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建築材料等のVOC汚染による健康影響の総合調査



グループ名 化学物質による大気汚染から健康を守る会(VOC研) 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 森上 展安 さん
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助成金額 40万円

研究の概要

2009年12月の助成申込書から
 当会ではクロマト型VOCモニターによる簡易分析で、揮発性有機化合物(VOC)による大気汚染の実態を明らかにしてきた。プラスチック廃棄物処理、プラスチック利用加工工程、新農薬などの汚染が各地で重大な健康被害を引き起こしている。その中でもプラスチック利用建築材料による施工中および廃棄物処理中の被害は顕著であり、従来の室内汚染規制とは異質の対策も急務と思われる。適切な対策を求めるために、汚染の性質とその健康影響の実態を、迅速で多面的に把握する研究が緊急に必要である。しかし実際には、汚染VOCを検証する技術は極めて不十分であって、各研究者はそれぞれに一部分のみを調べた結果で環境中におかれた人々の安全性を判断している危うい研究状況であり、ことに新しく発生しているVOCによる健康被害が過小評価されて、被害者を社会的にも苦しめている。  本年度の当研究においては、前年までの研究成果を踏まえて、プラスチック類似の人工樹脂を利用した新建築材料を対象に絞り、今まで使用したクロマト型簡易VOCモニターによる測定のほかに、アルデヒドやNOxの測定、落下塵埃の観察および植物などへの影響観察と住民への健康調査を加え、大気汚染VOCの実験室的発生挙動と汚染地区での移動挙動および人及び生物への影響の実態を多面的に把握しようと試みるものである。発生の実験では、加温やせん断力の影響も調べ、対汚染抑制にも役立つ。健康調査項目や、標識生物の選定などの調査手法も新たに試みるもので、それらの成果の広い波及効果も期待できる。

中間報告

2010年10月の中間報告から
 建築諸材料に多様な化学物質が導入されたため重症被害も多発したシックハウス内のVOCについては、不十分ながら関係者の間で規制など検討が進められてきたが、建築現場や建築廃材処理での周辺大気汚染の健康影響も大きいので調査課題とした。  土浦市においてプレハブ集合住宅の新築工事が行われたので、その工事日程表と各工程で使用する材料の物質安全データシートを提示を要望して入手した。 工事中、近隣住宅の複数住民には健康影響または不快感があった。健康影響があった近隣住宅外部空気の揮発性有機化合物を簡易クロマト型VOCモニターで連続測定した。クロマトグラフでは異常なVOC群が観測され、詳細なデータの解析はこれから行うが、工程材料に関係して日時による変化があり、体調影響とも関係が見られたようである。  一方、千葉県野田市の建築廃材処理場からの大気汚染で健康影響が広がったが、県によるGC−MS分析調査では有害の証拠が示せなかったので、当会の指導で住民が簡易クロマト型VOCモニターで連続分析したところ、焼却炉排気からの燃え難いVOC以外に破砕処理によると思われる引火性のVOCが多いことが分かった。また、排出空気は上空に拡散せずに濃度を保ったまま下降して地表を這うこと、1km以上までも伝播することも確認された。  動植物生態の急変も観察され新しい農薬の影響もあるようなので、一般の協力を得て地域差を調べようと調査表を作成し、諸団体への配布を始めた。  同じようなVOCによる被害を防ぐために、それらの事実を深く理解し広く伝達できることを願ってセミナーを開催し、またホームページを作成した。

結果・成果


 建築諸材料に多様な化学物質が導入されたため重症被害も多発したシックハウス内部のVOC(揮発性有機化合物)については一応の規制が出来ましたが、それ以上にVOC発生が盛んで健康影響が大きいと思われた介護施設内の暖房の影響、建築現場や建築廃材処理および道路工事の周辺大気汚染を調査しました。簡易クロマトグラフによる連続測定の結果、健康有害VOCが、シックハウスで規制されている物質とは違うことが示唆され、被害者の体験と国内の新規認可特許および外国公的機関の文献調査を勘案すると、イソシアネートなどの窒素系合成樹脂の関与が強く懸念されるに至りました。新築および道路工事現場では、工程によって時間ごとの汚染物質が変化しましたが、夜間には再び作業中と同じ種類のVOCが高濃度に降下し、近隣住宅の複数住民には健康影響または不快感がありました(土浦市)。  健康影響が広がった建築廃材処理場からの大気汚染では、揮発性が顕著なVOCが多いと同時に、揮発しにくいVOCもプラスチック摩擦で発生するタイプと一致しているので、焼却炉排気からの燃え難いVOC以外に破砕処理によるVOCが発生していると推定されました。排出空気は上空に拡散せずに濃度を保ったまま下降して地表を這うこと、1km以上までも伝播することも観測され、気象研究者の予測とも一致しました(野田市)。  2つの介護施設を比較し、暖房による発生有害VOCも、建築現場や廃材処理と類似してシックハウス規制物質以外であることを確認しました。新しい農薬で生物の急変も感じられたので諸団体の協力を得てアンケート調査し、特に農地近くで市街地以上に昆虫が壊滅的に急減したことを確認しました。調査法の検討と調査した事実を深く理解し広く伝達できることを願ってセミナーを開催し、またホームページを作成しました。

その他/備考


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