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美浜1号炉の高経年化技術評価報告書の批判的検討



グループ名 原発老朽化問題研究会 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 伴 英幸 さん
URL
助成金額 70万円

研究の概要

2009年12月の助成申込書から
 03年に発足した原発老朽化問題研究会は、日常的に起きる事故・トラブルを材料劣化の視点から原発の安全性をチェックしてきている。また、電力各社が規制当局の指示に基づいて順次報告している高経年化技術評価報告についても検討を進めてきた。これらは30年目に事業者が行なう報告書だったが、さらに40年目の報告書が出始めた。  09年1月に法改正が行われて、同報告書に基づく長期保全計画が保安規定に変更に当たるために、許認可事項となった。この適用の第1号が敦賀原発1号機である。本老朽化問題研究会の09年度の活動の柱に敦賀1号機の高経年化技術評価報告書の批判的検討を進めてきた。  美浜1号機は敦賀1号機と同様に、40年を超えて運転を継続する。関西電力は美浜1号機の高経年化技術評価報告書をまとめ長期保全計画とともに、09年11月5日に規制当局の原子力安全・保安院へ許可申請を行なった。  本研究会は2010年度の課題として美浜1号機のそれを検討することとした。同原発は加圧水型炉であり、09年度の検討対象である敦賀1号機は沸騰水型炉であるので、日本を代表する二つのタイプの原発を検討することは、高経年化の問題点をいっそう深めることになる。  高経年化技術評価報告書は10の大項目から評価が行われている。本研究会の検討は数千ページにおよぶ報告書を逐一検討していく方法をとらず、これまで研究会が蓄積してきた知見を基にして、項目を選択して行なう予定である。

中間報告

2010年10月の中間報告から
 敦賀1号炉の圧力容器鋼材の照射脆化について引き続いて議論をしている。6月の会合では原子炉構造材の監視試験方法の改定点について、社団法人日本電気協会の「電気技術規程」4201-2007と電力中央研究所の照射脆化予測法に関する研究論文(Q06019)から探った。この内容は老朽化研究会メンバーが問題提起した中性子脆化の従来予測の欠陥を受け入れたものとなっていることを確認した。また、この時、原子力発電システムの安全確保に向けた高経年化対策と保全高度化に関する国際シンポジウムの傍聴報告を受けた。これについては内容を共有するために配布論文を読み合わせることとした。  その後、行政文書開示請求により美浜1号炉の高経年化技術評価報告書を入手したので、9月の会合で各メンバーに配布し、全体構成を説明した。この会合では、6月に福島第1原発2号炉での外部電源喪失事故について東電発表内容を基に検討した。外部電源喪失事故は沸騰水型原発で、過酷事故につながる恐れの高い事故として恐れられているからだ。今回の事故では、非常用ディーゼルが辛うじて起動したことで冷却材喪失事故には進展しなかったが、冷たい水を原子炉内に送り込んだことによる熱衝撃も問題となる(同原発では3回目)。またアメリカのデービスベッセ原発の圧力容器上蓋で貫通部ノズルにひび割れが発見されたトラブルも話題とした。77年に運転を開始した老朽原発だが、当該上蓋は6年前に交換しており、製造問題もしくは運転環境の点から注目していくべきトラブルと認識した。格納容器ライナーの腐食問題についても議論した。

結果・成果


 2003年に発足した原発老朽化問題研究会では、日常的に起きる事故・トラブルを材料劣化の視点から原発の安全性のチェックを行っています。また、電力各社が規制当局の指示に基づいて順次報告している「高経年化技術評価報告書」についても検討を進めてきました。本研究会は2010年度の課題として美浜1号機の「評価報告書」を検討しました。  美浜1号機(1970年11月28日運転開始)は、40年を超えて運転を継続しています(2010年11月24日より定期検査中)。関西電力は美浜1号機の「高経年化技術評価報告書」により、長期保全計画をまとめるとともに、2009年11月5日に規制当局の原子力安全・保安院へ運転延長の許可申請を行ないました。同院は非公開の審査でこれを認可しました。  とりわけ注目したのは、脆性遷移温度の問題です。この理由は、玄海1号炉における脆性遷移温度が98℃(予測値)に達しているとの情報が地元住民団体から寄せられたので、比較検討するかたちで検討を進めました。  国の安全評価で利用されている脆性遷移温度に関する予測式が実際と大きくずれていることが検討の結果わかり、美浜1号炉の「高経年化技術評価書」にも疑問が出る結果となりました。また、この研究成果を元にパブリックコメント(2011年1月)を提出し、問題提起をおこないました。また、原子力安全・保安院との話し合い、原発機器材料の強度確認試験方法であるJEAC4206-2007の検討、ならびに玄海1号炉の分析をとおして、美浜1号炉の「技術評価書」の批判に関する基礎的なデータがえられました。

その他/備考


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