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これまでの助成研究・研修

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再生可能エネルギーへのパラダイムシフトにおける地域主導型事業のメカニズムに関する定性的研究



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
2014年度会計報告[pdf]
代表者氏名 猪又 弘毅 さん
URL
助成金額 35万円

ヘップバーンウィンド市民風車発電施設の視察

ヘップバーンウィンドのオフィス訪問&ステークホルダーへの聞き取り実施

Community Energy Congress 2014 出席

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 本研修の主な目的は、欧州、オーストラリアを中心とした持続可能なエネルギー政策の先進国から、市民が主体となる「コミュニティパワー」(地域主導型)事業のメカニズムを学び、日本の地域社会のエネルギー政策に反映させることにある。
 福島第一原子力発電所における事故は今日までの中央集権型の経済的成長主義かつ技術主義社会の限界を意味する。原子力発電の脅威、気候変動、ピークオイル等を背景に、持続可能なエネルギーの需要は世界規模で急増しており、日本でも多くの自然エネルギープロジェクトがローカルレベルで生まれてきている。しかしながら、海外で幅広く実践されているコミュニティパワーと比較するとまだまだ未熟な者が多いのが現状である。積極的に海外の経験と知識を多く取り入れ、それを地域社会に柔軟に適応させていく市民科学者者(技術面よりも特に社会科学の側面に優れた者)がこれからの社会に求められていると考えている。
 本研修では、コミュニティパワーにおける先行研究を幅広く研究し、フィールドワークを通じて地域の現場の実態を明らかにすることを第一の目的としている。本研究では定量的アプローチのみならず、フィールドワークなど、市民の声を反映させた定性的アプローチも幅広く行う。
 第二の目的は、既につながりのある欧州やカナダオンタリオ州の専門家や活動家を通じて更なるネットワーク拡大を図り、将来の日本の発展のための礎を築くことである。 以上の目的を達成するため、ローカルレベルのエネルギー転換とコミュニティパワーの最先端の研究と実践が行われているデンマークサムソ島の研究機関サムソェネルギーアカデミーと、オーストラリアのメルボルン郊外に位置するヘップバーン風力協同組合での中期的研修を予定している。また、メルボルンで6月に開催される市民によるエネルギーを議論する国際会議にも出席する。

中間報告

2014年10月の中間報告から
 本研究の主な目的は、自然エネルギーへのパラダイムシフトを地域から実現した(または現在推進している)“コミュニティパワー”先進国の地域主導型モデルを社会学的側面を交えて調査し、問題点や対処法を明らかにするとともに、日本におけるエネルギーパラダイムシフトのための有益な示唆を得ることにあります。そのため、すでに市民の手により自然エネルギー100%を実現したデンマークのサムソ島、化石燃料を推進する国の枠組みの中で市民の手により市民風車を立ち上げた経験を持つオーストラリアのビクトリア州を調査します。その2つのプロジェクトを選出した主な理由は、世界の自然エネルギーとコミュニティパワーに関しての確かな実績とノウハウを持ち、実際にそれらの地域で地域住民との合意形成を進めた専門家の2 人、ソーレン・ハーマンセン氏とタリン・レーン氏から直接指導を受けることにあります。進捗状況としては、6月14日から7月1日にかけてオーストラリアのニューサウスウェールズ州とビクトリア州においてフィールド調査を行いました。オーストラリア全土から地域エネルギー事業者が集まったコミュニティーエネルギー会議(Community Energy Congress 2014)や風力発電所の視察、環境NGOによるロビーイングへの参加、事業者やステークホルダー(地域住民)へのインタビュー等を行い、オーストラリアにおけるエネルギーに関する国レベルと地域レベルの情報収集を行いました。また当初の目的の一つでもあった協働ネットワーク拡大についても具体的に動きはじめました。現在はオーストラリアで得た知見や情報を理論的に整理している段階であると同時に、ヨーロッパの調査研究への準備を進めています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 この研究の目的は、自然エネルギーへのパラダイムシフトを地域から実現した(または現在推進している)コミュニティパワー(*)先進国の地域主導型モデルを、社会学的側面を交えて調査し、それぞれの課題に対する対処法を明らかにするとともに、日本におけるエネルギーパラダイムシフトのための示唆を得ることにありました。
 そのため、化石燃料による発電を推進しようとする国の枠組みの中で、市民の手により市民風車を立ち上げた経験を持つヘップバーンウィンド風力恊働組合のあるオーストラリアのビクトリア州(2014年6月に訪問)と、すでに市民の手により自然エネルギー100%を実現したデンマークのサムソ島(2015年1月に訪問)の2カ所において、いかにして地域住民を巻き込みながら、それらのゴールを達成することができたのか、またそれらのプロジェクトがどのようなポジティブな社会的便益を地域にもたらしたのかを調査しました。
 調査の結果、どちらのプロジェクトにおいても「コミュニティ・エンゲージメント」の追求に重点を置いていることを学びました。特に強調されていたのは、コミュニティ・エンゲージメントが技術的・物理的要因以上にプロジェクトの実現可能性に大きく影響するということでした。コミュニティ・エンゲージメントには、透明性が約束された情報共有とそのマナー、ローカル(地域)の価値・課題・可能性の共有、経済的・社会的便益の約束等が含まれます。これらの結果として期待される効果は、プロジェクトリスクを減少・緩和させる、承認プロセス(合意形成)を容易にする、社会的評価につながることで事業を持続させる、積極的な住民参加を生む、地域発展へと繋がることなどです。
 この研究で得た知見を今後日本の地域で実践していくことが自分に課せられたミッションであると考えています。幸運なことに、この研究がきっかけとなり、現在はコミュニティパワーのプロジェクトを地域住民と創る仕事に従事しているため、この研究で生まれたネットワークを維持しながら、日本におけるコミュニティパワーの潮流に貢献を続けていきたいと考えています。

(*)コミュニティパワーとは、地域の人々がオーナーシップをもって進める自然エネルギーの取り組みを指す。以下の3 原則のうち少なくとも2つを満たすプロジェクトは「コミュニティパワー」と定義される。(1)地域の利害関係者がプロジェクトの大半もしくはすべてを所有している。(2)プロジェクトの意思決定はコミュニティに基礎をおく組織によっておこなわれる。(3)社会的・経済的便益の多数もしくはすべては地域に分配される。

その他/備考


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