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福島県内における農林業系放射性廃棄物の減容化事業が地域社会に及ぼす環境リスクに関する調査研究



グループ名 放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 和田 央子 さん
URL http://gomif.blog.fc2.com/
助成金額 70万円

福島県内各地に建設されている仮設焼却炉。2015年9月現在、すでにほとんどが稼働を始めてしまった

フクシマエコテッククリーンセンター放流水の電気伝導率測定の様子。

飯舘村蕨平仮設焼却炉、資材化施設建設現場。

中間貯蔵施設汚泥溶融炉見学・溶融スラグ、ダスト保管庫。

研究の概要

2014年12月の助成申込書から
 2011年3月11日に発生した東日本大震災が原因となって起きた東京電力福島第一原発の爆発事故によって、大量の放射性物質が環境中に放出され、福島県内をはじめ東北関東地域の広範囲に稲わらや牧草などの農林業系副産物をはじめ、ゴミ焼却灰や下水汚泥等様々な放射性物質によって汚染された廃棄物が発生した。  この原発事故由来の放射性廃棄物を減容化して中間貯蔵や最終処分を行うため、環境省は福島県内の各地に仮設焼却炉や資源化施設などの建設事業を推進している。  しかし、この事業には、放射性物質を含んだ廃棄物を焼却することによる環境の放射能汚染問題や、減容化事業に従事する労働者の被ばく問題、焼却炉や中間貯蔵施設、最終処分場の建設事業が地域環境に及ぼす諸影響、さらにはこの事業が地域社会に多大な影響をもたらすことが確実であるにもかかわらず、地域住民に対する情報の公開や合意を得る適正な手続なしで事業が推進されている。  本調査研究では、これらの事業の実施に伴う問題点及び地域社会にもたらす影響の解明とそれに対する市民側からの代替案の提案を行うことを目的としている。

中間報告

2015年10月の中間報告から
 当会は、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染廃棄物の焼却処理について、その実態把握と、焼却が環境に及ぼす影響についての調査に取り組んでいます。  福島第一原発の爆発事故によって、大量の放射性物質が環境中に放出され、福島県内をはじめ東北関東地域の広範囲に、稲わらや牧草などの農林業系副産物をはじめ、ゴミ焼却灰や下水汚泥など、放射性物質によって汚染された様々な廃棄物が発生しました。この原発事故由来の放射性廃棄物を減容化して中間貯蔵や最終処分を行うため、環境省は福島県内の各地に仮設焼却炉や資源化施設などの建設事業を推進しています。  しかし、この事業には、放射性物質を含んだ廃棄物を焼却することによる環境の放射能汚染問題や、減容化事業に従事する労働者の被ばく問題、焼却炉や中間貯蔵施設、最終処分場の建設事業が地域環境に及ぼす諸影響などが懸念されています。さらにはこの事業が地域社会に多大な影響をもたらすことが確実であるにもかかわらず、地域住民に対する情報の公開や合意を 得る適正な手続なしで推進されています。  本調査研究では、これらの事業の実施に伴う問題点及び地域社会にもたらす影響の解明とそれに対する市民側からの代替案の提案を行うことを目的としています。現在、福島県内19 市町村で24 基以上建設が進められている仮設焼却施設について、現地見学や作業員への聞き取り調査、環境省への質問、情報開示請求などにより全容解明に取り組んでいます。また、既設炉を含む排ガスについて、リネン布やハイボリュームエアサンプラーを用いて放射性物質および重金属類の分析を東京農工大などの協力を得ながら行っています。また、放射性物質に汚染された指定廃棄物などの管理型処分場となっている福島県双葉郡富岡町のフクシマエコテッククリーンセンターの放流水の汚染調査も進めています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より

 環境省は、福島第一原発事故によって放射性物質に汚染されたゴミを処理するため、19市町村に仮設焼却炉を設置し、除染廃棄物や稲わらなどを大量に焼却しています。排ガスに含まれる放射性物質については、バグフィルターで99.9%除去できるため安全、また8000Bq/kg以下なら一般ゴミとして市町村の既存の施設で安全に処分できるとしています。8000Bq/kgを超えた場合は国が責任を持って仮設焼却炉で処理することとされました。これは原発の外側すなわち市民の生活圏のみの基準です。一方で原発内では事故後も変わらず100Bq/kgが処理基準とされており、これを超えたものはドラム缶で厳重保管とされ、ダブルスタンダードであると批判されています。  これに対し、当会は、以下のことに取り組んでいます。
1.環境毒性分野における微量元素分析を専門とする東京農工大のご協力を得て、土壌に含まれる放射性セシウムの測定とともに、廃棄物処理場に由来する汚染の特定に有用とされる微量元素分析を行いました。
  2014年10月から2016年5月にかけて、9カ所の廃棄物処理場周辺から土壌などを採取、分析した結果、アンチモン、亜鉛、鉛については1カ所の産廃焼却場および5カ所の自治体焼却場から特有の汚染として蓄積されていることが示唆され、特に産廃焼却場からの汚染が顕著であるという結果が得られました。
2.環境省の仮設焼却炉について施設設置許可申請書、生活環境影響調査、契約書、解体工事事前調査報告書、鮫川村の爆発事故調査報告書を開示請求し、今後分析を進める予定です。また、事業者であるエコテックおよび福島県産材汚染に関する資料等について、福島県に情報開示請求し今後分析を進めていきます。
3.継続して開催している放射能ゴミ処理を考える学習会を2015年度は計4回開催。また焼却炉問題を知らせるリーフレット、チラシをイベントで配布、ブログやSNSで常時情報発信に努めています。
 国の進める放射性物質汚染廃棄物の処理・処分政策は、2030年東京オリンピックを一つの期限として加速度的に進められています。福島第一原発に隣接する土地に造られる中間貯蔵施設に保管される予定の除染土壌については、その9割を路盤材等として再利用する計画も明らかとなり、飯舘村で実証事業が開始されています。また、避難指示解除による住民の帰還がこれら焼却事業と重なっており、モニタリングを始め一層の監視が必要となっています。さらに森林除染や間伐による廃棄物の受け皿として、火力発電での混焼をはじめ大規模なバイオマス発電計画も浮上しています。  今後もいち早く行政の動きをキャッチし発信していくとともに、現地の見学や情報開示請求、行政への質問等を重ねながら問題を浮き彫りにして周知して行きたいと考えています。

その他/備考


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