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被ばくと健康に関する市民・専門家委員会の運営と「子ども・被災者支援法」のフォローアップ



グループ名 国際環境NGO FoE Japan 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 満田 夏花 さん
URL http://www.foejapan.org/
助成金額 50万円

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 2013年10月11日、「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針が閣議決定された。  しかし、追加被ばく線量年1 ミリシーベルト以上の幅広い支援対象地域を認めてほしい、実質的な避難支援を行ってほしい、県民健康管理調査を改善してほしい、福島県外でも被ばくに対応した健診をしてほしいなどの被災者たちの声は反映されなかった。  また、第十三条に規定された健診や医療費減免について実現のめどがたっていない状況である。  一方で、山形県・北海道などでは、避難者自らが当事者団体を設立し、自治体と支援団体の三者が協調しあって、避難者の支援の体制がつくられている。  本事業においては、自治体・民間団体レベルでの避難者支援に焦点をあて、その実施例や課題を取りまとめ、他の自治体での避難者支援の実施を促すとともに、国レベルでの避難者支援を求めていく。  また、放射線被ばくの影響や住民の健康管理の在り方に関して、政府から独立した検討を行うことを目的とした市民・専門家委員会の活動を継続する。本委員会は放射線影響の専門家や医療関係者、弁護士、福島の被災者、市民団体の代表などで構成されている。  昨年の検討の成果を踏まえ、施策の実現のため、「原子力市民委員会」や「放射能から子どもを守ろう関東ネットワーク」などと協働し、文部科学省や自治体との対話により、自治体レベルでの健診の実現や学校の健診への被ばくに対応した項目の盛り込みなどをもとめていく。  また、この検討プロセスや結果を発信することにより、広く社会全体に対して問題提起を行う。

中間報告

2014年10月の中間報告から
 FoE Japanは、幅広い原発事故被害者への支援、とりわけ、住宅問題や健康問題への対応を求めて、被害当事者や支援者と連携しつつ、被害者の置かれている状況を把握し、々埓への働きかけ、∪は牲狙を求めた社会への発信を行ってきました。 1.住宅問題  現在、原発事故による避難者の多くは、災害救助法に基づく借り上げ住宅制度を利用しています。これは、自治体が公営住宅または民間の賃貸住宅を借り上げ、避難者に提供しているものですが、「災害救助法」がもともと短期間の災害を想定したものであることもあり、借り換えを認めない上、制度の延長が短期間ずつしか決定しないため、避難者は、生活の基盤が安定しません。長期かつ無償の住宅支援を求めている状況にあります。  FoE Japanが事務局をつとめる「原発事故子ども・被災者支援法市民会議」では、この問題を重視し、東京都内を中心とした自治体への電話調査を行い、状況の把握に努めると同時に、他団体と協力し、院内集会を開催するなどして、社会的に発信しました。また、内閣府や復興庁、国土交通省に対して改善を求め、交渉を行いました。 2.健康・被ばく問題  「子ども・被災者支援法」第13 条では、健康調査や医療費の減免について記されていますが、健診は福島県内に限定されている上、健診項目も甲状腺がんや心の病など、検査のターゲットが狭く限定されており、血液調査などの詳細な健診は、避難区域からの避難者しか行われていない状況です。  多くの被害当事者や支援者が、健診の地理的範囲の拡大および項目の充実を求めてきました。子ども・被災者支援法の基本方針には、専門家による検討が行われると記されています。  現在、「復興」の名のもとに、被ばくの影響が過小評価されるどころか、健康影響について発言できない状況となっています。漫画『美味しんぼ』の「福島の真実」編の内容に対し、政府から過剰なバッシングが行われたのも、これに拍車をかけました。  また、除染目標が曖昧化されてしまいました。これまで長期的には年間1 ミリシーベルトを目指すとし、これに対応する空間線量率が毎時0.23 マイクロシーベルトとされてきましたが、環境省および伊達市等の自治体は、個人線量計の計測により、もっと高い空間線量率(0.4〜0.6マイクロシーベルト)でも年間1ミリシーベルトは達成できるとする報告書を発表しました。公衆の被ばく限度としての年間1ミリシーベルトを事実上、形骸化させようとする動きです。  FoE Japanは、専門家や弁護士等からなる「市民・専門家委員会」でこうした問題を検討し、情報収集および問題点の整理を行いました。また、福島の市民とも連携して、声明の発出、緊急記者会見、集会、メディアへの発信などにより世論の喚起をはかり、また政府に対して申し入れを行いました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 この取り組みでは、幅広い原発事故被害者への支援、とりわけ住宅問題や健康問題への対応を求めて、行政への働きかけと世論形成を求めた社会への発信を行ってきました。 ●住宅問題  原発事故による避難者の多くは、災害救助法に基づく借上げ住宅制度を利用しています。災害救助法はもともと短期間の災害を想定したもので、借り換えを認めない上、制度の延長が短期間ずつしか決定しないことが問題となっています。  避難者の生活基盤安定のためには、長期かつ無償の住宅支援が求められています。FoE Japanは、他団体と協力して院内集会を開催し、内閣府や復興庁、国土交通省に対して改善を求め、交渉を行いました。 ●健康・被ばく問題  「子ども・被災者支援法」第13条では、健康調査や医療費の減免について記されていますが、健診は福島県内に限定されている上、健診項目も甲状腺癌や心の病などに限られており、血液調査などの詳細な健診は、避難区域からの避難者しか行われていません。子ども・被災者支援法の基本方針には、専門家による検討が行われると記されているにも関わらず、「復興」の名のもとに、被ばくの影響が過小評価されるばかりか、健康影響について発言できない状況となっています。美味しんぼの「福島の真実」に対し、政府から過剰なバッシングが行われたのも、これに拍車をかけました。  また、除染目標が曖昧化されてしまいました。これまでは、長期的には年1mSv目指すとし、これに対応する空間線量率が毎時0.23μSvとされてきましたが、環境省および伊達市等の自治体は、個人線量計の計測により、もっと高い空間線量率(毎時0.4〜0.6μSv)でも年1mSvは達成できるとする報告書を発表し、公衆の被ばく限度としての年1mSvを形骸化させようとしています。  さらに、環境省が設置した、「健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間取りまとめでは、偏った「専門家」による議論をもとに、UNSCEARやICRPなどの国際レポートをねじまげて、これ以上の健診が必要ないという結論を導いています。FoE Japan は、専門家や弁護士等からなる「市民・専門家委員会」でこうした問題を検討し、福島の市民とも連携して、声明の発出、緊急記者会見などにより世論の喚起をはかり、政府に対して申し入れを行いました。環境省の「健康管理のあり方に関する専門家会議」に対しては、カウンターレポートを発表し、一般からの意見の提出を呼びかけました。

その他/備考


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