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ビキニ事件・福島原発被災と青年期教育研究



グループ名 太平洋核被災支援センター 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 山下 正寿 さん
URL http://hatazemimori.web.fc2.com/index.html
助成金額 20万円

厚労省から、556隻(実数473隻)の漁船の被ばく状況を調べた検査結果などを60 年ぶりに開示させることができた。しかし、開示された文書は、一部の漁船の船員の血液検査・尿検査・医師所見などが黒塗りとなっていることなど、不十分な点が多いものだった。その結果についての記者会見の様子。黒塗りの文書を示している。

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 「ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査」にこれまで取り組んできた。本年度も、この取り組みを続け、福島原発被災の今後の健康対策に活かしたい。また、海洋汚染が長期化する中で、ビキニ事件のように汚染魚検査が打ち切られる可能性もあり、ビキニ事件の歴史的検証と反核運動を若い世代に継承することが改めて重要になっている。  ビキニ事件・福島原発被災の再認識のため、特に青年むけにDVD上映、学習・講演会開催、書籍の普及をしたい。  その上で、被災者に可能な支援策を民間と政府双方にわたって専門家の意見を集約し、提案する。

中間報告

2014年10月の中間報告から
 私たちは、ビキニ水爆実験による、第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査に取り組んできました。 第五福竜丸以外のビキニ被災船員の血液・歯の調査を、広島大学原爆放射線医科学研究所を中心としたチームで取り組み、8月に分析報告を行いました。これらの調査については、NHK スペシャル「水爆実験60年目の真実」で報道されました。  また、厚労省は、これまで、「第五福竜丸以外の漁船の実態、数字についてつかんでいない」として、対応を拒んできました。しかし、アメリカ国立公文書館でビキニ被災船員たちの被ばくの記録が発見され、2013年11月に外務省が、当時の厚生省がまとめた資料の一部を開示したことなどから、記録が存在する確証を得ました。そして、2014年7月、厚労省に被災船員の被ばく線量検査などに関する資料の開示要請を行いました。結果、厚労省は文書の存在を認め、9月に556隻(実数473 隻)の漁船の被ばく状況を調べた検査結果などを60年ぶりに開示させることができました。しかし、開示された文書は、一部の漁船の船員の血液検査・尿検査・医師所見などが黒塗りとなっていることなど、不十分な点が多いものでした。  これらの件については、引き続き、追跡中です。青年期の核問題学習は、8月に福島市で8都県80人が参加した「震災・核被災に向き合う青年・学生のつどい」を開催しました。シンポジウム「核被災の今とこれから」では、広島・ビキニ・セミパラティンスク(*)・福島を結ぶ討論が、高校生・大学生など青年によって展開されました。現在、早稲田大学、関西大学、愛媛大学、高知大学などの学生が有志で「核被災 研究」に取り組み始めています。 (*)旧ソビエト連邦のかつての核実験場。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ漁船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査に継続して取り組んでいます。 ●被災船員の歯・血液監査  2013年4月から、広島大学原爆放射線医科学研究所の研究者らとともに調査分析をすすめ、2014年8月に分析結果を公表しました。被災船員19人(76〜89歳)の血液調査で、異常を持つ細胞の出現頻度は平均3.34%、一般男性9人(75〜84 歳)の2.45%より0.85ポイント高く、元船員の最大値は2倍以上の5.17%でした。安定型異常と二動原体染色体異常ともに異常頻度は対象群と比べて有意に高く、実験場に近い船の船員ほど異常頻度が高い傾向でした。この結果は、加齢による染色体異常の増加を排除したうえでも、推定被ばく線量にして約90mSv以上にあたり、明らかに有意差がみられると分析しました。  歯は高知県、宮城県の被災船員2 名から提供されました。放射線が当たると歯のエナメル質の化学結合が切れ、被ばく量に応じてその損傷部分も多くなり、その「傷」は残り続けます。高知の第五明賀丸の被災船員の歯の被ばく線量は、自然放射線・歯のレントゲン影響を差し引いて319mSvで、広島原爆爆心地から1.6kmの被ばく線量に値し「普通の人ではありえない数値」でした。  海上保安庁の航路記録に基づいてシュミレーションした結果、水産庁などが危険を伝えて航路制限をすれば、こんなに多くの被災船が出なくて済んだのではないかと分析しました。しかし現実には、第五福竜丸が寄港して大問題になっていながら、引き続き多くの漁船がマーシャル海域に操業にでていました。 ●60年ぶりの厚労省の「ビキニ事件」情報開示 1986年3月、衆議院予算委員会での質問に対して、「第五福竜丸以外の漁船の実態はつかんでいない」、「水爆灰と疾病の因果関係を定めるのは医学的に見て非常に難しい、施策も困難」(厚生省)、「調査は難しい。対策を講ずることはできない」(今井厚生大臣)と答えていました。  2013年、NHK 広島がアメリカ公文書館にて、ビキニ被災船のリスト発見し、11 月に外務省の情報が公開されました。この資料を基に厚労省に開示請求し、2014年9月に、60 年ぶりに厚生省のビキニ被災船資料が開示されました。開示内容は、専門家に依頼し、再検証委員会を準備中です。 ●青年期の核問題学習  8月に福島で8都県80人の「震災・原発に向き合う青年・学生のつどい」を開催しました。「核被災」シンポジウムでは、広島・ビキニ・セミパラティンスク・福島を結ぶ討論が、高校生・大学生などの青年によって展開され、この活動がドキュメンタリー映画「種まきうさぎ」に記録されました。なお、現在、早稲田大、関西大、愛媛大、高知大など学生が有志で「核被災研究」に取り組み始めています。

その他/備考


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