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市民による原子力規制行政の監視活動



グループ名 原子力規制を監視する市民の会 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 阪上 武 さん
URL http://kiseikanshi.main.jp/
助成金額 60万円

研究の概要

2014年12月の助成申込書から
 福島原発では、汚染水が深刻な事態を招いている。意図的な海洋放出について、漁業者や住民から懸念の声が挙がっている。原子力規制委員会は原発の再稼働に向けた適合性審査を優先している。  川内原発の適合性審査は、工事認可および保安規定の審査中である。設置変更許可に際しては、住民からの意見聴取は一切なかった。火山リスクについては、火山モニタリング活動について暗礁に乗り上げており、火山学者は基準の見直しを要求している。実効性のある避難計画が立案されず、現計画は違法状態が指摘されている。川内原発に続いて、高浜、玄海、伊方原発の審査が進み、東電柏崎刈羽原発についても審査が続いている。  現政権が原発推進を掲げ、再稼働を急がせている状況では、適合性審査の内容に立ち入り、科学的技術的見地から、種々の指摘を行い、また、その過程で明らかになった安全上の問題について、地元の住民や一般市民と共有する活動の重要性が増している。  本事業では、市民の立場で、専門家と協力し、科学者や技術者の見解、立地地域、周辺地域の一般住民や一般市民の意見をくみ上げながら、(1)福島第一原発の汚染水流出の実状と意図的放出について、(2)火山リスクや地震リスクをないがしろにし、実効性ある避難計画が立案されていない現状を無視し、住民の意向を反映しない形で進む原発再稼働に向けた審査のあり方について、以上二点について、調査研究を行い、問題点を指摘し、政府交渉や集会、アピール・要請行動などにより、、原子力規制当局に対応を迫り、これらを広く市民・住民と共有する活動を行う。

中間報告

2015年10月の中間報告から
 私たちは、市民の立場で、専門家と協力し、科学者や技術者の見解、立地・周辺地域の住民や一般市民の意見をくみ上げながら、福島第一原発の汚染水流出の問題や、原発再稼働に向けた審査のあり方について調査研究を行い、原子力規制当局に対応を迫り、これらを広く市民・住民と共有する活動を行っています。今年度のこれまでの活動の中で、特に力を入れたのは以下のような点です。 1.川内原発の火山審査について  火山影響評価ガイドは、(1)火山のモニタリングの実施、(2)巨大噴火の前兆を把握した場合の原子炉の停止や核燃料搬出の判断を行う判断基準の策定、(3)核燃料搬出計画の策定、について要求しています。規制委員会は、一方で自らが設置した火山活動のモニタリングに関する検討チームにおいて、巨大噴火の予測は困難であり、国側で定めるモニタリングの方法や判断基準については今後の検討課題とする結論をまとめながら、他方で、噴火の予測は容易にできるとの前提で、川内原発の保安規定に許可処分を下しました。審査において火山の専門家の意見は一切反映されませんでした。この問題について、私たちは、集会や記者会見、雑誌への投稿などを通じて矛盾点を明らかにするとともに、政府交渉を実施して、審査のやり直しや火山ガイドの見直しを要求しました。川内原発の保安規定の許可処分については、全国から500名余りの賛同を募った上で、行政不服審査法に基づく異議申し立てを行いました。 2.川内原発1号炉の高経年化(老朽化)問題  原発の高経年化対策は、原発の運転開始後30年経過までに、技術評価と保全計画を策定し、規制委員会の認可を受けなければなりません。しかし、川内原発1号機は、30年を1年近く経過した段階でまだ認可を得ていませんでした。私たちが問題を指摘すると、規制委員会は駆け込みで、再稼働予定直前に認可を下しました。私たちは、30年を経過しての認可が手続きを定めた法令に違反していること、駆け込みで十分な審査が実施されておらず、安全性が確保されないことを指摘し、集会、政府交渉、雑誌への投稿、規 制委への要請行動など行いました。この件についても、全国から2000名近い賛同を得て、行政不服審査法に基づく異議申し立てを行いました。また再稼働直後に発覚した復水器の穴あき問題について、今定期点検での調査を要請しました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 市民の立場で、専門家と協力し、科学者や技術者の見解、立地・周辺地域の住民や一般市民の意見をくみ上げながら、原子力規制について調査研究を行い、当局に対応を迫り、広く市民・住民と共有する活動を行っています。  川内原発の火山審査について、原子力規制委員会は、既存の観測で噴火予測は可能であり、核燃料搬出も間に合うとの九電の方針を認め、再稼働の前提となる保安規定の認可を下しました。ところが、規制委が設置した専門家による「検討チーム」での議論では、既存の監視では不十分、噴火予測は困難であり、監視方法や判断基準は今後の課題と、認可の内容とは正反対の意見が出ていました。まさに「二枚舌」審査でした。  川内原発1号機は、運転開始30年までに必要な高経年化対策に関する保安規定の変更認可を受けていませんでした。主給水系配管の腐食減肉の耐震評価では、危険個所が見つかっていました。  高浜原発3・4号機の蒸気発生器細管の耐震評価において、関電は、基準地震動により機器にかかる応力が許容値を超えてしまうことから、規格や基準で要求される地盤特性等のばらつきの影響考慮を切りつめる評価を行っていました。  私たちは、これらの3件について、政府交渉などを通じて実態を明らかにしながら調査結果をまとめ、連名をよびかけて、行政不服審査法に基づく異議申し立てを行いました。  その他、40年超えの運転期間延長認可審査を受けている高浜原発1・2号機の蒸気発生器も、従来の手法では許容値を超えることが明らかになっています。規制庁は実機での試験を条件に、減衰定数の緩和を容認したうえで、認可期限に間に合わせるために、試験より先に認可を下しました。法令にも反するやり方です。また、中性子によるひび割れ(IASCC)の評価対象になっている炉心のボルトについて、全く点検していないに等しい状況であることが明らかになっています。  また、福島第一原発の汚染水問題について、私たちは、いわきでの東京電力との交渉に参加し、状況の説明を求め、深刻な実態を明らかにする活動を行ってきました。これらについては、柏崎刈羽原発など沸騰水型原子炉の審査と合わせ、引き続き監視・調査活動を続けたいと思います。

その他/備考


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