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設楽ダム建設予定地周辺の地質調査



グループ名 設楽ダムの建設中止を求める会 地質調査グループ 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 市野 和夫 さん
URL http://www.nodam.org/
助成金額 30万円

断層露頭、断層の走向に沿う滝。

設楽町内で露頭調査。地質の確認。

町道町浦シウキ線、狐洞地点の道路工事法面に現れた断層(N80E)。表層の風化層まで変位しており、第四紀断層の疑いが濃い

未報告の別の断層も現れた。県道設楽根羽線の付け替え道路、小松地区で。表層の風化層は浸食されているので、近年動いたものかは不明

県道瀬戸・設楽線の脇に地すべりで現れた断層破砕帯。国の報告書には載っていない

研究の概要

2014年12月の助成申込書から
 設楽ダム(事業者:国土交通省中部地方整備局)の本体建設が始められようとしている愛知県設楽町の豊川上流の区域は、極めて地質地盤が悪い。にもかかわらず、立地選定段階での活断層(第四紀断層)の調査は極めておざなりで、文献上、活断層と認定・報告された断層やリニアメントがほとんどないことを前提として、本格的な調査はなされていない。  ダム予定地直上流左岸の高台の設楽町の中心田口地区には約1000人が居住しており、第三紀層から成る田口地区の地盤が、湿地化、地下水汚染、液状化、地すべりの発生の外、分水界を超えて漏水することも懸念されている。  また、ダムサイト予定地直下流右岸には、大規模な地すべり地塊があり、断層との関連が懸念されている。  したがって、このまま、本体建設が始まり、ダムができることになれば、人命や財産に被害が及ぶ取り返しのつかない影響が出る恐れがある。  この調査研究では、第一に、国が実施した地質調査の情報開示資料の分析をすること、第二に、われわれが新たに発見した断層について詳しい調査をすること、第三に、第三紀層の分布についての詳細を明らかにすることを通じて、無視することのできない科学的根拠を提示し、ダム建設の見直しにつなげる。

中間報告

2014年10月の中間報告から

 設楽ダム(事業者:国土交通省中部地方整備局)の本体建設が始められようとしている愛知県設楽町の豊川上流の区域は、地質地盤が極めて劣悪です。このまま本体建設が始まり、ダムができることになれば、人命や財産に被害が及ぶ取り返しのつかない影響が出る恐れがあります。  私たちは、事業者によるダム予定地および周辺の地質調査報告書(約30年間分)を情報公開請求で入手し検討しました。立地選定段階での設楽ダム予定地周辺の地質調査は1992-1997年頃に実施されました。その問題点、特徴は、以下の3点にあります。
1.設楽ダム立地選定段階での活断層(第四紀断層)調査は、形ばかりで実質的には行われていない。また、ダムサイト近傍で見つかったダムサイトに向かう断層の延長方向の詳細調査を実施せず、それが第四紀断層であるのかどうかの検討も行われていない。
2. ダムサイト右岸側松戸地区の地形は、尾根が縦に二つに割れ、間の低地が棚田となっておりいわゆる二重山稜地形の特徴を有している。さらに、ダムサイト右岸直下には、断層との関連が懸念される大きな地すべり土塊がある。事業者は、この松戸地区の地質構造について十分な調査を行わないまま、地すべり土塊を避けるためにダムの座位を変更するなど小手先の対応で済ませようとしている。
3.ダム予定地直上流左岸の田口地区(設楽町中心部の市街地)は、地盤が新第三紀層から成っていて、ダム湖に貯水すれば、浸透水による湿地化、地下水汚染、液状化、地すべりの発生、また分水界を超えて漏水することも懸念されている。この新第三紀層問題に対する調査も杜撰である。
私たちは、本体建設の始まる前に、市民による地質地盤の調査をすすめ、科学的根拠に基づいて建設中止を迫ろうと努めています。上記3点の問題について、開示資料の分析と、現地調査のデータを突き合わせる作業を鋭意進めています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 国交省中部地方整備局は、利水や治水上の必要がなく、環境に影響を及ぼすにもかかわらず、設楽ダムの本体建設を始めようとしています。巨大ダムは、長期にわたり大量の水を貯留するため、一旦事故が発生するとその影響は甚大です。とりわけ重要な課題となるのは、(1)第四紀断層(活断層)、(2)深層崩壊、(3)漏水です。安全性の確保のため、地質地盤調査に手抜きがあってはなりません。  必要な調査が実施されているか否か、不都合な情報が隠されていないかを確認する目的で、事業者に地質地盤情報の開示を求め、その開示情報の分析と現地踏査による調査検討を行いました。  ダムサイトの左岸側上流部で、今回の調査で初めて東西走向(N80E)の断層がみつかりました。その断層の延長は、ダムサイトの左岸斜面を上下流方向に貫く高透水性ゾーンと重なります。ダムサイトの右岸では、二重山稜地形が発達し、その中に大きな地すべり地塊があります。また、ダムサイト上流左岸の第三紀層と基盤との境界(不整合面)の標高は、国の見積もりより少なくとも50〜60m も低い位置にあることを確認しました。第三紀の堆積層がダム湖の水面下に没することになります。  結論として、ダムサイト左右両岸斜面とも大規模な深層崩壊を起こす恐れがあり、さらに、左岸上流側では、貯水によって、液状化や地すべりを誘発し、また漏水を起こす危険性が高いことがわかりました。

その他/備考


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