展望が開けました。 ・私たちの問題点の指摘もあって、前原誠司大臣が「沖縄市の土地利用計画見直しに対しては、厳しく対処する、新港地区の港の浚渫と泡瀬干潟埋め立て事業はリンクさせない」の発言(2010年3月23日)を引き出すことができました。

その他/備考

対外的な発表実績
・09年10月、高教組那覇支部教研集会で記念講演(前川盛治) ・09年9月?10月、泡瀬干潟裁判、控訴審の意義、琉球新報、沖縄タイムス論壇、前川盛治 ・09年10月、生物多様性COP10 一年前のNGOシンポジウム(名古屋)で報告 ・09年10月、長良川救済DAYで報告 ・09年10月、国(前原誠司国交相・沖縄担当相)への要請(1区の護岸一部撤去、工事中止など) ・2010年2月、海藻草類専門部会(前川盛治・泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)参加、提言 ・2010年2月、泡瀬干潟シンポジウム(沖縄市、中頭教育会館、日本共産党沖縄県委員会主催)での前川盛治報告 ・2010年3月、泡瀬干潟を守る連絡会、泡瀬干潟シンポジウム(沖縄市、かりゆし園) ・2010年3月、琉球新報、沖縄タイムス、論壇投稿(前川盛治)、沖縄市の土地利用計画の問題点 ・2010年3月、日韓湿地フォーラム(東京、桑江直哉氏参加、発表) 今後の展望 ・沖縄市の土地利用計画の見直しを中止させ、泡瀬干潟埋め立て事業を中止させます。 ・前原誠司大臣の1区中断・2区中止を変更させ、「1区2区中止」を表明させます。 ・「中止」決定後、1区工事区域の護岸の一部を早急に撤去させ、1区工事区域の再生を目指します。 ・1区工事区域の全体についてどうするかを「泡瀬干潟再生協議会(仮称)」を発足させ、検討し泡瀬干潟再生を図ります。 ・同地域を鳥獣保護区域に指定させ、ラムサール条約登録湿地にさせる運動を進めます。

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