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スウェーデン環境裁判所における判例研究及びその評価【研修先:スウェーデン ルンド大学大学院】



グループ名
代表者氏名 澤木 千尋 さん
URL
助成金額 80万円

研究の概要

2010年3月の助成申込書から
 スウェーデンは、国際社会から環境先進国として知られているが、最近とりわけ注目されているのは、国内の環境裁判所の実績である。スウェーデンの地域環境裁判所は、環境に関する事項を専門に裁判を行い、裁判官のみならず、検察官も環境の専門家が行うため、市民にとってこれまでに比して、より衡平な審議が行われることが期待されている。  これは、世界においても先駆的な試みである。なぜなら、これまで市民は環境問題に関して被害を被った場合には、環境被害者側からすると、一般に加害者の特定が困難であった。さらに、ようやく裁判にこぎつけたとしても、裁判官が環境専門家ではなかったため、市民が衡平な裁判を受けることが非常に困難な状況であったからである。  そこで、1999年に制定された環境法典を機に設立されたスウェーデン地方環境裁判所の裁判制度に着目する。具体的には、この裁判所の設立過程及び組織機能の概要を調査し、判例の調査を通じて、1999年以前の判決と比較検討して、新たな制度の実績を浮き彫りにする。そこから明確にされる制度の施行状況を把握したうえで、今後の環境裁判所の展望を示したい。  これを踏まえ、スウェーデンにおける地方環境裁判所の制度が、企業の環境責任としての行動にいかなる影響を与えているかを、実際にスウェーデンの企業へヒアリングを行い、明らかにする。これによって、スウェーデンにおける企業の地球温暖化対策を把握するとともに、かかる温暖化対策に対するスウェーデン企業の考え方として社会全体にどのような認識が生起しているのかを明らかにしたい。  最後に、上記2点の研究を通じて、いかにしてスウェーデンの市民を守るための環境政策が促進されてきたかを検討した後、その成果が日本においてどのように応用できるかについての政策提言を行うものである。

中間報告

2011年1月の中間報告から
 2010年よりルンド大学IIIEEにおける大学院のプログラムにおける研修に8月17日より参加し、5ヶ月あまりが経過しました。本格的な授業が始まる前に、日本における民事訴訟法、刑事訴訟法に関し学びました。その後、研修が始まるとともに、プログラムのカリキュラムに従い産業・企業の側からの環境問題に対するアプローチを学びました。たとえば、ライフサイクルアセスメント(LCA)、環境適合設計(DfE)、サプライチェーン、サステイナビリティ戦略、商品サービスシステム(PSS)、ISO14001をはじめとした環境マネジメントシステム(EMS)、エコラベル、産業における省エネルギー、産業間におけるシンバイオシスをはじめ、多岐にわたる企業における包括的な環境政策を学びました。そして、実際にSYSAV(廃棄物処理)、Volvo truck、VASYD(汚水処理プラント)、SODRA(パルプ工場)、Lund Energi (熱供給施設)などに訪問することで、どのように実際に環境に対する取り組みを進めているのかを学びました。さらに、その中で実際に地域環境裁判所から判決を受けたために生産量を調整することとなった企業もあり、少しお話を伺う事ができました。今後、当該企業とコンタクトをとることにより、地域環境裁判所による判決事例の一つとして詳細をみていきたいと考えています。  また、同時に環境政策の評価としてコストベネフィット分析や、より効果的に環境負荷を削減するための市場的手段(Market based instrument)に関しても事例の分析を通して学び、さらに政治や法律の基礎に関しても学びました。とくに、地域環境裁判所に関する更なる情報に向けたソースに近づくことができ、今後更なる研究に向けた足がかりを得る事ができました。

結果・成果


その他/備考


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