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原発事故と米軍基地〜小型の蝶からみる環境破壊と保護の必要性〜



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
2014年度会計報告[pdf]
代表者氏名 平良 渉 さん
URL
助成金額 50万円

大熊町での採集風景

大熊町で採集したヤマトシジミ

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 本研修では「原発事故」と「米軍基地建設」という2つの問題について、シジミチョウ科の小さな蝶を用いて環境破壊の現状や保護の必要性を明らかにすることを目的とする。米軍基地と原子力発電所は、事故が起きた時の被害を少なくするために都市部よりも自然豊かな地域に建設される傾向にある。そのため住民の安全や安心して平和に暮らす権利を脅かしているだけでなく、自然環境に与える影響も非常に大きい。貴重な自然が今まさに壊されているが、社会的には注目度が低いという現状もある。また、本テーマが抱えるもっとも深刻な問題点は、緊急性が高いということである。一度壊された自然を元に戻すのは非常に難しく、厳密には元には戻らない。それにも関わらず、十分な調査もないまま自然が壊され続けている。一刻も早く調査を行い、検討し、対策を講じていかなくてはならない。
 本研修では、専門家と市民の中間に位置する学生という立場から実践的な活動(研究と周知活動)を通して、「専門知識・技術」および「市民にわかりやすく伝えるための表現や技術」を習得することを目指す。

具体的には主に以下の3点について研究・活動していく。
(1) 福島県周辺地域のヤマトシジミにおけるDNAレベルでの放射線影響の調査
(2) 東村高江に生息する準絶滅危惧種リュウキュウウラボシシジミの多様性の解明
(3) ホームページを利用した市民への研究成果の報告と解説

中間報告

2014年10月の中間報告から
 本研修では、沖縄の米軍基地建設問題と福島県の放射能汚染問題の2つの異なる課題について取り組んでいます。これら2つの問題は、近隣住民の市民生活に影響を与えるだけでなく、建設時や事故発生時に周辺の環境に大きなダメージを与えることが考えられます。
 そこで、本研修では、小型の蝶2種を用いて、米軍基地建設や放射能汚染が周辺の環境へどのような影響を与えるか、あるいは与えているかを調査します。また、調査研究を行うだけでなく、その成果を市民へ伝えていくことも目的の一つに据えています。

● 2014年4月〜8月の進捗状況
(1) 福島県周辺地域のヤマトシジミにおけるDNA レベルでの放射線影響の調査
 大熊町や福島市をはじめ、東北( 太平洋側および日本側)や北関東各地でヤマトシジミを採集しました。今後、これらの個体からDNAを抽出し分析を行います。
(2) 沖縄県東村高江に生息する準絶滅危惧種リュウキュウウラボシシジミの多様性の解明
 ヘリパッド建設現場近くの川沿いで、リュウキュウウラボシシジミを採集しました。今後は、これに加え、西表島でも採集を行い、DNA を抽出・解析し、地域間で比較を行い、遺伝的な多様性や東村高江の生息地としての重要性を明らかにしていきます。
(3) ホームページを活用した市民への研究成果の報告と解説
 これまで発表してきた外国語の研究論文の日本語版の掲載など、ホームページ運営を行ってきました。今後は、日本語訳の掲載だけでなく研究の解説なども行っていく予定です。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 
●東村高江のヘリパッド建設とリュウキュウウラボシシジミ
 1996年に普天間飛行場を含む11の米軍基地の返還の交換条件の一つとして、高江集落の周辺に6 つのヘリパッドが建設されることになりました。1997年の区民総会で反対決議が全会一意で決議され、2007年から住民らによる建設反対の座り込みが行なわれています。
 高江地区に生息している準絶滅危惧種のリュウキュウウラボシシジミの多様性について、特に、DNAの遺伝的多様性を調査しました。リュウキュウウラボシシジミは、日本では沖縄島北部と西表島だけに生息しています。沖縄本島では個体数が非常に少ないと思われていましたが、最近の調査で高江地区には非常に多くの個体が生息していることが分かっています。
 西表島と沖縄島では、リュウキュウウラボシシジミの遺伝子の配列が異なっていることが明らかになりました。また、いずれも日本国外でも見られない独自の配列を持っていました。翅(ハネ)の色模様にも違いがあり、西表島と沖縄島の集団は、独立した別集団として、個別の保護が必要です。また、個体群ごとの比較では、高江地区の個体群は西表島よりも遺伝的な多様性が高いことも分かりました。このように、遺伝的多様性の観点からも、高江地区は非常に重要な生息地であり、高江地区にヘリパッドを建設することは、適切ではないことが示唆されます。
●放射能汚染とヤマトシジミ
 琉球大学大瀧研究室で福島第一原発事故直後から、放射能汚染による生物影響の調査に参加してきました。これまでに、放射能汚染による形態的な異常の増加や死亡率の増加、成長の遅延、翅の矮小化が生じたことなどを明らかにしてきました。私は、福島原発事故直後からのサンプルを持っているという強みを活かして、放射能汚染地域に生息しているヤマトシジミのDNAへの影響を調べています。今回の研究で、基準となる非汚染地域のヤマトシジミのゲノム配列やRNAの解析を完了することができましたので、今後の研究で汚染地域の個体を解析し比較することで、遺伝子への影響や、成長段階ごとの影響などが考察できるようになりました。
 2014年6〜10月には、大熊町や富岡町、南相馬、福島市などの汚染地域をはじめ、北陸、関東も含めた40 以上の地点で、700頭以上のヤマトシジミを採集しました。これらの個体の形態的な異常は、2011年よりも非常に低く、当時見られたような放射線量との相関関係も見られませんでしたが、遺伝的には、何らかの傾向が見られる可能性があるため、遺伝的な解析に継続して取り組んでいます。

その他/備考


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