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熱帯プランテーションにおける紛争と人権問題の調査研究・提言



グループ名 熱帯プランテーション問題研究会 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 原田 公 さん
URL http://jatan.org/
助成金額 30万円

パーム油:日本では約90%が加工食品に。インスタント麺、お惣菜、マーガリン、アイスクリーム、チョコレートなど。表示は「植物油脂」でパーム油と認識されない。石鹸、洗浄剤類にも使用。

豊かな森と村の暮らしがあった場所にアブラヤシ農園が広がる

インドネシア リアウ州(上:1982年 下:2007年)

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 東南アジアの熱帯林は、木材生産のためにその多くが伐採され、比較的良好な二次林として残されてきたところも近年ではアブラヤシ農園やアカシア植林地への転換が進んでいます。二次林は森林としての利用が可能ですが、農園に転換されると、生物多様性が激減し、住民による利用もほぼ不可能になるため、地域住民と農園開発側との間で多くの軋轢が生じています。また、一部のプランテーションにおいては、移住労働者の人権問題や、児童労働の問題が指摘されています。  日本は、これらのプランテーションで生産される産物の消費国ですが、社会的にプランテーションと熱帯林開発、そこでの人権問題については、ほとんど知られていません。またユーザー企業の中には問題を認識しているところもありますが、具体的なの取り組みはほとんど見られません。  熱帯林の保全と持続可能な利用の問題に取り組んできた6団体(熱帯林行動ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、サラワク・キャンペーン委員会、地球・人間環境フォーラム、メコン・ウォッチ、レインフォレスト・アクションネットワーク)は、共同で熱帯プランテーション問題の調査研究・提言活動を行い、2011年度は地球環境基金の助成(メコン・ウォッチ申請)を得ていますが、本調査・研究は、特に住民との係争事例や移住労働者、児童労働の問題に焦点を当てて実施します。調査結果は、日本の市民社会に向けて発信していくほか、主なユーザー企業とダイアローグを行い、調達方針の策定や改善を求めるなど、消費側として問題への責任ある対応を求めていきます。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 東南アジアの熱帯林では、アブラヤシやアカシアなどのプランテーションへの転換が急速に進み、生物多様性の激減や泥炭林破壊による温暖化ガスの排出などの環境問題、住民との土地を巡る紛争、移住労働者の人権問題や児童労働などの社会問題を生み出していると指摘されています。日本もプランテーションで生産されるパーム油や紙などの消費国ですが、問題の社会的認知度は低く、ユーザー企業でも問題を認識していないところもあり、対策は極めて限定的です。本調査研究では特にプランテーションの社会問題に焦点を当て、認識を広めることと、企業との対話を通じて責任ある調達を求めることを目的としています。  これまでに国内のパーム油ユーザーである食品製造業6社、洗剤業3社、外食産業1社にヒアリングを行い、プランテーション問題の情報提供と、サプライチェーンの把握、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)認証油購入予定等の取り組み状況について情報収集を進めてきました。特に食品・外食業界はパーム油の8 割以上を利用しているにも関わらず、問題への関心が低く、情報交換すら受け入れない企業が少なくありません。これらの企業をどのように巻き込んでいくかが課題です。より効果的な普及啓発と企業向けの活動のため、アブラヤシ問題に関心を持つNGO 10団体で戦略会合を行い、分業と協力方法について協議を開始しました。  今後は現地調査結果も踏まえて、情報提供とセミナー開催、企業向けダイアローグを進め、具体的な対策を取るよう企業に働きかけていきます。また日本の金融機関から生産国のパーム油産業への投融資状況も調査により明らかになったため、主要銀行に向けてもアブラヤシ農園問題の情報提供をしていく予定です。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
●生産国現地調査  ラオス、マレーシア(サラワク州、半島部)、インドネシア(スマトラ島)におけるアブラヤシを中心としたプランテーションの環境・社会問題について、現地調査による情報収集を行いました。人権侵害については、マレーシアにおいては農園で作業に従事する移住労働者やその子どもたちの問題が、特にボルネオ島において大きいことがわかりました。またマレーシア・サラワク州およびインドネシアにおいては、先住民族や地域住民の土地利用と農園の土地確保における軋轢が数多く発生していました。インドネシアにおけるプランテーションに関わる土地紛争については、現地NGOがまとめた600件を超える紛争リストを入手しました。今後、紛争事例と日本企業との関わりについて把握を進めていく予定です。 ●企業・関連団体との意見交換  企業12社と個別の意見交換を実施し、パーム油調達に関する考えやRSPO持続可能なパーム油のための円卓会議)加盟・認証油調達の方針について聞き取りを行うとともに、プランテーションに関連する環境社会問題について、調査に基づく現地情報を提供することができました。また、日本の主要金融機関のパーム油産業への投資状況を確認しました。  今後は、特に大手ユーザーである食品系企業を対象にダイアローグを進めていく予定です。日本企業も数十社加盟するThe Consumer Goods Forumという小売・流通系企業のネットワークが形成され、持続可能性部会において、2020年までにサプライチェーンを通じたZero Deforestation(森林減少ゼロ)を謳っています。このメンバー企業を働きかけの中心として活動していきます。  また、日本の主要金融機関のパーム油関連産業への投融資状況を、委託調査によって確認したところ、三大銀行はいずれも相当の関わりを持っていることが分かったため、金融機関とプランテーションの環境・社会問題について意見交換を行いました。このような意見交換は今後も継続し、生産地で特に問題の大きい企業に対する投融資については慎重に行うように働きかけていく予定です。

その他/備考


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