高木基金について助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い

これまでの助成研究・研修

トップページ  > これまでの助成研究・研修 > 助成事例の詳細


簡易分析法によるプラスチック廃棄物処理による大気汚染の研究



グループ名 VOC総合研究部会 2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf1,471kb]
2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf1,471kb]
2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf1,471kb]
2009/9/27東京での成果発表会配布資料[pdf1,471kb]
代表者氏名 森上 展安 さん
URL http://www.pp.iij4u.or.jp/~morigami
助成金額 20万円

テント

設立総会

研究の概要

2007年12月の助成申込書から
 今まで行ってきた簡易クロマトグラフ型携帯VOCモニターによる大気中の揮発性有機化合物分析法の研究で、大気汚染が測定場所および時間によって著しく変動することが明らかになった。   2008年度には、具体的な大気汚染防止のためにこの測定器を活用するために必要不可欠な、デ−タベ−スを得ることを目的する。  研究計画は、実験室的研究(A)と現場の調査研究(B)に分けられる。  簡易クロマト型分析器の分離度の限界ではやむを得ず、1つのピークの位置に多くの物質種類が対応するので、定性分析が著しく不明確なものになっている。実験研究Aでは、それぞれのプラスチックごみ処理で発生する揮発性有機化合物群を調べ、クロマトグラフ・ピークのスペクトルとして記録する。この記録されたスペクトルは、実際の複雑な大気汚染を解釈するのに役立つ基礎データとなりうる。  最近、プラスチック廃棄物処理方法が転換する機運でもあるので、現場調査研究Bにおいて、プラスチックの種々な処理施設の環境で、汚染物質群のクロマトグラフ・スペクトルとその変化を継続的に観察して、比較検討する。

中間報告

2008年9月の中間報告から
(A)プラスチックを各種の方法で処理したときに発生する物質の測定実験  プラスチック材料というものは、構成する単分子の種類が同じでも用途に合わせた作り方によって成分や構造が違うものなので、実際に身の周りに流通している実物を試料として、発生するVOCガスを調べはじめた。  まず静置したままで、いろいろなプラスチックの袋や家具を測ったが、物によって発生濃度はとても違った。パソコンなど電気製品でも、通電して使用すると時間が経過するにつれてVOCガスはずいぶん出てくることがわかった。  かき回したり滑らせたりする道具を準備して、押付ける力や滑らせる速さ、運転時間などを変えて、発生するVOCガスも変るかどうか試してみた。今回は、果物を包んでいる柔らかい発泡スチレン、段ボール箱の詰め物にしている軽くてやや脆い発泡プラスチックブロックと、輸送ダンボールの中でパソコンを押さえていたゴムのように弾力があり割れ難くやや重い発泡プラスチックを試験片として、回転する鋼またはアルミナセラミックスの円筒面をはさみつけて滑らせ、運転中の試験片の周りをマイラーバッグ(分析用のVOCを出さない袋)で包んで、袋の中に深く携帯型VOCモニターの空気採取管の先端を差し入れて発生VOCを分析しました。空気採取時間は、濃度が高い汚染空気には1分間(100cm3)、大気のように汚染濃度が低いものでは10分間(1000cm3)が適当なのですが、今回は10分間にしました。すべり運動をつづける時間はまた別に、摩擦試験機のほうで設定できます。 今回は、5000回転で停止するようにしてみたり、空気採取と同じ10分間動き続けるようにしてみたり、試してみています。 押付力は今のところ1kgの一定にして、円筒の回転速度を、毎分100回から1000回まで変えています。1000回転でちょうど杉並中継所の運転と同じになりますが、速度や見掛けの押付力を同じにしても、実際の接触条件が同じではありませんから、幅広く運転条件を変えていろいろな場合の現象を調べないと本当のことは推定できません。  実際に運転してみると、身近にあるありあわせ材料を試験片にして具合よく運転するのはかなり難しくて、まだテスト実験しているだけです。 しかしそれでも、プラスチック材料や、同じ材料でもすべり速度や試験片の押付け方が変ると、発生量や発生VOC種類が変るのは確かです。  分析機器が記録したクロマトのピーク位置からVOCの種類を推定したくて、軽油などを標準物質としてクロマトを描かせて、その判読方法の指導を受けているところです。 (B)各地での大気測定実験  所沢や多摩、練馬、寄居、神河町、美浦村など各地でもVOC連続分析をしたいのですが、1台の測定器では間に合わないので、TVOC(全体のVOC濃度)だけを安価なモニターで測らないかと思ってカタログを調べたり、実際に使ってみたりしましたが、しはんのTVOC計は発生源規制に対応する高濃度用に作られていて、残念ながら大気の分析には向かないことがわかりました。  今使っているクロマト型VOCモニターも、まだ十分には使い方を検討していないので、一定場所での落ち着いた実験で基礎を習得することが必要なので、他地区の方には少し我慢していただいて当会事務所で定点観測を続けました。 すると、2年前に比べて驚いたほどの大気の高濃度汚染が日常的になってきていることに気付いたのです。  高濃度が現れるのは、夜間と昼の2タイプあります。 クロマトが示す汚染物質種類は、夜間の高濃度時間帯と昼間の高濃度時間帯とで違うのです。 つまり夜の汚染源と、昼の汚染源が違うと言うことです。 空気汚染を何でも大陸のせいにして、日本での問題には目をつぶる傾向がありますが、実際に測定して見ると、地域的汚染でなくては説明できないことが多いのです。 自分の手で調べて、自分の周りで整えなくてはならない色々なことに気がつきました。  まだまだ検討しなければならないことが山積みですが、調べるたびに、驚くことの連続です。 皆さんもご一緒に研究してみませんか。

結果・成果

2009年4月の結果報告から
 クロマト型VOCモニターを使用して,揮発性有機化合物(VOC)空気汚染の実験室的研究Aとフィールド研究Bを行った。  研究Aではしゅう動中のプラスチックからは、静止状態ではなかったVOCが発生し、しゅう動のエネルギーが増大するにつれて多く発生することなど、やや詳細な発生の様子が明らかになった。  研究Bでは、ある交通量が少ない住宅地における定点継続観測で、TVOC濃度が時には大気中で室内ガイドラインを越えるなど2008年夏季には2年前にくらべて増大の傾向が見られた。2年前はTVOCが夜間増加型で、自動車排気ガス成分が遠方で発生したものであり、2008年は昼間増加型で不明物質が近くで発生したものと思われた。近隣で住宅補修中には、休憩時間以外以外には石油系物質濃度が顕著に増加した。他のある地域では自動車排気とも石油系ともまったく違うクロマトであり、それは研究Aで得られた発泡ポリスチレンのしゅう動発生物質のクロマトに類似していた。空気中汚染物質を個々の化合物として捕らえるのではなく、一連の化合物群からなる物質として捕らえることで、発生源因及び健康影響の理解が出来る可能性が示唆された。

その他/備考


HOME助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い高木基金について
ENGLISHサイトマップお問い合わせ 個人情報の取り扱い