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市民による原子力規制委員会の監視活動



グループ名 原子力規制を監視する市民の会 研究成果発表会配布資料 [pdf]
研究成果発表会配布資料 [pdf]
代表者氏名 阪上 武 さん
URL http://kiseikanshishimin.jimdo.com/
助成金額 60万円

パブコメセミナーの様子

政府交渉の様子

研究の概要

2012年12月の助成申込書から
 2012年9月原子力規制委員会および原子力規制庁が発足しました。原子力規制委員会は、旧来の原子力規制機関である原子力安全・保安院や原子力安全委員会と比べ、強大で広範囲の権限をもつことになりました。  原子力規制委員会には、田中俊一委員長をはじめ、これまで原子力の推進にかかわっていた人がその任についており、個別テーマごとに設置されている検討チームの有識者も、原子力推進側の専門家が多く入っています。  再稼働の前提となる新安全基準については、2013年7月を期限とし、ストレステストの意見聴取会で委員を務めていた井野博満氏や後藤政志氏ら、批判的な専門家を排除し、利益相反が問題となった委員を選任し、急ピッチで作業を進めているます。シビアアクシデント対策については、設計に手を付けることなく、事故前と同様に付け焼刃的な対応で済ませようとしています。このままでは、不十分な新安全基準により、安易な再稼働が進められる恐れがあります。  本事業では、原子力規制委員会の傍聴を行ってきた市民グループが、井野博満氏、後藤政志氏ら独立した立場の専門家と協力して、市民委員会を設置し、下記の活動を行います。  ・原子力規制委員会の検討状況の継続的監視  ・「新安全審査基準」に関連した検討チームの議論の内容・資料のレビュー  ・レビュー結果の発信  ・原子力規制委員会に対する要請活動  ・集会、公開検討会などの開催  ・原発立地地域の市民団体の協力し、地域フォーラムの開催

中間報告

2013年10月の中間報告から
 原子力規制を監視する市民の会は、利用と規制の分離、国民の信頼回復を理念にうたって発足した原子力規制委員会が、理念とは異なり、住民や被災者の意見を無視する形で、原発の再稼働に向けての準備を優先していることに危機感を感じた市民が集まり、発足しました。原発に警鐘を鳴らす専門家の助言を受けながら活動を続けています。  原子力規制委員会は、今年7月に期限を設け、原発の新規制基準の策定を急ぎ行ってきました。私たちは、検討の過程で会合を傍聴しながら、議論があまりに拙速であること、立地地域の住民や原発事故の被災者から意見を聴く場がないこと、内容的にも格納容器の設計上の欠陥について考慮していないこと、重大事故時の住民の被ばく基準について定めた立地審査指針を無視していること、複数の事故が同時進行するケースについて十分考慮されていないこと等について、集会や記者会見、規制庁の方との意見交換などを通じて問題点を指摘してきました。またパブリックコメントの提出を広く呼びかけ、どのように書いて出したらよいかわからないという市民のために、パブコメ・ワークショップなども開催しました。  7月以降は、再稼働のための適性審査についての監視を続けながら、原子力防災や原発事故の被災者に対する支援や健康管理の件についても取り組んできました。一方で大きな問題となってきた原発の汚染水問題について、問題そのものの深刻さを明らかにしながら、原子力規制当局として、再稼働のための作業の一切を中断して、この汚染水の問題に全力集中するようにと、緊急の国際署名にも取り組み、院内集会や規制庁との交渉の場をもち、要請を続けています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 原子力規制を監視する市民の会は、原子力規制委員会の新規制基準の策定及び適合性審査の過程に対して、安易な基準作りと原発の再稼働を認めないよう、会合の傍聴、傍聴報告、アドバイザリーグループとの調査研究、抗議アピール行動など精力的に活動してきました。  2013年7月に施行された原発新規制基準については、基準の中身及び策定の方法について、アドバイザリーグループの専門家とともに調査研究し、その成果を記者会見や政府交渉、各種集会そしてパブコメ・ワークショップなどを通じて広く、一般の市民のみなさんと共有してきました。パブリック・コメントでは、非常に技術的で難しい内容でありながら、4000件をこえる批判的な意見が寄せられました。  7月に新規制基準が施行されてからは、適合性審査の内容についても、アドバイザリーグループの専門家とともに、問題点を抽出する作業を行ってきました。  重大事故対策では、特に水素爆発対策が不十分であることが挙げられます。大飯原発や玄海原発の事業者の評価は、水素濃度が13%を超えてはいけないという新規制基準の要求に対し、12.8%にまで迫るというものでした。そこで用いられている解析コード(プログラム)の信頼性に問題があるにもかかわらず、他の機関により他の解析コードを用いてチェックを行う「クロスチェック解析」も行われていません。  耐震評価では、地震動策定に用いられる経験式(入倉・三宅式)と、津波評価において津波を起こす地震動策定で用いられる経験式(武村式)に4倍程度の開きがあり、耐震評価のほうが過小評価になっていることが指摘されます。  原子力防災関係では、原子力規制委員会が原子力災害対策指針を策定しましたが、その後、原発立地周辺の自治体が策定することになっている避難計画について、実効性のある避難計画が立案されていないことが挙げられます。  また、2013年5月以降、福島第一原発における汚染水流出が問題となり、7月にようやく東京電力が海洋への流出を認め、8月には大量の放射能を含むタンク中の汚染水300トンが漏えいする事故が発生しました。原子力規制を監視する市民の会は、各地の団体と協力して、国に対して、再稼働よりも汚染水対策に集中するよう求め、国際署名に取り組みました。

その他/備考


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