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水の正義:スリランカのホットスポットにおける水質調査



グループ名 センター・フォー・エンバイロメンタル・ジャスティス(CEJ)【スリランカ】 報告書:Justice for Water[]
代表者氏名 ヘマンサ・ウィサナゲ さん
URL
助成金額 45万円

コロンボ市内を流れる水路

研究の概要


 スリランカのコロンボ市やキャンディ市のような大都市では、湖で死んだ魚がみられたり、湿地帯で鉛・水銀が基準値を超えたり、井戸水からカドミウム・鉛・水銀が検出されたりするなど、各地で重金属などによる水質汚染がみられます。原因は産業・家庭廃水や人工肥料などが考えられますが、環境省によると、7万の工場の内、義務づけられている環境保護ライセンスを取得している工場は1万4千にとどまり、取得していても基準値を守らない場合が多くみられます。スリランカではあらゆるごみ(家庭、産業、医療、電子機器)は分類されないまま、焼却か屋外に投棄されており、リサイクルもほとんど行われていないのが現状です。  本調査研究では、約10カ所の公共用水域で重金属汚染の調査(鉛、カドミウム、水銀)および有機汚濁の調査(BODと大腸菌)を実施し、市民が飲用・農業用に適した水の情報を得ることができる特定エリアの水質マップを作成します。また、分析は専門家・研究所と連携して行い、その結果に基づいてCEJの法律専門のスタッフが国や地方の現行法制度の評価を実施する予定です。調査実施期間は、2009年10月〜2010年10月。

中間報告


結果・成果


 スリランカでは、河川や水路の水質汚染が深刻化しており、飲み水や地下水への影響が懸念されています。公共用水域(河川、水路、小川、湖)や廃棄物処分場周辺における包括的な水質調査はほとんど行われておらず、大学や民間機関による調査はあるものの、特定の水系を対象としたものが多く、水銀など重金属含有調査の実施は限られています。分析費用が高額であることがその原因のひとつです。そのためCEJは、公共用水域や水源の水質状況を調べ、問題への一般市民や当局の関心を高め、水質保全に関する現行法制度の適切性を確認するため、仝共用水域の水質調査、特定エリアの水質マップの作成、8醜圓遼?度の検証と評価、な鷙霆顱嵜紊砲ける正義」の作成を実施しました。  2010年に行った調査では、コロンボ、キャンディ、ヌワラエリア地区の公共用水域27 カ所で水質サンプルを取得し、鉛、カドミウム、水銀、ニッケル、亜鉛、銅、クロム、有機汚濁指標としてのBODと大腸菌などを分析し、国家環境法(NEA)の「内陸の地表水への一般排水規準」との比較を行いました。その結果、27カ所で取得した61検体の内、5検体から鉛(基準値0.1mg/ℓ のところ、各8.7、7.8、0.5、0.68、56mg/ℓ)、1 検体からクロム( 基準値0.1mg/ℓ のところ、0.6mg/ℓ)、6検体から基準値を超過したBOD(基準値30mg/ℓのところ、各31、35、36、217、50、67mg/ℓ)が検出されました。鉛の値が高かったのは、Ratmalanaの電池工場周辺およびKolonnawaの石油備蓄施設の排水が流れ込む水路でした。今回の調査では、水銀やカドミウムは検出されませんでした。断続的なモンスーンや洪水など天候の影響により、3カ月調査が実施できないことがありました。(2010年12月)  さらにCEJの法律チームは、水質保全に関するスリランカの現行法制度の検証と評価を行いました。その結果、法制度はある程度整備されているものの、当局間の調整不足やモニタリング体制の弱さなどによって、法律が適正に運用されていない状況が明らかとなりました。スリランカでは産業・家庭排水が内陸の地表水に直接流され、水路や河川がごみ捨て場と化している状況がありますが、現行法が適正に運用されれば、多くの水域の水質改善が可能となります。こうした解決を図るには、CEJ のような民間団体にできることは限られており、特に地元自治体や当局の役割が重要です。汚染された水路や河川を浄化するよりも、法を執行する方が費用はかからないはずです。2010年7 月に国連総会は、「安全な飲み水と衛生へのアクセス」を基本的な人権であると宣言しましたが、それをどのように地域レベルで実践していくのかが重要となっています。 

その他/備考


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