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福島第一原子力発電所事故に関する情報公開制度を利用した政府の持つ一次情報の収集・分析



グループ名 情報公開クリアリングハウス 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 三木 由希子 さん
URL http://clearing-house.org/
助成金額 40万円

県民健康管理調査専門調査委員会の資料(一部)

公開された「甲状腺検査福島県内実施マニュアル」の一部。情報公開クリアリングハウスホームページより。(高木基金事務局編)

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 この調査研究は、福島第一原子力発電所の事故に関する政府の情報の全体像が見えないこと、事故に関するコストは様々な意味で市民の負担になるにもかかわらず、事故に関する情報は一向に市民のためのものにならなっていないという現状認識のもと、事故に関する情報を情報公開制度で求め、公開された情報を分析、公表していくものです。とりわけ、放射性物質や放射線量に関して、政府がどのような前提でどのような検討を行い、どのようなデータの収集をしているのか、あるいはしていないのかについて、情報公開制度を利用して情報の収集を行います。  情報公開制度を利用する意味は、政府の情報の全貌の一端を明らかにする唯一の手段であること、制度を利用することで政府が公文書を廃棄できなることから、廃棄の防止ということです。また、国だけでなく自治体も検査・計測を行っており、一定の情報を保有しています。自治体の判断、考え方によって対応に差があり、どのような対応が行われているのかを比較することは、今後の地域での取り組みに有用です。そのため、各地で情報公開請求への参加を呼び掛けて、地域参加的に調査研究を行います。この取り組みによって、市民が情報を手にする手段としての情報公開制度の利用等に関するノウハウを提供する機会とします。  公開された情報は、整理し広く提供しやすい形態に変換します。また、情報の分析は専門家に依頼し、意味、意義について明らかにするとともに、何については調査・検査が行われていて、何が行われていないのかについても整理を行います。調査研究の結果は報告書のまとめるほか、シンポジウム等で報告をします。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 福島第一原発事故による放射能が市民の日常生活に及ぼす影響は、限りなく重いものです。被災地である福島県や、高い放射線量を示している地域に住んでいる市民のみならず、がれきの処理、高線量を示す下水の汚泥や可燃物の焼却灰、農水産物をはじめとした様々な消費財への影響など、被災地だけではなく、この問題に日本全体で向き合う必要があります。そこで、国や自治体が放射能に対する対策として何をどのように行っているのか、それを実行できるだけの裏付けがあるのかを、情報公開制度に基づく情報公開請求によって明らかにし、その情報を共有することを目的として調査研究を進めています。これまでに、以下のように情報公開請求対象の選定を行いました。 <自治体> (1)各自治体の汚泥や可燃物の焼却灰の状況 (2)除染対象となっている地域の除染実施計画と除染後の土壌等の管理状況 (3)各自治体の放射能対策に関する予算の状況 (4)放射能に関する相談の状況 (5)固定のモニタリングポストの設置条件 <国> (1)福島県内に設置したモニタリングポストの設置条件 (2)除染に関する検討経過と、除染後の土壌等の管理について (3)放射線量の高い焼却灰の取扱いに関する情報  これらの対象について、国には情報公開請求を行い、自治体では各地で同様の取り組みができるようにパイロットケースとして3か所の自治体(比較的影響の少ない関東圏内の自治体として相模原市、当会の事務所のある新宿区・東京都、除染地域となっている野田市)で情報公開請求を行っているところです。今後、この結果を踏まえて、各地で情報公開請求を行う際の参考となるマニュアル作成を行います。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 本調査研究では、福島県県民健康管理調査と国が福島県内で設置しているモニタリングポストに関する情報公開請求を行いました。 1.福島県県民健康管理調査について  福島県県民健康管理調査検討委員会の資料と議事録は第4回からしか公表されておらず、調査の基本的な事項を議論した第1〜3回のものは非公表となっていたため、これらに関する情報公開請求を行いました。また、健康管理調査は、福島県から福島県立医大への委託で実施されましたが、この調査の委託は県立医大の内部の倫理委員会を経ていたので、その資料等の情報公開請求を行いました。公開された情報から、福島県立医大の内部・外部に専門委員会、第三者の評価委員会などが設置されていることが確認され、さらに関連資料の情報公開請求を進めていきました。また、委託に関わる文書も情報公開請求を行い、基本的な調査の枠組み、費用などさまざまな観点から調査の検証が行えるように情報を揃えていきました。  期を同じくして、報道機関による独自情報と、情報公開請求により公開された文書を元に、県民健康管理調査の秘密会議問題、調査の実施内容に関する様々な問題が明らかになりました。これによって、当初公開された福島県県民健康管理調査検討委員会第1 〜3 回の議事録が大幅に改ざんされていたことなども明らかになりました。また、県と県立医大の委託契約にかかる文書の情報公開請求によって、それまで非公表とされてきた市町村別の甲状腺検査結果が公開されるなど、今後、放射能の影響を議論していく上で基礎となる情報の公開もされました。甲状腺検査については、どのような検査を行っているのかを検証するためには不可欠な、検査の実施マニュアルも公開されました。これらの情報は当会のホームページ(http://clearinghouse.main.jp)上に掲載しています。 2.モニタリングポストについて  2011年度中に文部科学省により設置された可搬型モニタリングポストは、周辺空間線量との測定値の差が大きいため、どのような仕様等で設置されているのか、設置工事の条件などの情報公開請求を行いました。周辺線量より数値が低いことが、市民や地元自治体から指摘されていたことを受けて、2012年度中に文科省は改修工事を行っていますが、それに関する情報公開請求も行いました。公開された文書から、文科省が2012年5月から現地調査を行っていたこと、どのような機器を用いてどのように現地調査を行っていたのかなどを把握することができました。  公開された情報を専門家に分析して頂いたところでは、機器の仕様に関しては特に問題のある点は見つからないことが明らかになりました。文科省は鉛を含むバッテリーの位置が放射線を遮蔽したため低く測定されていたとの見解を示していますが、改修工事後も周辺線量より低い測定値を示しています。以前から指摘されている他の遮蔽物や設置場所の除染による影響などだけでなく、他の要因がないか、さらに情報公開を求め、分析していく必要があります。

その他/備考


『福島県県民健康管理調査 甲状腺検査マニュアルなど』 (情報公開クリアリングハウスホームページより) http://clearinghouse.main.jp/wp/?p=726

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