高木基金について助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い

これまでの助成研究・研修

トップページ  > これまでの助成研究・研修 > 助成事例の詳細


原子力損害賠償法改正プロジェクト



グループ名 グリーンピース・ジャパン 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 佐藤 潤一 さん
URL http://www.greenpeace.org/japan/ja/
助成金額 50万円

「原発にもメーカー責任を」キャンペーンで配布したステッカー

ドイツ日立ヨーロッパ本社ビルにて「日立を福島の惨事から逃れさせてはならない」との看板を掲げている様子

日本を中心に世界約20カ国でメーカー責任を求め、11万3996筆の署名提出

研究の概要

2012年12月の助成申込書から
 原発を即時廃止し、省エネ・自然エネルギーに切り替えるエネルギー政策を実現するための必須要件のひとつとして、原発事業の存続を支えている経済的な構造に変化をおこす必要があります。  原子力損害賠償法4条は、原子炉メーカーの過失責任を免れさせているため、事故が起きても法的に責任を追及される可能性がなく、原子炉を作り続けることができています。しかし、たとえば自動車など一般のメーカーが無過失の製造責任を負わされることに比し、原子炉のような、ひとたび事故が起きれば人々の生命、健康、財産、環境に甚大な被害をもたらす製品にメーカーが責任を免れているのは、明らかに不均衡であり、むしろより厳しい製造責任が問われるべきです。  そこで、原子炉メーカーの責任を問題にするキャンペーン活動を展開することによって、原子力損害賠償法が2013年8月に改正(見込み)される機会に、原子炉メーカーの製造責任を追及できるように改正させる活動を展開します。  具体的には、原子炉メーカーが過失責任を免れている法律の不合理を広く一般人に広め、国際的な問題にするグローバルキャンペーンを行います。  ・原子炉メーカーによる原子力損害賠償法改正阻止のロビー効果を弱める  ・原子力損害賠償法にかかわる政治家、官僚に原子炉メーカーの責任追及を認識させる  ・東京電力(ユーザー)が原子炉メーカーも福島原発事故の賠償責任を負うことを東京電力株主から求めるようにさせる

中間報告

2013年10月の中間報告から
 原子力損害賠償法(原賠法)は、原発事故の責任を電力会社のみに負わせ、原子炉メーカーを免責することとしているため、事故が起きてもメーカーが法的に責任を追及される可能性がありません。しかし、たとえば自動車など一般のメーカーが無過失の製造責任を負わされることに比し、原子炉のような、ひとたび事故が起きれば人々の生命、健康、財産、環境に甚大な被害をもたらす製品にメーカーが責任を免れているのは、明らかに不均衡であり、むしろより厳しい製造責任が問われるべきです。そうすることによって、原子炉メーカーが事故に対して負うリスクが大幅に拡大し、原発産業を支えてきた不均衡な経済的構造を変え原発の廃止へ追い込む圧力とすることができます。  そこで、原賠法が2013年8月までに改正される見込みであった機会をとらえ、原子炉メーカーの責任を問題にする「原発にもメーカー責任を」キャンペーン活動を展開しました。具体的には、原子炉メーカーが過失責任を免れている法律の不合理を広く一般人に広めるために、メーカー宛のハガキ送付(2万8000枚配布)などのパブリックキャンペーン、国際的な問題にするグローバルキャンペーン、原子炉メーカーや東京電力に対して株主総会などで働きかけ、国会議員への働きかけを実施しました。その結果、国会では、原子力損害賠償法を管轄する文部科学大臣に対して、吉川元議員が原発にメーカー責任がない問題点を指摘。さらに、原発輸出についてメーカー責任の視点を交えて全国報道テレビ番組が特集を放映しました。  また、原賠法が1961年に成立する過程で「どのようにしてメーカー責任が除外されていったのか」の調査活動も開始しました。その結果、情報公開請求によって入手した原子力委員会の議事録により、当初の素案ではメーカーに「過失や故意」があったときには事故の責任を負うということになっていたものが、メーカーの意向を受けて、「過失」の際の責任が削除されたことが明らかになりました。  なお、情報公開請求をしていた情報のうち公開された文書と同じファイルに綴じられていてしかるべき「原子力損害賠償法案の問題点」という文書が開示されておらず不自然なため、グリーンピースではさらに情報公開法に基づき、安倍首相に対して審査請求を行っています。  7月の参議院選挙によって、原発を推進してきた自民党が衆参両院で多数となったこともあり、原賠法の見直し議論は当初見込みのようには進まず、改正は行われていません。しかし、当キャンペーンを始めた2013 年2 月時点ではほぼ皆無であった「原発のメーカー責任」および原賠法の実態についての報道や発言が、議員や報道機関、関心をもつ市民の間で広がっていることは、当キャンペーンが一助となったのではないかと思います。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 グリーンピース・ジャパンは、以下を原子力損害賠償法(以下、原賠法)改正の必須要項として求めてきました。 ・法の目的は「被害者(被災者)の保護」を優先する ・被害者を保護するため、賠償額や期間に限度を設定しない ・国民負担を最小化するため、原子炉メーカーをはじめ事故の原因に責任のある者から先に賠償責任を負う ・安全確保のため、原子炉も製造物責任法の対象とし、第三者の過失による事故も求償の対象とする ・巨額の賠償と地震リスクに対応できる保険への加入を義務付ける  原発事故時に事業者以外の企業責任を問わないことで、原発メーカーを免責にする現行の原賠法が2013 年夏までに改正措置を講じるとされていた機会をとらえ、2013年2月から7月にかけて、原発にもメーカー責任を問うよう原賠法改正を求める取り組みを実施。「原発にもメーカー責任を」キャンペーン期間中、原発にもメーカー責任を求める署名が世界中から11万筆以上あつまりました。  開始当時、原賠法の認知度は、原発事故を追っている記者の間でさえ非常に限られていましたが、それから数カ月後には主要メディアに繰り返し登場するようになり、世論喚起に貢献しました。また、消費者からメーカー社長へのハガキ送付、株主総会での発言、東京電力や政治家への働きかけなども実施しました。一方で、メーカー側は、法律に従っている、政府に従っているとの立場を繰り返し、これらメーカーの他の商品とは全く異なった場所に原発が位置づけられていることが鮮明になっています。  なお、その後、現在に至るまで原賠法の改正が行われていない背景には、民主党が2013 年7 月の参議院議員選挙で敗北し、原発推進に積極的な自民党が議席を大きく増やしたことがあります。原発産業の推進に強力なブレーキとなるであろう原賠法の改正は、2013 年12 月の自民・公明党への政権交代で現実的ではなくなっていますが、グリーンピースでは、今後も、脱原発に向けた活動を続けていきます。

その他/備考


HOME助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い高木基金について
ENGLISHサイトマップお問い合わせ 個人情報の取り扱い