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霞ヶ浦の放射能汚染の実態調査と対策



グループ名 茨城市民放射能測定プロジェクト/つくば市民放射能測定所 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 藤田 康元 さん
URL http://sokuteiibaraki.blog.fc2.com/
助成金額 60万円

文部科学省の航空モニタリングに見る茨城の放射性セシウム汚染。

湖心底泥の放射能濃度(垂直分布)。採泥日:2013年5月28日。湖底表面から10cm層ごとに、427、580、94.8、18、不検出、不検出(Bq/kg)という結果であった。

底泥の放射性セシウム濃度の変化。浜田篤信氏(霞ヶ浦漁業研究会)提供データより作成(採泥日2013年11月21日)。放射性セシウムは底泥とともに移動していると考えられる。

研究の概要

2012年12月の助成申込書から
 2011年3月11日に始まる福島第一原子力発電所事故によって、霞ヶ浦流域に大量の放射性物質が降下しました。それにより放射性セシウムを含んだ土砂が、56本ある流入河川へと流れ込み、河川の流れに沿って徐々に霞ヶ浦へと移動しています。霞ヶ浦は、河川側の水が逆流しないように設置された逆水門によって閉鎖された湖です。このまま湖の放射能汚染が進めば取り返しのつかないことになります。  それを避けるための対策としては逆水門の開放が考えられますが、下流の利根川や沿岸域への影響も懸念されます。十分な調査をもとに、陸域の除染、陸域から水域への流出防止、河川対策等を含め、何が最も有効な対策なのか検討し、流域で生きる多様な人々の合意の形成がはかられなければなりません。ところが行政はこれまでに十分な調査を行っておらず、有効な対策を実施する姿勢も見せていません。  本調査研究は、霞ヶ浦の放射能汚染問題に対する有効な対策を実施するうえで必須となる、流域全体での継続的な放射能モニタリングを行ないます。具体的には、流入56河川の底泥、霞ヶ浦の底泥、流域の森林・農地の土壌の放射能測定、および、河川と湖の水中・水底の放射線測定を定期的に行ないます。この調査結果を踏まえ、逆水門の開放をはじめとする対策の有効性・問題点を明らかにします。

中間報告

2013年10月の中間報告から
 本調査研究は、複数の市民団体が連携協力しながら、霞ヶ浦流域の放射能汚染の実態を把握するための調査を行い、必要な対策について検討することを目的としています。2013年度においては、2011年来定期的に行われてきた流入河川および霞ヶ浦の底質調査を継続するとともに、陸域における調査を含め今後長期に渡って行うべき調査項目の検討と、霞ヶ浦流域における放射性セシウムの動態モデルの検討が課題となっています。  本年8月までに行えたのは、流入56河川について複数の地点で底泥のサンプリングおよび放射能濃度測定、8河川について原水中の懸濁物質を凝集剤で集めて行った水質の放射能濃度の測定、および、試作のコアサンプラーによる底泥のサンプリングおよび放射能濃度の測定などです。  この作業の中で課題として出てきたことのひとつに、試作のコアサンプラーで正しく採泥できるのかということがあります。試作のコアサンプラーは、ホームセンターなどで購入できる塩ビ管を主材料としたもので、これまでに管の直径が4cmのものでの採泥には成功しました。しかし、直径4cm程度の細い管では、底質を攪乱してしまい正確にサンプリングできないという指摘があります。すでに行った調査では、底泥は深さ0〜10cmまでの層よりも10〜20cmの層の方が、放射能濃度が高いという結果を得ています。2011年3月の原発事故の直後に最も高濃度の放射性セシウムが湖内に流入し、それがこの2年余りで底泥に沈潜し続けていると考えればありうる結果です。今後、より径の太い管での採泥によって検証していく予定です。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 霞ヶ浦の放射能汚染問題に対する有効な対策を実施するうえで必要となる、霞ヶ浦流域での継続的な放射能調査を、以前からこの問題に取り組む市民団体を含め、複数の団体の協同で行うことを計画しました。2013年度に実施できたのは、流入56河川について複数の地点で底泥の採取・放射能測定、8河川について原水中の懸濁物質を凝集剤で集めて行った放射能測定、および、エクマンバージ式採泥器による湖内底泥の採取・放射能測定、試作コアサンプラーによる底泥の採取・放射能測定などです。  試作のコアサンプラーは、ホームセンターで購入できる塩ビ管を主材料としたもので、これまでに管の直径が4cmのもので1回だけ採泥に成功しました。底泥の移動が少ないと思われる湖心での調査で採取した深さ66cmまでのコアサンプルの放射能測定からは、湖底表面から10cm層ごとに、427、580、94.8、18、不検出、不検出(単位はベクレル/kg)という結果を得ました。このことから、50cm以深には放射性セシウムは沈降していないこと、多くは表面20cmにとどまっていること、最表層よりもその下の層の方がより汚染されている可能性が示唆されますが、既存の調査と合致しない点などもあります。  湖内に流入する放射性セシウムの量と湖内から逆水門を通じて流出する放射性セシウムの量が正確に分かれば、湖内に蓄積する量が明らかになります。この点に関連して、参加団体のアサザ基金が実施した流入河川水の放射能測定から以下のことが分かりました。これは河川水中の懸濁物質を凝集剤で凝集させ、その凝集沈殿物の放射能測定を行うという方法で行われました。 _論酊貪イ離札轡Ε倏仕戮高いと河川水中のセシウム濃度も高くなるとは限らない。 湖の上流側より下流側の湖水の方がセシウム濃度が低い可能性がある。このことは湖でセシウムを含む懸濁物質が沈着している可能性を示している。 上記の推測を考慮すると、セシウムの流入量は湖から出ていく量よりも多いことが考えられ、結果として霞ヶ浦にセシウムが蓄積していることが推測される。  この問題に関しては複数の方法によってアプローチすることが望まれます。今後は、浮遊砂サンプラーを用いて採取される浮遊砂の放射能測定によっても、流入水の放射能測定を行う予定です。  今後の調査としては、当面は、不攪乱柱状採泥器による霞ヶ浦湖内底泥調査、浮遊砂サンプラーを用いた流入河川水の放射能測定、魚の餌となるエビ、ハゼ、プランクトン等の放射能汚染調査を実施したいと考えています。

その他/備考


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