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福島第一原発事故による放射能汚染と「低線量」被ばくによる健康影響を検証するプロジェクト ―国内外の市民・科学者を結集し、日本政府による放射線防護対策を検証する―



グループ名 市民科学者放射線防護ネットワーク 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 隅田 聡一郎 さん
URL
助成金額 30万円

『市民科学者国際会議』 一日目 オープニング・キーノートスピーチ セバスチャン・プフルークバイル氏

『市民科学者国際会議』 一日目 円卓会議風景

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 この調査研究は、福島県各地に設置されている市民放射能測定所を拠点とし、日本政府による放射線防護対策や福島県と福島県立医科大学による「県民健康管理調査」を検証するプロジェクトです。  日本政府による放射線防護対策は(1)「福島第一原発事故による健康影響は極めて少ない」(2)「低線量被ばく(年間100mSv以下)は安全である」を前提とし、「予防原則」「防護」よりも「安心」を目的とした不十分なものとなっています。ゆえに、政府から独立した、市民・科学者による環境汚染分析や放射線測定(空間、土壌、食品、人体内)によって、「放射線感受性」の高い子どもや妊婦などの弱者、とりわけ福島県民の健康を守るための被ばく低減化措置が求められています。  このプロジェクトは以下の課題に取り組みます。(1)「県民健康管理調査」、環境汚染(低レベル放射性廃棄物、除染対策)、放射線測定(土壌、食品)を検証するため、日本政府にあらゆる情報を公開させる(2)放射線防護に関する市民版報告書を作成・英訳し、国内外の科学者・専門機関にプレスリリースする(3)それらの成果をもとに、国内外の科学者・市民・市民団体を招いた「市民科学者国際会議」を開催する(報告書を出版予定)。  チェルノブイリがそうであったように、今後、健康影響を過小評価する観点から、国際原子力機関や世界保健機関、国際放射線防護委員会がフォーラムを開催していくと考えられます。4月末に開催予定の「市民科学者国際会議」を契機とし、長期的にはそのフォーラムに対抗するための市民・科学者ネットワークを国内外で整備し、第三者機関を設置します。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 6月23日、24日の2日間、福島県の猪苗代において『市民科学者国際会議』を開催し、2日間でのべ400人が参加、ユーストリーム中継で10,000人が視聴しました。  ドイツ放射線防護協会会長のプフルークバイル氏がキーノートスピーチ『市民と科学者は同じ船に乗っている』を行い、「放射線影響の科学的・医学的見解」「測定」「防護とケア」という3つのセッションで11人が登壇。両日ともに全員で『円卓会議』を行いました。  セッション1では、ド・ヴァテール氏が仏領ポリネシアでの核実験による甲状腺がんの疫学調査を報告、欧州放射線リスク委員会委員長のフォイアハーケ氏は100mSvより低い線量でがんの発症が見られる共通見解を示し、バベルストック氏が放射線生物学の見地から、がん以外の疾病や遺伝的疾患について述べ、遺伝学の新川詔夫氏が放射線影響についてレクチャーしました。  セッション2では、フランスの独立測定機関CRIIRADのシャレイロン所長、大気化学が専門の滝川雅之氏、福島の有機農業者の長谷川浩氏、福島でホールボディカウンターや給食測定に関わってこられた早野龍五氏から具体的な数値の提示や推定がありました。  セッション3では、福島において、また自主避難者のために健康相談会を実施している2人の小児科医、山田真氏と高松勇氏、チェルノブイリ連帯基金事務局長の神谷さだ子氏から福島での支援の取り組みの紹介があり、問題提起がなされました。  円卓会議では、住民から国の対策への怒りや不信のアピールがあり、議長を務めた島薗進氏は「科学的な調査研究の蓄積と公正な討議や決定が重要」と語りました。会議の終わりには、プフルークバイル氏が手紙『親愛なる子どもたちへ』を参加していた高校生たちに手渡しました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 2012年6月23日、24日の2日間、福島県の猪苗代において『市民科学者国際会議』を開催し、2日間でのべ400人が参加、ユーストリーム中継を1万人が視聴しました。会議で発表された内容および会議録は、以下のようなかたちで使われています。 ・CRMS市民放射能測定所、全国市民放射能測定所ネットワークおよび共催団体等による福島県内外における市民への健康相談といった日常活動や政府・自治体への要請活動における背景知識・情報および参考資料として ・原発事故子ども・被災者支援法市民会議において、政府による基本方針策定に対する要望案づくり、各地の団体による政府・自治体への要請活動における背景知識・情報および参考資料として ・国連人権理事会特別報告者、ベラルーシ・ベルラド研究所はじめ福島県内外への海外視察団受け入れ活動における背景知識・情報および参考資料として  2012年の会議で話し合われた内容は、問題提起としての側面が大きく、またこの1 年の間に動いた状況もあります。会議開催と同じ6月に「原発事故子ども・被災者支援法」が成立し、大きな期待を集めた反面、結局政府は、被ばく回避・低減策として効果の少ない除染ばかりに資材と人手を集中してきました。放射線による健康影響については福島県に限定された目的の不明確な「県民健康管理調査」しか行っていません。福島原発事故による被ばく評価についても国連科学委員会の発表をもって国際的にも国内的にも公式な見解とする方向で動いています。  これらに対し、市民による検証がますます必要となります。私たちは2013年にも『市民科学者国際会議』の開催を予定しています。2012年の会議を基盤に2013年の会議等を通じて、放射能汚染と放射線被ばくに対する関心と知識を高め、調査研究や測定活動、防護やケアに通じる活動が盛んになることを期待しています。

その他/備考


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