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カリフォルニア州の再生可能エネルギー政策の研究



グループ名 2009年度完了報告[pdf22kb]
2009年度完了報告[pdf22kb]
代表者氏名 木村 啓二 さん
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助成金額 20万円

研究の概要

2008年12月の助成申込書から
 本研究の目的は、カリフォルニア州で導入されているRenewable Portfolio Standard (以下RPS)を中心とした再生可能エネルギー政策によって、同州の再生可能エネルギー普及にどのような影響をもたらしたのかを明らかにすることである。  カリフォルニア州のRPSは、2010年までに20%を再生可能エネルギー電力で賄うという大きな目標値を持っている。さらに、同州のRPS制度では、独自の調達制度、管理機関による調達計画および契約承認の必要性、再生可能エネルギーの費用負担についてなど、きわめて特徴的な制度内容を備えている。さらに、太陽光発電に対しては、RPSとは別の支援策を用意し、2018年までに新規に300万kWの太陽光発電を普及させる目標を持っている(Million Solar Roofs Plan)。こうした政策体系の特徴を踏まえ、本調査では、カリフォルニアの再生可能エネルギー普及政策について次の研究を行う。

,わめて特徴的なRPSの制度設計の背景について明らかにする。

RPSその他制度の導入による再生可能エネルギー普及とその市場に与える影響について定量的および定性的に分析する。

再生可能エネルギー普及に向けた諸問題について明らかにする。

 加えて、RPS制度を導入するにあたり、どのような電力規制制度の改定が行われ、それが再生可能エネルギー普及に与えた具体的な影響も明らかにする。特に、1)送電網へのアクセス、2)送電網整備の規定および3)費用負担に関する規定の3つの視点から、再生可能エネルギー事業に与える諸影響を分析する。

中間報告

2009年10月の中間報告から
 本調査研究は、カリフォルニア州で導入されているRenewable Portfolio Standard(以下RPS)を中心とした再生可能エネルギー政策によって、同州の再生可能エネルギー普及にどのような影響をもたらしたのかを明らかにすることを目的としている。私は、すでに2008年10月から半年程度アメリカに滞在し、カリフォルニア州のエネルギー政策およびRPSやその他の制度に関する資料を収集し把握した。特に州政府の関連機関(カリフォルニアエネルギー委員会や公益事業委員会、カリフォルニアなど)から公表されている情報を収集整理した。すでに、エネルギー委員会、公益事業規制委員会、地元環境NGO(カリフォルニア風力エネルギー協会)、消費者団体(公益事業改革ネットワーク)に対して、RPSの成立にいたる経緯に利害関係者がどのように関わったのか、また、制度自体やそのパフォーマンスに対する利害関係者の評価を探るために関係機関へのヒアリングを実施した。  また、滞在したバークレー国立研究所では、再生可能エネルギーの研究者とも情報交換を行い、カリフォルニア州での実態を調査した。ただ、カリフォルニア州のRPS制度は、世界で最も複雑でわかりにくいと米国の方でも細部については把握していない状況にあり、研究は多くの困難が伴った。  帰国してからは、調査結果を整理し、論文の執筆を行った。また学会での発表を申込み、2009年9月に千葉大学で開催された環境経済・政策学会2009年大会にて、学会発表を行った。本学会発表を終了し、論文を執筆し、投稿先について検討している。

結果・成果

2010年6月の完了報告から
 本調査研究では、カリフォルニア州のRPS制度と太陽光発電普及制度を中心テーマとして文献調査とヒアリング調査を中心に行った。2009年前半は文献調査に費やすと同時に、それまで得られた知見を学会等で報告してきた。そうした学会報告での知見を踏まえ、ヒアリング調査を2010年1月に行い、次のことが明らかになった。  まずRPSについてであるが、カリフォルニア州は非常に高い目標値を持ち、それによって、大きな再生可能エネルギーの需要が生まれたが、実際の導入が遅れている。その原因について、行政機関や再生可能エネルギー業界からのヒアリングから一定見えてきた。すなわち、1)電力会社側の体制作りの遅延、2)制度上の問題として補助制度の機能不全がある。3)厳しい発電設備建設の許認可によって,建設が遅れていることが挙げられる.特に州内に多く存在する国有の空地での発電事業についての困難さが指摘された。4)系統連系審査において、小規模な事業の審査に大規模事業と同等の時間と労力がかかり,多くの再生可能エネルギー事業者が審査待ちの状態になっている。5)これまで,再生可能エネルギーの大規模普及のために,送電網を増強,建設していくプロセスを迅速に進める体制や制度づくりが欠けていたため、送電網整備にかなり手間取っている。ただ、これらの問題のうち、1)、2)、4)の問題はすでに解決されており、3)および5)についても解決に向けた検討が続いていることがわかった。  RPS以外の再生可能エネルギー普及の制度として、住宅用太陽光発電などを支援する小規模な再生可能エネルギーの導入を支援する「新興再生可能エネルギープログラム(1998-2006)」があった。これは州独自の補助制度であり、一定の普及効果をもたらしたが、設置者へ設置のメリットを提供するにはハードルが高いため、日本などに比べると普及効果は見劣りしてしまう。  今回の調査研究で明らかになったことを踏まえて、今後は再生可能エネルギー普及における送電網建設およびその費用負担のあり方に関する議論について、カリフォルニア州のみならず、全米規模の課題として継続調査したい。この問題は、単にアメリカのみの問題ではなく、日本においても十分に価値のあるテーマである。

その他/備考


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