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紅沿河原発建設における研究プログラム(遼寧省大連市)



グループ名 蔚然大連【中国】 報告書:紅沿河原発建設における環境社会影響調査(中・英・日)[]
報告書:紅沿河原発建設における環境社会影響調査(中・英・日)[]
代表者氏名 程 淑玲 さん
URL
助成金額 35万円

福島原発事故後に作成した“核安全大連市民手帳”

研究の概要


 2007年に着工された紅沿河原発では、中国北東部を対象とする電力供給を目指して計400万KWの原発を現在建設中ですが、立地選定や建設・放射能放出・温排水などによる環境影響やリスクに関する情報は、政府が発信するものに限定されており、市民が実際に起こりうる影響を知ることはできません。  本調査研究では、原発建設がWen tuozi島と周辺海域に与える影響に焦点をあて、現地調査ならびに地元の研究者や住民からの情報収集を行います。また、原発の環境影響に関する科学的な情報交換ができるサイトの開設やセミナーなどを通じて大連の住民に対する情報提供を行い、市民が原発建設に関する包括的な科学的知識を得て、その意識や緊急事態への対応能力を高めることを目指します。調査実施期間は、2010年1月〜2010年12月。

中間報告


結果・成果


 現在、中国遼寧省の渤海に面した東海岸沿いで、中国北東部の電力供給のために2016年までに6基の原子炉稼働を目指す「紅沿河原発」が建設されています。周辺にはゴマフアザラシが生息する豊かな海域が広がりますが、事業の立地や建設計画、放射能、温排水などによる環境・社会影響やリスクに関する情報は、政府が発信するものに限られています。そのため、本調査では、市民が原発建設に関する科学的知識を得て、その意識や緊急事態への対応能力を高めることを目的に、周辺海域及び地元の環境・社会影響に焦点を当てて、文献調査の他、現地訪問を2010年に3 回行い、研究者や住民から情報収集を行いました。その結果、以下のような事業による影響が明らかになりました。 (1)建設労働者による生活ごみ・廃水による河川など水環境の汚染、(2)温排水によるゴマフアザラシをはじめとする海洋生物への影響、(3)建設工事に伴う掘削や埋め立て、道路整備などによる土壌の浸食による影響、(4)農地収用、住民移転及び補償の問題、(5)雇用創出や移住者増加などに伴う地元経済の変化。  これらの調査結果の詳細は、報告書「紅沿河原発 環境社会影響調査」にまとめ、中国語の他、日・英の概要をつけて発表しました。  2011年3月の福島原発事故以降は、原発に関する科学的な基礎知識を普及するため、核セキュリティや燃料サイクルに関する報告書など、原発に関する英文文献を中国語に翻訳した他、原発や放射能リスクに関する情報収集を行い、基礎的な情報を載せたハンドブック『核安全大連市民手帳』を作成・出版しました。また、大連市内の学生を対象に放射能について議論するサロンを開催した他、チェルノブイリ事故から26周年にあわせて大学内で原発に関する知識の周知活動を行い、記念集会を行いました。福島原発事故後、原発のリスクに関する教育やトレーニングを受けていなかった中国市民は、不安に直面する経験をしました。原発の科学的な基礎知識をび、原発開発に対する冷静な見方を身につけることは、突然の事故の際に効果的かつ落ち着いて対応するためにも必要です。(2011年5月) *蔚然大連は「大連環境資源センター(DERC)」から名称を変更。

その他/備考


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