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産業廃棄物中間処理施設周辺環境影響調査



グループ名 埼玉西部・土と水と空気を守る会 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 前田 俊宣 さん
URL
助成金額 70万円

調査地点の植物の葉に付着した粉塵(あっという間に粉塵がつもってしまう)

気象観測機

研究の概要

2009年12月の助成申込書から
●所沢周辺では、建設廃棄物を大量に処理する産業廃棄物中間処理施設が多数集中して立地している。これらは、民家や農家のすぐ脇に立地しており、周辺住民の生活に多大な影響を与えている。その多くは過去に焼却を行っていたものが、住民の反対運動や規制強化等により焼却を廃止し、現在は、破砕・圧縮などの中間処理や、保管をすると称して重機による破砕を行っていたりする施設が殆どである。しかし、それら産業廃棄物処理施設に対する規制は焼却施設以外には、殆どないに等しい。例えば、破砕施設などは、粉塵発生施設としてとらえられているが、その規制は、「手による散水」による対策のみで、基準を満たすとされるなど、現在の法規制はこれらの施設に対する有効な規制対策を全く整えていない。  しかし、私たちのこれまでの調査の結果、コンクリートや廃プラスチック類を破砕する施設から、大量の粉塵等が周辺に飛散し、降下していることや、周囲の植物に粉塵が付着していること、またそれらの粉塵中の重金属の分析をしたところ、鉛を多く含むことが確認され、VOC 調査においても、TVOC 量が多く、汚染を示唆する調査結果が得られている。これらの産業廃棄物処理による粉塵等による環境影響は実際には甚大なものであることが予想される。 ●これら施設から発生する粉塵等には、有害化学物質や揮発性有機化合物、アスベストなども含まれることが予想され、周辺の住民への健康影響が強く懸念される状態にも関わらず、これらの施設周辺の環境影響調査は全く不十分である。 ●しかし国も地方自治体もこの問題性を認識しておらず、充分な調査もせず無策のまま放置されている状態であるため、市民による環境影響調査を実施し、その調査の結果をもって、早急な対策の重要性を提起する必要がある。 ●これら施設は全国にも多数存在し、それらの環境影響は各地で潜在しており、同様のおそれがあるとの警告を発したい。 ●この研究調査により、一般市民、行政、廃棄物処理業者、廃棄物問題専門家の破砕など中間処理施設の潜在的汚染源性に対する関心を促し、汚染の未然防止対策への推進力となることを期待する。 【 この助成先は、過去にも同様のテーマで助成を受けています → 2008年度 / 2007年度

中間報告

2010年10月の中間報告から
 産業廃棄物中間処理施設周辺環境影響調査に取り組んでいます。所沢では、多数の中間処理施設が立地しています。以前は焼却炉が多かったのですが、焼却による環境汚染が問題となり、その殆どが焼却を中止し、破砕や圧縮・積替保管等の施設に変更されました。これらの施設からは、騒音・振動・粉塵の飛散などがひどい状況があります。粉塵中には廃棄物中の様々な化学物質・重金属類、アスベストなどが含まれる恐れがあります。行政に訴えても、規制はなく、環境調査すら実施されていない状況です。そこで、今年度、高木基金の助成金をいただき、これらの施設周辺の環境影響調査を実施することになりました。  まず、積替保管施設のすぐ直近で、施設からの粉塵・騒音や低周波音に悩まれている住宅の庭に、粉塵(SPM)や粉塵に含まれる化学物質(総VOC=揮発性有機化学物質)の状況を連続監視することのできる測定機を設置しました。連続測定調査機器を選定するのに時間がかかりましたが、7月から、記録がとれるようになりました。また、気象観測装置も設置しました。騒音測定は前年度より、連続測定監視を実施しています。  積替保管施設と破砕施設等中間処理施設の直近の降下粉塵調査の取り組みも並行して進めています。積替え保管施設と主な大規模中間処理施設3箇所の近辺、及び、所沢市が設置する環境測定地点にも設置し、各地点の降下粉塵中の重金属などの化学物質の降下状況を調べようと考えています。これらの結果から、中間処理施設の汚染状況を知るための基礎的な情報を得たいと考えています。  また、粉塵にアスベストが含まれているか否かを調査したいと考えています。  これまで行った連続測定の結果からはVOCが時々高濃度になる状況がみられました。騒音は日々規制値を超えています。SPMについては、現時点までに見られた値では、0.03〜4mg/m3です。破砕等から発生する粉塵は、SPMよりも大きな粉塵が多いと考えられます。降下粉塵の調査結果を得ることと、年間を通しての結果を得ることにより詳細な考察ができるのではないかと考えています。

結果・成果


 産業廃棄物中間処理施設周辺環境影響調査として、積替保管施設の騒音・SPM(浮遊粒子状物質)、TVOC(揮発性有機化合物総量)の長期連続測定調査に取り組みました。同地点において低周波音調査も行いました。また、同施設を含む所沢市内の産業廃棄物中間処理破砕施設の周辺等10地点の降下粉じん調査(夏季・冬季)・土壌・道路粉じん調査にも取り組みました。  騒音調査においては、操業の間、基準を超える状況が続き、10分毎の騒音測定値の騒音規制基準超過回数は年間総計2651回にも及びました。同施設の低周波音調査においても、国の定める低周波音被害の参照値を超える状況がみられ、重機のエンジン音が原因と考えられました。  SPM調査においては、長期連続測定において、環境基準を超える状況は見られませんでした。所沢市環境測定局測定値との比較を今後行います。  TVOC調査結果は、温度ともにTVOC値が上昇する傾向や、月間数日、夜間に一時的に高濃度の値が記録される等の状況が見られました。  アスベスト調査では、破砕施設周辺に散見される破砕物や敷地外に落ちている廃棄物等を採取し、顕微鏡観察を行ったところ、採取した6個中4個にアスベストと見られる物質が含有していました。  降下粉じん調査・土壌・道路粉じん調査については、3月の震災の計画停電などの影響で、分析が予定を大幅に遅れたため、現在東京農工大学での重金属分析結果待ちであり、結果が出次第、報告します。  これまでに得られた結果からも、中間処理施設周辺における環境への影響は顕著であり、騒音・低周波音による生活被害は深刻でした。また、破砕施設にアスベスト含有物が持ち込まれている恐れが高いことも示されました。

その他/備考


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